習慣が不調の原因かも?夏の疲れを癒す“食薬”のこと/漢方薬剤師・大久保 愛先生

NHKドラマの影響もあって、いま大注目の“薬膳”。
長引く夏に体の不調を感じているひとも多いはず。薬膳・漢方をはじめとする東洋の考え方に、現代の医学を組み合わせた「食薬」を提唱する漢方薬剤師・大久保愛先生に、薬膳の取り入れ方のコツや、いまの季節に出やすい不調と対策について教えていただいた。

参考文献
『不調がどんどん消えてゆく お悩み別 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)
『心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
『体がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン) いずれも大久保愛著

続けることで身体の変化に気づきやすくなる

こんにちは。
皆さんは、「薬膳」にどんなイメージをお持ちでしょう。
「漢方」とか「薬膳」って、毎日の生活の中に習慣として取り入れるには少し難しい感じをお持ちの人も多いのではないでしょうか。

私は薬膳をはじめとする東洋の考え方と現代の医学を組み合わせ、毎日の習慣として取り入れてもらいたいという思いから「食薬」という言葉を使っています。

当然ですが、食べものは薬ではないので、1回の食事で劇的に効くものではありません。毎日の積み重ねで身体を作っていくものですし、続けることで昨日とのちょっとした身体の変化にも気づきやすくなります。

8・9月は不調が出やすい季節

この8月から9月にかけては、不調の原因が重なりまくる季節です。
暑いから、買い物も料理も面倒になって、素麺ばかり食べていませんか? で、おやつにアイス、夜はビール……思い当たる人、たくさんいますよね(笑)
身体を冷やして糖質ばかり摂りがち。加えて紫外線や暑さ、ゲリラ豪雨や台風などの環境の変化もストレスに…。こうしたことから、胃腸の調子が悪くなり、自律神経も乱れ、よく眠れないなどと、どこがスタートかかわからないほどに、不調が身体に表れやすくなります。

そこで、この季節に特にお悩みとして挙げられがちな3つをあげ、対策におすすめの食材を挙げてご紹介しています。
疲労感・だるさ・倦怠感…アボカド
胃腸の不調(消化機能の低下)…大根おろし(8月21日配信)
気分の落ち込み・イライラ…セロリ、ミニトマト(8月21日配信)

ここで挙げている食材は、あなたの買い物のルーティンにはないかもしれませんが、だからこそ取り入れてみてほしいと思います。
いつ食べる?どのくらい?など細かいことは気にせず、まず食べる頻度を上げる、続けてみることです。

食事は1日単位で考えない

とはいえ、食事は、ただ健康のためだけに摂るものではありませんよね。
食事は人生の一部。「健康」「コミュニケーション」「幸福度」の3つの要素を持つものだと思います。
将来の健康だけを考えて、友達と食べるクリームたっぷりのパンケーキに罪悪感を持つなんて楽しくないですよね。仲良くなるためのパンケーキなら、私は全く問題ないと思います!

ただし、健康を目的とする日には、栄養をしっかり摂ること。100%完璧な食事なんてないので、3日、1週間、1か月というおおらかな単位で帳尻を合わせて健康を維持すれば、好きなものも食べられるし、人生が豊かになりますよ。

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writer

大久保 愛

okubo ai

漢方薬剤師、国際中医美容師、国際中医師、薬膳料理家、漢方カウンセラー。
出身地・秋田の山で薬草や山菜に触れていたことから、漢方や薬膳に興味を持ち、自らのアトピー性皮膚炎を克服。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。北京中医大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人初の国際中医美容師資格を取得。薬膳の考えを取り入れた商品やレシピ開発、メディア出演や著書執筆など活動内容は幅広い。株式会社ツムラ「漢方ビュー」など、専門知識を生かした連載も多数。