越前市『ジャムハウス』で、福井のローカルグルメ「ボルガライス」を

「わかりやすく説明すると、オムライスの上にトンカツがのった料理です」と店主が語るのは、福井のソウルフードとして長年愛されている、とある洋食。てっきりボリューム重視のB級グルメかと思えば、何気ないひと皿には特級のこだわりが隠れていた。

福井名物ボルガライスって何?

福井県外の人にはあまり聞き慣れないボルガライスは、福井県中央部に位置する越前市の武生エリアを中心とした洋食店やレストラン、食堂で数十年前から親しまれているローカルグルメだ。

共通する特徴はざっくり言うとオムライスの上にトンカツがのっている点で、ライスとソースの味わいは店によってさまざま。デミグラスソースを使う店があれば、ケチャップやマヨネーズを使う店もあり、中にはだしを利かせた和テイストのボルガライスを出す店までも。最近はボルガライス食べ歩きツアーに勤しむ観光客もいるという、なかなかの熱狂ぶりだ。

店主は現役のメタル歌手

現在県内で20軒を超えるボルガライス提供店のなかで、ことのほか有名なのが、発祥店のひとつとされている『ジャムハウス』だ。

店名のジャムは、甘いジャムではなくて音楽用語のJAM。店主の竹内稔浩さんは現役のヘヴィメタルバンドボーカルという異色の経歴を持っている。竹内さんの趣味を詰め込んだ店内は70年代のレトロアメリカンテイスト満載。カウンターを見れば、ビッシリと並ぶキャラクターフィギュアやレコード。随所に漂うクセの強さに、これは店名通り料理も即興的で破天荒だろうと予測したが、むしろその逆だった。

『ジャムハウス』店内
オープンは1989年。アーケードゲーム機やゴジラのポスターなど、店内は竹内さんの趣味の塊。
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『ジャムハウス』店主の竹内稔浩さん
店主の竹内さんは地元出身で、17歳から音楽の勉強で3年ほどイギリスに滞在。現在音楽活動は東京を拠点に行っている。
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半熟オムレツは‶のせる″だけ

「ウチのボルガライスは、今とは違う店をしていた40年以上前に、とある常連客だけに出していた裏メニューが始まりです。すごいボリュームに見えるでしょう?」。湯気が上るボルガライスを差し出しながら、竹内さんが意味ありげに笑う。

『ジャムハウス』のボルガライス
30㎝近い大皿に盛られた「ボルガライス」980円。トンカツは脂身少なめの豚ロース肉を選んでいる。
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笑顔の理由は、食べれば納得。玉ネギとピーマンだけが具材のケチャップライスは、本格炒飯のように米の粒が立っていてパラパラ。ライスに触れる面だけを半熟に焼いた薄めのオムレツがいい感じにとろんと絡む。仕上げの自家製トマトソースの爽やかな酸味と甘みがまた絶妙で、食べ応えはあるのにあっさり。ぺろりと食べ切れてしまう。

「思った以上に軽いでしょう?上にトンカツがのるから、ライスに鶏肉は入れない。イメージしやすいようオムライスと説明しているけど、ウチはライスを包まず上にのせるだけ。包むと味の感じ方が変わるからね。料理は科学。オムレツやトンカツの厚み、ご飯の炒め加減など、すべてバランスを計算しています」。生き生きと語る姿から、音楽に負けない熱量で料理に挑んでいるのがよく分かる。

一品足すならお好みジャムラを

大阪で食べたお好み焼きを竹内さんが『ジャムハウス』風にアレンジしたというお好みジャムラも一食の価値ありだ。 こちらはピラフの上にしっかり火を通したオムレツとトンカツを重ね、その上にやや甘めの自家製カツ丼用ソースをかけたもの。マヨネーズ、カツオ節、青海苔のトッピングと、しれっとピラフに混ぜ込んだ紅ショウガが、見事にお好み焼きテイストを奏でる。

『ジャムハウス』のお好みジャムラ
店名とウルトラマン怪獣のジャミラにちなんで名付けられたお好みジャムラ1050円。福井でカツ丼と言えば、ソース味がスタンダード。そのカツ丼用ソースを活用している。
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地元民が愛用するテイクアウトも

ピザやスパゲッティもカバーするメニューは50品以上。そのほとんどが、実はテイクアウトできる。「地元自治体の子ども会や親睦会、親族の集まりなど、大人数の宴席に喜ばれています。多いときは何十人分も用意しますよ」とニーズを話す竹内さん。
予算に合わせた盛り合わせも対応していて、年代問わずに人気が高いのは、トンカツやエビフライなどの揚げ物。

気になったひと口カツをテイクアウトに選んだら、結構なボリュームだ。「こちらは豚ロースで、味付けは自家製カツ丼用ソースです」。家族への手土産にするのも良いけれど、帰りの特急電車でビールと楽しむのもご機嫌だ。

『ジャムハウス』のひと口カツ
ひと口カツは1箱7個入850円。トンカツの揚げ技は、名古屋の有名トンカツ店で本格的に学んだそう。
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writer

川島 美保

kawashima miho

両親曰く、「生まれた時から食いしん坊」。3歳の頃から庖丁を握り、8歳から菓子作りにハマる料理好き。趣味と実益を兼ねて食メインの編集兼ライターになり、気付けば20余年。酒は弱いが、味は好き。甘いものはいくらでも。食べたいものを好きなだけ食べられる健康的な身体造りを目指し、週2回の筋トレに励んでいる。

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