
夏のお悩み②胃腸の不調(消化機能の低下・便秘・むくみ)には大根おろし/漢方薬剤師・大久保 愛先生
長引く夏に体の不調を感じているひとも多いはず。薬膳・漢方をはじめとする東洋の考え方に、現代の医学を組み合わせた「食薬」を提唱する漢方薬剤師・大久保愛先生に、薬膳の取り入れ方のコツや、いまの季節に出やすい不調と対策について教えていただいた。
便秘でおなかが張っていたり、おなかがゆるかったり。消化機能の低下には、身体を作り、温める対策を!
参考文献
『不調がどんどん消えてゆく お悩み別 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)
『心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
『体がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン) いずれも大久保愛著
contents
困ったら、まずは胃腸のケア
冷房の効いた部屋で、昼に素麺を食べ、夜はアイス…夏のあるあるな生活を続けていれば、「脾胃 (消化系)」が冷えて消化機能が低下してしまいます。
便秘や下痢の不調は、胃腸が弱っているサイン。さらに、湿度が高いと身体に“湿(余分な水分)”がたまりやすく、巡りが悪化してむくみやだるさ、食欲不振にも。
そんなときは、胃薬かのように 、消化を助けたり、抗酸化・抗炎症作用のある大根おろしを積極的に食べることをおすすめします。皮ごとすり下ろして栄養を丸ごといただいてください。梅干しやキャベツも、消化の働きを助けてくれる食材として優秀です。
温活は身体づくりから
胃腸を整えるなら、大根おろしだけでなく、身体を温める食材を摂りたいところ。
身体を温めるというと、真っ先にショウガが思い浮かびますが、これはマッチのようなものなんです。マッチに火が付けば一瞬温かいけれど、薪が無ければ持続しませんよね。だから薪となる身体を作る食材が必要なんです。夏バテに有効な豚肉は、胃腸が弱っていると食べにくいこともあるので、鉄やタンパク質、ビタミンBを含む鶏肉を煮込んでスープにしたら栄養が摂りやすくなります。
冷え対策と胃腸の修復なら、手羽先とショウガをよく煮込んだスープを作り、仕上げに大根おろしを添えるのがいいと思いますよ。
漢方でも、昔から最も大事なのは胃腸と言われています。身体もだるいし、メンタルも弱っていて、なにもやる気が起きないというときは、まずは胃腸を絶好調にすることです。
『いいウンチしよう』って(笑)。まずはそこからです。
栄養価が格段に上がる万能・乾物ふりかけ
手軽に自分に必要な栄養を摂る方法として、私はよく乾物ふりかけを持ち歩いています。
水で戻すのが面倒な乾物も、ミルで砕いでしまえばOK。
腸内環境を整えたいときは、ワカメや黒ゴマ、切り干し大根を。動物性の干しエビや煮干しを加えれば、タンパク質や鉄分も補えます。
コンビニのお弁当にかけたり、おにぎりやサラダ、から揚げの衣やチャーハンなど、自信のない食事の時に入れれば、栄養価がグッと上がる便利なアイテムです。

writer

大久保 愛
okubo ai
漢方薬剤師、国際中医美容師、国際中医師、薬膳料理家、漢方カウンセラー。
出身地・秋田の山で薬草や山菜に触れていたことから、漢方や薬膳に興味を持ち、自らのアトピー性皮膚炎を克服。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。北京中医大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人初の国際中医美容師資格を取得。薬膳の考えを取り入れた商品やレシピ開発、メディア出演や著書執筆など活動内容は幅広い。株式会社ツムラ「漢方ビュー」など、専門知識を生かした連載も多数。
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