煮豚に焼豚。再訪せずにはいられない、大阪・肥後橋の定食処『江戸堀 焼豚食堂』

ランチのピークを過ぎても、次々とお客がやって来る。「豚汁、もう終わってしまったんですが大丈夫ですか?」「いつものでいいですか?」と声を掛ける店主。焼豚(チャーシュー)専門の定食店『江戸堀 焼豚食堂』の日常だ。今日も肥後橋で働く人々の胃袋を満たしている。

照りっ照り!人気No.1の「ミックス焼豚定食」

定食は大きく分けて4種類。中でも一番人気が「ミックス焼豚定食」だ。

ここで供される焼豚は、丸い形をした大判チャーシュー「煮豚ちゃーしゅー」と四角形にスライスされた「つるし焼き豚」の2種類。「ミックス焼豚定食」はそのどちらも楽しめる、いいとこどりのメニューである。

『江戸堀 焼豚食堂』ミックス焼豚定食
ミックス焼豚定食1320円。手前が煮豚ちゃーしゅー、奥がつるし焼き豚。それぞれ単独で味わえる定食も用意されている。
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煮豚ちゃーしゅーは、箸で簡単に切れるほどとろとろ。店主の梅牧基さんによると、国産豚バラ肉をタコ糸で巻き上げ、下茹でした後に甘辛だれに漬け込み、一晩熟成。さらにタコ糸を外してもう一晩寝かせているという。

「雑味を取るためにも工程ごとに出てくる余分な脂は落としています」と基さん。どうりで、脂の旨みはしっかり感じるのに、不思議と重たさはないわけだ。

『江戸堀 焼豚食堂』焼豚をタコ糸で縛る様子
ミートハンマーで肉を叩いて厚みを均等にし、ロールケーキのようにくるくると巻いてタコ糸で縛る。
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『江戸堀 焼豚食堂』甘辛ダレに漬け込む様子
ネギとショウガを加えたスープで下茹でした後、開業時から継ぎ足し続ける甘辛だれに漬け込む。
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一方、つるし焼き豚は、口に運ぶとふわりと燻香が漂い、ほどよい肉感がある。こちらは国産の豚肩ロースを特製ダレに丸一日漬け、桜の燻製チップを敷いた釜で約3時間、弱火でじっくりと焼き上げたもの。途中でハチミツにくぐらせるほか、特製ダレには秘密のアクセントを加えているようで、それらが味わいに奥行きをもたらしている。

どちらの焼豚もオーダーが入ってからバーナーで炙るため、脂はほどよく溶け、香ばしさと照りが増し、より食欲をそそるビジュアルに。添えられた半熟の炒り卵、シャキシャキのキャベツが味わいに緩急を生み、箸がどんどん進む。

『江戸堀 焼豚食堂』焼豚をバーナーで炙る様子
焼豚はプレーン、タルタル、ネギ塩の3種類から選べる。卓上には調味料が置いてあり、煮豚には山椒、焼き豚には一味がおすすめだ。
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『江戸堀 焼豚食堂』店主
日々、焼豚と向き合う店主の梅牧基さん。「通ってほしいので」と、焼豚はくどくならないよう余分な脂を丁寧に落としながら仕込む。
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迷うのも楽しい名脇役「選べる小鉢」

定食はすべてに、選べる小鉢、香の物(枝豆の酢の物)、ネギとショウガのスープ、ご飯が付く。

中でも選べる小鉢は、定食の満足度をぐっと高めてくれる名脇役だ。奥さまの史子さんが手作りする惣菜は、ひじき煮、切り干し大根煮、ナスの煮浸しなど全部で8種類。オーダー後、史子さんが「小鉢何にしますか?」と優しく声を掛けてくれ、2種類をチョイスできる。

「4種類からスタートして12種類くらいまで増やした時もありましたが、多すぎるとダメですね」と微笑む史子さん。朝に仕込むものもあれば、二晩寝かすものもあるといい、どれもほっとする味わい。史子さんの人柄がそのまま表れているようだ。

『江戸堀 焼豚食堂』選べる小鉢のメニュー
約半分が定番、残りは季節に合わせて変わっていく。ナスの煮浸し、じゃがいもの照り焼きが人気という。
『江戸堀 焼豚食堂』選べる小鉢
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1日6~7食限定!「ちゃーしゅーエッグ定食」

基さんが「焼豚の分厚さは、通常の2倍以上。しっかりお肉が食べたい時におすすめです」と胸を張るのが、1日6~7食限定の「ちゃーしゅーエッグ定食」。

『江戸堀 焼豚食堂』ちゃーしゅーエッグ定食
ちゃーしゅーエッグ定食1320円。ほろほろの煮豚ちゃーしゅーを豪快に味わえる。ご飯は、大盛り無料。奈良県産「ひのひかり」を少なめの冷水で炊いており、焼豚に合うように調整を重ねたという。
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煮豚ちゃーしゅーの両端を厚切りにカットした肉が、皿にどんと構える。その量はなんと170g超え。「塊肉の端っこは、味が一番しゅんでる(しみ込んでいる)んです」と基さん。見た目の迫力に反してくどさはなく、ご飯がとまらない。

上にのせられた目玉焼きは黄身がとろりと溶け出し、コクをプラスしてくれる。毎回これしか注文しない常連客もいるといい、確実に味わいたいなら早めの来店が吉だ。

『江戸堀 焼豚食堂』ちゃーしゅーエッグ定食の焼豚
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『江戸堀 焼豚食堂』豚汁
+220円でスープを豚汁に変更できる。薄切りの豚バラ肉に大根やニンジン、ゴボウ、玉ネギなど9種類の具材を、糀味噌で仕立てる。焼豚2~3枚を小皿に添えた豚汁定食1320円もスタンバイ。
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元会社員のご夫婦が開業し、早6年

『江戸堀 焼豚食堂』が暖簾をあげたのは約6年前。1度目の緊急事態宣言が発令された翌日のことだ。

それまで基さんは保険会社、史子さんは証券会社に勤めていた。「急に『焼豚メインの飲食店をやる』と言い出して。当時は大反対しましたが、物件や改装業者との縁にも恵まれ、あれよあれよという間に開業準備が進んだんです」と史子さん。

朱色のひさしが目印。2020年4月8日にオープンした。
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焼豚を主役にしようと考えたきっかけは、神戸・元町に本店を置き、阪神梅田本店にも店舗を展開する焼豚店『新生公司』の存在だ。その焼豚が基さんの好物だったことから、家ではたびたび食卓に並んだという。

開業に向けては独学で試作を重ね、現在の味にたどり着いた。「焼豚は仕込みが肝心です。料理人としての土台はほとんどないので、とにかく丁寧に時間をかけて作っています」と謙虚に語る。

カウンター越しに米の量を「これくらいでいいですか?」と聞いてくれたり、帰り際に「いってらっしゃい」と声を掛けてくれたり。父と母のような温もりと、実家のような安心感がそこにはある。ふとした時に「あぁ、また食べたい…」と思い返してしまう。そんな“お昼の居場所”のような一軒だ。

『江戸堀 焼豚食堂』ご夫婦
二人三脚で店を切り盛りするご夫婦。「午後からも頑張ろうという気持ちになってもらえたら本望です」とお二人。キャップは常連客からの贈り物で、それぞれ「焼豚担当」「惣菜担当」の文字が縫われている。
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『江戸堀 焼豚食堂』店内
カウンター中心の店内。焼豚定食、ちゃーしゅーエッグ定食、ちゃーしゅー丼セットはテイクアウト可能。予約制で惣菜や焼豚、ドリンク1杯が楽しめる3種類の夜定食2310円~も用意する。
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おしごとランチ、おでかけランチ

限られた時間と予算で、つい無難に済ませがちな毎日のランチ。 コスパ重視からちょっとした贅沢まで、明日行ける”ちょうどいい”一軒をご紹介。

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amakara.jp編集部

amakara.jp

関西の食雑誌「あまから手帖」(1984年創刊)から生まれたwebメディア「amakara.jp」を運営。カジュアル系からハレの日仕様まで、素敵なお店ならジャンルを問わず。お腹がすくエンタメも大好物。次の食事が楽しみになるようなワクワクするネタを日々発信中。

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