冬の名物・水羊かんの技で作る、福井市『えがわ』の“水かんてん”
福井で「水羊かん」は“冬”のお菓子
水羊かんは、涼を感じる夏ならではの和菓子。それが世間の一般的な認識だ。ところが、福井市ではその真逆。「こたつにミカン」と並ぶぐらい、冬にいただくのがお約束だという。
「寒さの厳しい福井では、暖かい部屋に身を寄せ合って家族や友人と過ごす時間を昔から大切にしています。そんな時間になくてはならないお菓子が、よく冷えた『水羊かん』なんです」と和菓子屋『えがわ』の専務を務める江川真紀子さん。
冬の寒さを生かしてゆっくり冷やし固める工程もおいしさの秘密だそう。そこに「福井ならではの伝統を残したい」という想いも重なり、多くの店は冬にしか水羊かんを作らない姿勢を守り抜いているという。
令和の新作「水かんてん」とは
今回取材に伺ったのは、9月上旬。残念ながら水羊かんはないけれど、「水かんてん」なる新作が、2020年から登場している。「伝統を守りたい気持ちがありつつも、冬以外の季節に来られるお客さまに名物の水羊かんをお渡しできないことが、ずっと申し訳なくて」と新作に挑んだ経緯を話す江川さん。
一番大切にしたのは、水羊かん同様の滑らかなのど越しと瑞々しさ。何度も試作を重ね、木べらですくった時にギリギリ形を保つ柔らかさに寒天の配合を調整。寒天液を大鍋でゆっくり丁寧に混ぜ合わせ、そっと四角い箱に流し固める工程は、長年の水羊かん作りで培った技術がベースになっている。
旬の果実を楽しむラインアップ
「水かんてん」は「黄金の梅」と大納言小豆の粒を散らした「抹茶」を通年販売するほか、季節限定商品も続々と登場している。
春は福井県産の完熟イチゴ、夏は信州産のモモや国産キウイ、福井県産の完熟イチジクなど、素材を厳選したものばかり。素材によって果汁と果実を使い分けるなど、細部までこだわり抜いた色とりどりの水かんてんは、予想以上に若い世代にも受けているという。
「水羊かん」をジェラートにリメイク⁉
2022年に誕生した「水羊かんジェラート」なる新作も面白い。石川県にあるジェラート専門店『アーリオ・オーリオ』と共同開発したそうで、冬の間に仕込んだ水羊かんをベースに生乳やクリームなどを加え、個性的な和洋折衷ジェラートへと変身させている。
「『水羊かん』を年中楽しめる新しい形です」と江川さん。水羊かんの効果なのか、トルコアイスを思わせる独特の粘り。ミルキー感がありながら品の良いあっさりとした甘さで、こちらも水かんてんと同じく、ぺろりと平らげてしまう。
data
- 店名
- えがわ
- 住所
- 福井県福井市照手3-6-14
- 電話番号
- 0776-22-4952
- 営業時間
- 8:30~17:00(11~3月は18:00まで)
- 定休日
- 水曜・第3日曜(11~3月は無休)
- 交通
- えちぜん鉄道福大前西福井駅から徒歩15分、またはJR福井駅から車で8分
- メニュー
- 水かんてん各種800円~、水羊かん1箱900円。
writer
川島 美保
kawashima miho
両親曰く、「生まれた時から食いしん坊」。3歳の頃から庖丁を握り、8歳から菓子作りにハマる料理好き。趣味と実益を兼ねて食メインの編集兼ライターになり、気付けば20余年。酒は弱いが、味は好き。甘いものはいくらでも。食べたいものを好きなだけ食べられる健康的な身体造りを目指し、週2回の筋トレに励んでいる。
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