関西モーニング手帖Vol.19/主役は炊き立て土鍋ごはん!飯のお供=酒のアテ。『旬菜いまり』
旬の食材を活かした「スタンダート」で勝負する
ホテルスタッフから飲食業界歴をスタートした店主の森宏午(もりこうご)さんは、その後、韓国料理や中華料理など様々な職場を経て、2013年に念願だった“自らの城”を構えました。その経歴だけ聞けば、手掛ける料理も多国籍な要素が組み込まれたバラエティー豊かなものかと思いきや――。
「名物のおばんざいは、変わり種が少ない」と、森さん。なるほど、献立を見てみると、万願寺とうがらしとじゃこの炊いたん、だし巻き玉子、近江牛すじ煮……といった定番メニューが並びます。
「昔おばあちゃんが家で作ってたような、ちゃんと手間をかけたスタンダードな料理が主体です」という言葉には、奇抜さや映えではなく、絶対的安心感のある直球勝負にかける森さんの自信が伺えました。
「ザ☆日本の朝食」、主役は炊き立て土鍋ごはん
ランチ営業をする居酒屋は珍しくありませんが、昼間は閉めて、朝早くからオープンする呑み屋はそこまで多くはないでしょう。
朝営業も今年で11年目。周辺にホテルが多いことから、観光客のニーズに応えるべく、「旅館でいただくような朝食」を目指して始められました。主役は、炊き立ての土鍋ごはん。「白ごはん大好き」な森さんの好みが凝縮された“理想の御膳”です。
お米は、いまや京都に留まらず全国の名店から愛される米屋『八代目儀兵衛』で厳選されたものを使用しています。「いまは会津産のコシヒカリ。私がコシヒカリ好きで……」と、照れ笑いしながら教えてくれた森さん。ほんまもんの白飯ラバーですね!
飯泥棒なおかずは良き酒のアテ、という説を証明
「私自身、白ごはんのお供は卵焼き、焼き鮭、梅干しといった定番が好みで」という森さんがセレクトするおかずは、そのどれもが飯泥棒。 焼き魚(西京焼き)、サラダ、だし巻き玉子、おばんざい二種、漬物、自家製の昆布佃煮と鰹ふりかけ、味噌汁という盤石なラインナップで迎えてくれます。
出汁のきいた玉子にはたっぷりの大根おろし。こういうちょっとしたところに“ちゃんとしてはる”かどうかが表れるのが料理というもの。また、毎朝丁寧にひいた出汁の鰹と昆布をきっちりリメイクしている点も好ポイント。昆布佃煮は甘さ控えめで、鰹は細かさが素晴らしく、きちんと手をかけて作られているのが分かります。
また、甘く濃くなりがちな西京焼き(写真は鰆)も、風味豊かなさっぱり仕上げ。茄子と大根の糠漬けももちろん自家製で、しっかり酸味を感じる絶妙な漬かり具合。そう、つまり総じて、優秀なごはんのお供は、酒のアテにもなるというお手本のような御膳なのです。
味良し、栄養価高し。旬の食材を季節の逸品に
すべてのお供が、呑兵衛の舌と胃袋を鷲掴みにする味付け。旬の旨みと風味を活かした、それぞれに食感の異なる味わいは、それだけで、(呑んでもいないのに!)森さんが吟味する“とっておきの日本酒”にも信頼が置けてしまいます。
中でも、「これだけでお酒3杯は軽いんじゃない?」ってくらいボリューム満点のおばんざい盛り合わせは、マストオーダーの自慢メニュー。
山椒が酒盃を重ねさせる秋刀魚の鞍馬煮は、味のよくしゅんだ(しみた)牛蒡もご馳走。季節の白和えは柿と春菊で、秋らしい仕立てです。蓮根とセロリの金平に、鳴門金時とかしわ(鶏肉)の甘辛煮で、味に緩急を感じさせてくれるのもにくい。
特に驚いたのは、出汁たっぷりのマッシュっぽい京風おからのしっとり感!口に入れた瞬間の出汁じゅわ~は、小躍りするほど。もはや、飲み物です。
店主のセンス光る、厳選アイテムでおもてなし
前述の土鍋を筆頭に、用いる食材やアイテムはどれも森さんのお眼鏡に叶ったものばかり。その一部は、店内でも販売するほどの熱の入れようです。
長岡京市にある『高野竹工』の極細箸は「しなりが良く、こんなに細くて扱いやすいのに折れないんです」と大絶賛。
撮影中、フォトグラファーのキュンを刺激したのは、いちいち可愛いモチーフの箸置きでした。椎茸に栗、白葱、蕗、レモンスライス、卵焼きや金塊まで!
「目を引きますよね。人気の美濃焼の窯元さんの商品です。マヨネーズやら土偶やら面白いものもあるんですが、うちでは野菜シリーズばかり買いがち(笑)」と森さん。ちょっとした遊び心で季節を感じさせてくれたり、会話が盛り上がったり。たかが箸置き、されど箸置き、です。
この秋は、店主のおもてなしが詰まった“おばんざい酒膳”を目当てに、京都散策を楽しんでみてはいかがでしょう。
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- 店名
- 旬菜いまり
- 住所
- 京都府京都市中京区六角通新町西入ル西六角町108
- 電話番号
- 075-231-1354
- 営業時間
- 7:30~10:00(9:30LO)、17:30~23:00(22:00LO)
- 定休日
- 火・水曜
- 交通
- 阪急烏丸駅・地下鉄烏丸御池駅から徒歩10分
- メニュー
- 京の朝ごはんWEB予約2400円・電話予約2600円。おばんざい盛り合わせ五種1600円、京鴨ロース1400円。
- https://www.instagram.com/shunsai_imari/
- 備考
- ※朝食(完全予約/1時間入替制)はWEBから、夕食は電話で予約を。

writer

椿屋
tsubakiya
映画は「ひとり、劇場で!」がモットーの映画ライター。2025年鑑賞数は280本。人生の映画ハシゴ最高記録は1日7本。各媒体で、着物・グルメ・京都ロケ地といった切り口のレビューを担当する。超大作から自主映画まで、ノンジャンルな雑食。
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