
夏のお悩み①疲労感・だるさ・倦怠感にはアボカドを/漢方薬剤師・大久保 愛先生
長引く夏に体の不調を感じているひとも多いはず。薬膳・漢方をはじめとする東洋の考え方に、現代の医学を組み合わせた「食薬」を提唱する漢方薬剤師・大久保愛先生に、薬膳の取り入れ方のコツや、いまの季節に出やすい不調と対策について教えていただいた。
うっかり日傘を忘れようものなら、肌が痛くなるほどの暑さと紫外線。
日中、少し外出するだけでどっと疲れてしまうもの。
まずは、日中の大量の紫外線が引き起こす「だるおも~」の悩みから!
参考文献
『不調がどんどん消えてゆく お悩み別 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)
『心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
『体がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン) いずれも大久保愛著
contents
活性酸素が疲労感やだるさの原因に
夏は漢方の陰陽五行の考え方でいうところの「心」(しん)を強化することで元気が保たれる時期にあたり、紫外線が原因で気分が不安定になったり、身体に疲労感やだるさが起こりやすい季節です。
精神的に疲れる“心(こころ)バテ”についてはこちらの記事で紹介するとして、ここではまず、全身の疲労感やだるさについてお話しましょう。
強い紫外線によって体内に発生する活性酸素がミトコンドリア(身体を動かすエネルギーを作っている器官)の機能を低下させると、ATP(エネルギー)の生産が下がり、倦怠感へと繋がります。8月に紫外線量が多いのは言うまでもなく、9月以降は減少するとはいえ、油断はできません。
栄養豊富なアボカドで紫外線に対抗
活性酸素の除去が期待できる食品として特におすすめなのは、ギネスに“最も栄養価が高い果物”として認定されているアボカド。抗酸化作用のあるビタミンACEを含み、血行の改善にも役立つといわれています。
これだけでもハイスペックなアボカドですが、青魚やタコ・イカと一緒に摂るのをおすすめします。
活性酸素を発生させる紫外線から身体を守るには、アボカドの持つビタミンACEに加え、脳細胞の機能低下の防止に役立つオメガ3脂肪酸を含んだ青魚を一緒に摂ると、さらにバランスが良くなります。高タンパクでタウリンや亜鉛を多く含むイカやタコと併せるのもいいですね。同じく抗酸化作用のあるトマトを加えてカルパッチョなんていいと思いますよ。
ただしアボカドはカロリーも高いので、多くても1日1個までに。
アボカドがないときでも、夏野菜をはじめ、カボチャ、ニンジンといった緑黄色野菜を積極的に摂って活性酸素対策をしてください。

writer

大久保 愛
okubo ai
漢方薬剤師、国際中医美容師、国際中医師、薬膳料理家、漢方カウンセラー。
出身地・秋田の山で薬草や山菜に触れていたことから、漢方や薬膳に興味を持ち、自らのアトピー性皮膚炎を克服。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。北京中医大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人初の国際中医美容師資格を取得。薬膳の考えを取り入れた商品やレシピ開発、メディア出演や著書執筆など活動内容は幅広い。株式会社ツムラ「漢方ビュー」など、専門知識を生かした連載も多数。
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