兵庫・芦屋『ELEPHANT RING』。継承されたバウムクーヘンが、笑顔の輪をつなぐ

兵庫県芦屋市に『ELEPHANT RING(エレファント リング)』が開店したのは2018年のこと。かつて神戸市北区の山間にあったバウムクーヘン専門店のレシピを受け継いでのデビューであった。

ご縁がつないだバウムクーヘン

2018年初め、神戸で人気のバウムクーヘン専門店が幕を閉じることに。その味を受け継いだ『ELEPHANT RING』副社長の西尾亜衣さん。「とてもおいしいバウムクーヘンだったので、あの味がなくなるのは大変惜しいことだと思いまして。レシピも焼成機もそのまま。そして職人さんにも継続して働いていただけるよう準備を整えて、開店に至りました」と当時を振り返る。
一度は消えそうになった名店の味は『ELEPHANT RING』として同じ年の10月に芦屋で復活。瞬く間に評判となり、新天地で新たな年輪を刻むことができたのだ。

兵庫・芦屋『ELEPHANT RING』バウムクーヘン
層の重なりが美しい。みっちりと詰まっているけれども軽い口どけが好評のバウムクーヘン。
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兵庫・芦屋『ELEPHANT RING』店内
ヨーロッパの家庭のリビングダイニングをイメージした店内。繁忙期は早朝5時から奥にある工房でバウムクーヘンが焼かれている。
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兵庫・芦屋『ELEPHANT RING』外観
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焼成に1時間。1日9本の手焼きバウム

ドイツ発祥のバウムクーヘンは「バウム」が木を意味し、「クーヘン」はケーキ。太い丸太の年輪のように一層ずつ生地を焼き重ねたお菓子だ。日本では結婚式の引き出物やホワイトデーに、長寿のお祝いなど、ご縁をつなぎ、永く時を重ねられるようにという願いを込めた贈り物として親しまれてきた。

材料はシンプルで、新鮮な卵にバター、小麦粉、砂糖に生クリームなど。ミキサーで攪拌し、メレンゲを加えて合わせると、最後は職人の手で感触を確かめて微調整をする。
焼成機は専用のもので、庫内は約300℃にもなるガスオーブンだ。手前に生地を流し入れておき、一層焼いてはバーを下ろし、生地を纏わせ、オーブンへ入れてまた一層焼く。これを25〜26層、ひたすら繰り返す。1本完成までにおおよそ1時間。早朝から焼き始めても、1日9本が目一杯だとか。

また生地を焼くと空気が入った部分がぷくりと膨らむ。それを目視で見つけ、熱い生地を手で押さえて空気を抜き、美しい層になるよう焼いていく。オーブン前に焼き手は付きっきりで状態を見ながら焼加減を調整している。こうして手焼きならではの味わい深いバウムクーヘンになる。

兵庫・芦屋『ELEPHANT RING』バウムクーヘン、1層目を焼く
中心となる1層目はこんがりきつね色になるまでしっかりと焼く。棒を回転させながらトンボという道具で生地を押すようにしながら纏わせていく。
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兵庫・芦屋『ELEPHANT RING』バウムクーヘン、焼き重ねる
1時間かけて焼き重ねてそろそろ完成間近。
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兵庫・芦屋『ELEPHANT RING』バウムクーヘン、空気を抜く
熱い生地の気泡を押さえて空気を抜く。オーブンの前も暑いので冬場でも冷房やサーキュレーターを回しながらの作業だ。
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完成したらすぐにラップを巻いてひと晩寝かせ、休ませる。注意深く生地を合わせ、焼き加減に目を配っていても、翌日状態を確かめると、理想よりも生地が縮んでいることもあるのだとか。シンプルな素材と工程で作るお菓子だからこそ、難しく奥が深い。

兵庫・芦屋『ELEPHANT RING』バウムクーヘン、焼き終わり
これ1本を焼くのに1時間。完成したらすぐに表面をラップで覆い、ひと晩休ませ、翌日包丁で手切りする。
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口溶けのよさは冷やしても焼いても

『ELEPHANT RING』のバウムクーヘンは、バターや卵黄のコクはしっかりと感じられるが、油脂分が口に残らず後味がすっきりとしている。バサバサせず、口の中の水分を持っていかれることもない。しなやかな口当たりが特徴だ。
「香料や膨張剤、乳化剤を使っていないので素材の味が生きてしっとりした食感に仕上がります」

薄くスライスして食べると生地の口溶けのよさがよく分かる。「固めの食感がお好きな方は冷蔵庫で冷やして。またオーブントースターで軽く焼くとバターの香りが引き立ってまた違ったおいしさを感じていただけると思います」と、西尾さん。

兵庫・芦屋『ELEPHANT RING』バウムクーヘン、中身
バウムクーヘンM(高さ5㎝)のギフトBOX3888円。家庭で味わうなら化粧箱ではなくシンプルBOXを選ぶと同じサイズが3456円で購入できる。賞味期限は5日。
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一人前バウムクーヘンに、ラスクやフロランタン

紺色とエメラルドグリーンのシックで洗練されたパッケージのデザインも素敵で、贈り物にも人気。なかでもビジネスマンの外せない手土産としてのニーズも高いようで、店にはスーツ姿の男性客の姿も多い。

バウムクーヘンの直径は約13㎝。厚みが3㎝のSサイズから7㎝のLサイズまで3サイズある。
他にもバリエーションは様々。今回店頭で見つけたのは、「ディスクバウム」なるユニークな商品。これはバウムクーヘンを約1㎝に切ったもの。「輪っかの状態を丸ごと食べてみたいけれど、Sサイズでも1人で一度には食べきれない」というお客さんの声をヒントに生まれた。このサイズ感ならバッグにも入り、ちょっとした手土産やギフトに、気負わずに渡すこともできる。

兵庫・芦屋『ELEPHANT RING』新商品の「ディスクバウム」
新商品の「ディスクバウム」は約1㎝の食べ切りサイズ1296円。
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兵庫・芦屋『ELEPHANT RING』「バウムラスク」「バウムフロランタン」
左が「バウムラスク」1080円。サクサクほろほろと層が崩れていく食感がクセになる。右は「バウムフロランタン」1296円。土台にバウムクーヘンを4層分敷き詰めて上にヌガーとスライスアーモンドを。賞味期限はいずれも2か月。
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また、焼き上げたバウムクーヘンを寝かせ、生地が理想通りに完成しなかった場合は別のお菓子に加工する。薄く切ってオーブンで焼いたパリパリとした食感の「バウムラスク」。

フロランタンの土台に開いたバウムクーヘンの生地を4層敷き、その上にキャラメルヌガーを流して固めた「バウムフロランタン」もとてもおいしい。フロランタンは硬いものが多いが、サクッと噛み切れ、パクパクと手が止まらない。

選りすぐった上質な素材で焼いたバウムクーヘンが軸となっているので、それぞれおいしいお菓子に生まれ変わるという訳だ。

バウムクーヘンが買える場所は

芦屋の店舗以外にも
・オンラインショップ
・グランドフードホール六本木店(毎週金曜にSサイズ10個限定)
・グランドフードホール芦屋店・星が丘店(不定期販売)
で購入できる。
食べる人に笑顔を運ぶバウムクーヘン、ぜひ一度ご賞味あれ。

兵庫・芦屋『ELEPHANT RING』手提げ袋
中身が見えないようにという配慮から、まるでブーケのようにラッピングしてくれるのが嬉しい。
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編集部選☆間違いない関西手土産

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writer

三好 彩子

Miyoshi Ayako

愛媛県生まれ。関西の飲食店の皆様に育てられ、丸々成長した食いしん坊フードライター&編集者。特技はレストランの厨房に潜入取材をすることで、調理師免許も取得。イベント司会や企業のプロモーションも担う。共著書に『ご当地グルメコミックエッセイ まんぷく神戸』(株式会社KADOKAWA)がある。