トレーラーハウスでコースを堪能! 滋賀・大津『LOW PACE』の異空間ビストロ

びわ湖のカタチに沿って西側を走る県道558号線沿いの「下阪本5丁目」付近。突如として現れる銀色のトレーラーハウスは、珍しいオブジェでもキッチンカーでもありません。実はこちら、ホテル仕込みのシェフの逸品をコース仕立てで2700円~楽しめる超穴場ビストロなのです。

あの銀色に輝く物体は何だろう…?

びわ湖畔から程近い比叡山坂本で、ギラギラとシルバーに輝くアメリカ製のヴィンテージトレーラー。どこか宇宙船を彷彿とする流線形の空間で、まさかこんなに芸の細かいフレンチをコース仕立てでいただけるとは…。うれしい誤算に思わず口もとがゆるみます。

アメリカで1940年台に作られた高級トレーラー「スパルタン」を改装。
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「ハンバーガー屋さんに間違えられることもありますね(笑)」と話すのは、オーナーシェフの小玉ちささん。料理人としての端緒は、パンパシフィックホテル横浜(現『横浜ベイホテル東急』)の『クイーン・アリス』から。初代フレンチの鉄人こと石鍋裕氏のもとで研鑽を積み、日本の食材を織り込んだ和魂洋才のフレンチに感銘を受けたといいます。

店主の小玉ちささん。シェフであり、3児の母でもあるパワフルな女性。
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「そこで10年ほど働いてから、子どもが生まれたタイミングでまた地元の滋賀県へ帰ってきました。その後は守山市にある『セトレマリーナびわ湖』や『琵琶湖マリオットホテル』などに勤めていましたね」。

無機質な外観とは対照的に、店内は木を多用した有機的な空間。
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滋賀食材のポテンシャルを皿の上で表現する

当初は「独立開業したい」などと考えたことはなかったそう。しかし、ホテルの厨房でびわ湖の漁師や地元の農家と交流を深めるうち、「滋賀にはスゴい食材がたくさんある。それを料理として表現するのが自分の役割だ!」と使命感に燃えるようになりました。

接客中でも調理中でも、いつもにこやかな小玉さん。
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そんな折、びわ湖畔にあるボートメンテナンスの専門店から「うちの敷地にトレーラーハウスを置くのでお店をやってみない?」と声が掛かり、2026年4月にカフェ&ビストロ『LOW PACE(ローペース)』をオープン。月1回の気まぐれモーニングからコース仕立てのランチ、要予約のディナーまで多彩な切り口で自らの腕前を披露しています。

窓辺のグリーンをぼんやり眺める至福の時間。
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ランチコースは前菜、メイン、デザートまでしっかり

さて、本日は事前に予約してあったランチコースをいただきました。
「要予約」というワケではないですが、トレーラーハウスの店内はカウンター2席+テーブル4席のみ。人数が多い場合はボートメンテナンスの専門店を開放してくれますが、せっかくならこの秘密基地のような空間を体験するべきでしょう。

月替わりのランチコースは2700円~。こちらは夏野菜のサラダ、小鮎のエスカベッシュ、ラタトゥイユ、ハーブポークヘレ、タブレの盛り合わせ。
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取材日の前菜は、びわ湖産の小鮎のエスカベッシュやクスクスが口中で弾けるタブレ、豚ヘレ肉の自家製ハムなどの盛り合わせ。お皿をざっと見渡すと、あちこちでハーブがたくさん顔を出している印象です。

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「私、守山市の『井入農園』さんで早朝バイトをしておりまして(笑)。そこで採れたハーブやマイクロリーフを積極的に使うようにしています。ハーブもいわゆる西洋ハーブだけでなく、シソや梅といった日本のハーブも使います。珍しいところでは『イブキジャコウソウ』『トウキ』なんていう日本のハーブもありますね」。

ゲストには自家製のハーブウォーターでお出迎え。おかわり自由。
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続いては、トウモロコシのポタージュ。トウモロコシのナチュラルな甘みを生かしたスープを口に運ぶと、時折ぐっと強く感じるウニの香り。淡いスープの味わいに濃厚なウニクリームが極上のアクセントになっています。

本日はトウモロコシのポタージュ ウニクリーム。
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ハーブ&スパイスを巧みに操るスペシャリスト

そしていよいよメインディッシュが姿を現しました。
本日はデュカスパイスでいただくチキンコンフィ。パリパリとした皮目の上にエジプト発祥と伝わるデュカスパイスがどっさり乗っています。コリアンダーの香りと共にやってくるナッツやゴマのざくざく感。さらにはトマトの旨みを濃縮したココナッツ風味のソースがふわりとエキゾチックな風を吹かせます。

本日のメインはトマトとココナッツソースでいただくデュカスパイスチキン。
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大団円を彩るデザートは、トマトとイチゴのジュレを添えた塩ミルク薄荷アイス。野菜とフルーツの垣根を越えて、意外に相性のいいトマトとイチゴの果汁をジュレに。甘酸っぱいプルプルジュレが自家製アイスにまとわりついて、さっぱりとしたアイスのミルク感を引き立てます。

ランチコースを締めくくるデザートは、トマトとイチゴのコンソメジュレ 塩ミルク薄荷アイス。+300円でコーヒー(小菓子付)をセットに。
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特別な空間で手の込んだフレンチを味わって、本日のお代は1人2700円!

ミニマムなカウンターは限定2席のカップルシート。
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最後にピカピカのトレーラーハウスを降りた瞬間、なんだかスキップしたくなるほど足取りが軽くなりました。ホテルの最上階で格式高いフレンチもいいけれど、リゾート気分の非日常を満喫するならトレーラーハウスのビストロへ。近未来的でワイルドな見た目に反して、一片のハーブにまで神経を尖らせたフレンチを提供する。そのイカしたギャップに必ずや萌えることでしょう。

DIYでリノベした店内は色とりどりの花で溢れています。
トレーラーハウスが満席の場合は、隣にあるボートメンテナンスの専門店『HEX MARINE』にも席が設けられます。お手洗いも完備。
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writer

中尾潤子

Nakao Junko

滋賀県生まれ、滋賀県在住のフリーライター。中山道で家具店を営んだ近江商人の家系に育つ。あまりに地元が好きすぎて、大学を卒業後は英国国営放送ではない方のBBC(びわ湖放送株式会社)へ入社。その後、フリーライターへ転身し、地域情報誌から女性誌、カルチャー誌などの取材・執筆を手掛ける。好物は近江牛のハラミとえび豆。 https://tetra-dune.com/

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