子どもとごはんvol.2:実はフランス郷土料理プレート。兵庫・夙川『Bistrot et Vin 20区』

子連れでの食事は、行き先を選ぶものですよね。連載「子どもとランチ、ときどきディナー」では、お子さまウェルカムなお店を紹介します。今回は、夙川の閑静な住宅街にて、パリ帰りのシェフが営むビストロ『20区』。隠れ家的な風情から、大人のお店かと思いきや、実は子連れもウェルカム。お子様メニューはもちろん、嬉しい配慮がたくさんありました。

パリで見た光景を目指して

1年間過ごしたパリでは、一般家庭にホームステイし、パリの子育ても目の当たりにしたという森 康シェフ。

ビストロでの食事を子連れで楽しむ光景や、周囲を気にしない文化から日本よりも子どもに寛容な社会だと感じたことが印象に残っているといいます。独立を決めた時、そんな“周りを気にせず、子連れでおいしいごはんを食べられるお店”をしたいと強く思ったそう。

「開業当時、私の子供も1歳だったため、子連れで行けるお店があまりないと感じて。そんな時、パリでの光景を思い出し、周りを気にせず楽しめるお店として、個室があってベビーカーでも入ることができ、大人も子どもも楽しめるお店をしようと思いました」。

夙川、20区
予約時には子供の年齢やアレルギー、食べられないものを聞いてくれます。
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実はフランス料理です

「キッズプレート」の内容は、主菜と副菜、バゲット、フルーツ、焼き菓子。
一見すると何気ない子供向けの愛らしい料理に見えますが、主菜は、フランス・ロワール地方の郷土料理で、鶏肉と野菜をクリームで煮込む「フリカッセ」。

そして副菜は、フランス南東部・ドフィーネ発祥の料理で、薄切りにしたジャガイモを牛乳などで煮込むグラタン「ドフィノワ」と、まぎれもないフランス料理。現地でも子どもが大好きな料理です。
味付けもまた「お子さま用は塩分を薄くし、その分時間をかけて野菜の甘みや旨みを引き出すよう火を入れて塩やスパイスを使わずともおいしくなるよう仕上げています」と森シェフ。

20区お子さまメニュー
お子さま用メニュー1100円。左手前の主菜は、フランス・ロワール地方の郷土料理「フリカッセ」。左奥の副菜は、フランス南東部・ドフィーネ発祥の料理「ドフィノワ」。「お子さんとの会話のきっかけや、ご飯を食べる気になってくれたら」と、最初は青とピンクのカトラリーを並べ、好きな色を選んでもらいます。
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料理への配慮は感動もの!もちろん個室もあり

特にママが感動するサービスは、「小さいお子さんは料理が目の前に来たら、がまんできないと思うので、ご予約時間の30分前に作っておき、温度を落としてから提供しています」という配慮。
料理が到着したら、ママが急いでフーフーと息を吹きかけて料理を冷ますこともしなくていいのです!

このほか、子どもの年齢に応じて素材の大きさを変えたり、大きな子どもにはボリュームアップやお肉料理の追加、または大人のコースから量を減らしたりすることも可能。
一方で小さな子どもには鶏ミンチをそぼろ状にするなど、離乳食終了直後のベビー用の調理も対応可能だそう。離乳食やご飯だけの持ち込み、お菓子の持ち込みも可能、というのもありがたい限りです。

「お子さんが楽しめずにぐずると、大人の満足度も下がってしまうので、お子さんが思いっきり楽しめるように、できることをしたいですね」とにこやかに笑う森シェフ。ママ同士やファミリーでぜひ訪れたいビストロです。

20区個室
最大8名までの個室は窓や壁に沿ってL字にベンチシートになっており、子どもイスもあるため、幼児に嬉しい限り。小さな子どもはベビーカーのまま個室に入ることも可能です。基本的に子連れは個室へ案内されますが、カウンター席の後ろにあるスペースも「ベビーカーを置くことが可能なように広くとっています」と森シェフ。
20区お子さま
20区個室
個室には、カウンター(厨房)が見える小さな窓が。ここから顔を出して遊ぶ子どもたちとよく目があうのだとか。
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<ここが嬉しい!>
・トイレにおむつ替えシートあり
・トイレに幼児用の便座あり
・子ども用カトラリー、食器あり
・ベビーカー入店可
・カウンターやテーブルに設置するベビーチェアあり
・子どもイスあり

『20区』外観
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子どもとごはんvol.1:個室で“お子さまコース”大阪・淀屋橋『プレスキル』

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writer

佐藤 良子

satoryoko

料理取材に徹して20年の食ライター。歴史が好きなため、料理史の観点から見るレストラン取材がライフワーク。日々賑やかな小学生2児の母。
instagram@ryocosugar