子供からお年寄りまで楽しめる手づくりジンジャーエールの巻

子供からお年寄りまで楽しめる手づくりジンジャーエールの巻

カワムラケンジの「スパイスな一皿」

2022.10.07

文・撮影:カワムラケンジ

ショウガってなに?それは根っこのような茎で、育つまで半年以上もかかって、多くの料理に使えて…それでいてやっぱり身体にとってもいいスパイス!というわけで、今回はクラフトジンジャーエールのレシピをご紹介。

目次

本場、高知でショウガを学ぶ! となるとやっぱり育ててみたい 「クラフトジンジャーエール」レシピ

本場、高知でショウガを学ぶ!

我々日本人にとって、あまりに身近で普通過ぎるスパイス、ショウガ。でもよく考えてみれば、旬はいつで、どうやって育って、本当に身体にいいのかなど、謎だらけ。そこでかつて僕が主宰していたスパイス専門誌「スパイスジャーナル」(現在休刊中)vol.16において、丸ごと一冊「生姜特集」を組んだのでした。

特集の柱は、ショウガの本場高知の若手農家たちの取材。行き先は高知の中でも生姜栽培が最も盛んといわれる、いの町。こちらに10名ほどからなる期待の若手チームがあり、たくさんのお話を聞かせていただきました。

ショウガの種はショウガ。食用となるのは根のような茎、根茎(こんけい)と言われるもので、種ショウガの栄養分を元に地下で増殖する。25~30℃の高温多湿を好み、4月頃に植えて、10月か11月に収穫という半年以上の長期栽培。とれたてのショウガは9割以上が水分。いの町は、仁淀川のおかげで大きくて質がいいものが育ちます。

高知のショウガ圃場の、収穫1か月半前のショウガ。高知のショウガ圃場にて。収穫1か月半前のショウガ。人の顔より大きく育つとか。

収穫後は岩場をくりぬいた洞、気温15度以下の「横穴」で保管するのが伝統。温暖化が進む昨今は、業者の巨大冷蔵庫などで保管することが増えている。ちゃんと管理していれば一年を通して出荷できる、などなど。

高知に残るショウガの天然の保冷庫、横穴。高知に残るショウガの天然の保冷庫、横穴。

「今から100年ほど前に、いの町枝川地区の農家深田駒次さんという方が、高知で初めてショウガ栽培を始めたそう。それまで東南アジアやインドのように小さかったショウガを深田さんが大きく改良したことで、一気に、高知はもとより全国的に盛んになったと聞いています。」と話すのは、チームのリーダー格である『刈谷農園』代表の刈谷真幸さん。

刈谷農園では、日本で希少なオーガニック(2012年有機JAS認定)ショウガの生産も行っています。最近はニンニク栽培も始めたそうな。聞いてるだけで元気が湧いてきます。

他にも、各国のショウガの使い方を調べたり、プロの薬剤師や中医学の専門家に薬効について語っていただきました。インドの伝統医療アーユルヴェーダ、中国医学を中心に、ショウガは確かに古くから薬として考えられているのだなと実感した特集となりました。

となるとやっぱり育ててみたい

取材に行ったのはいいけど、感動してしまうほど僕は体験したくてしょうがないのでございマッスル。というわけで昨年5月初旬、高槻原地区の農家スエノブ君と共に高知産の大きなショウガを9株植えました。

彼は、キャロライナ―リーパーというトウガラシを専門としたオーガニック農家(『オーガニックファームHARA』)。本誌2018年5月号「北摂そだち」特集でも取材させていただいたことのある期待の若手です。

が、植えてから5、6か月後、掘ってみると成功と言えるのはわずか1株だけ。残り8株はほっそりのまさしくガリガリでした。

というわけで今年は24株定植。高知の農家に聞いたりネットを見たりして、土づくり、敷き藁、土寄せや追肥などいろいろとお世話して、9月下旬、ぱっと見にはめちゃいい感じになっています。 収穫は10月中~下旬の予定。今年はいけるか!?う~ん、待ちきれナイスよ。

土佐大生姜2022年9月のOhマイショウガ!

「クラフトジンジャーエール」レシピ

カワムラケンジ「クラフトジンジャーエール」レシピ

【材料(7~8人分)】

・ショウガ…240g(1P=約85gを3パック購入。平均歩留まり95%)
・キビ糖…240g(上白糖でも可)
・水…120㎖
・レモン果汁…24㎖
・ライム…2個
・氷…適量(1人分)
・炭酸水…150㎖(1人分)
※ウィルキンソンがおすすめ(宝塚生まれという地元贔屓(びいき)根性)!他と比べてひと際爽快な口当たりから、割材として日本の(サンボアなど特に関西の)バー文化を支えてきた。バー業界の誰もが認める強いタンサン、強炭酸。

・水…4カップ
・塩…適宜
・サラダ油…大さじ2

〈スパイス〉
・シナモンホール…1g(1~2cm)
※なくてもおいしくできます。

【レシピ】

ショウガを流水でよく洗い、傷や汚れている部分をピーラーなどで落とす。皮にはショウガらしい風味があるので、できるだけ残したい。
ショウガをスライスしてボウルに移し、キビ糖と合わせて約1時間置いて水分を出す。

カワムラケンジ「クラフトジンジャーエール」レシピキビ糖と合わせることで、浸透圧の違いからショウガの持つ水分が出てきます。新ショウガの場合、水分は多くヒネは少なめ。

②に水を入れて糖分を洗いながら鍋に注ぎ、シナモンホールを加えて火にかける
沸騰したら中火(中味が少し揺れる程度のコトコト)にして、約30分煮込む。

カワムラケンジ「クラフトジンジャーエール」レシピ

焦げないように時折ヘラなどでかき混ぜる。仕上げにレモン果汁を入れて、ひと煮たちしたら火を止める。
ショウガの果肉をざるなどで漉す。出来上がったシロップが280~320gになっているのがベスト。シロップを冷やす。
350~400㎖容量のグラスに、氷、シロップ30㎖(約45g)、4分の1に切ったライムを搾ってからグラスの中に入れる。
炭酸水を注ぎ、さっと混ぜたら出来上がり。

【その他のポイント】

〈シロップ編〉

・ジンジャーエールの元となるシロップの構成のおすすめの割合はこちら。
ショウガ:キビ糖:水:レモン果汁=1:1:1/2:1/10

・シロップはしっかりと煮詰め、密閉容器に入れて冷蔵保存すればかなり日持ちしますので、もっと大量に作り置きしても大丈夫です。

・お好みで、オレンジやパインのジュースと炭酸水(できれば強炭酸)で割る、というのもありです。

・炭酸水で割るだけでなく、ホットケーキのシロップとしても大人の味わいでバッチリ。残った果肉はそのまま食べてもいいし、蒸しケーキに入れたり、ハイボールやチューハイに入れてもグッド。モスコミュールやラムコークにもあいまくり。いやほんま。

〈ショウガ編〉

・ショウガは新ショウガでもヒネショウガでもおいしくできます。新ショウガは、鮮烈な香りが楽しめます。ヒネはヒネになるほど辛みが増していきます。品種や栽培方法にもよるのですが、ショウガらしい味がするのは皮の部分。基本的には傷や汚れている部分はピーラーなどでこそぎ取るのがいいですが、もしオーガニック品が入手できれば、安心だし、味わいも深いはず。

〈スパイス編〉

・スパイスを添加するなら、レシピ通り、一番のおすすめはシナモンです。ショウガが辛すぎるとやわらげてくれますし、泥臭さがあるときは消してくれます。これだと子供さんからお爺ちゃんお婆ちゃんまでが楽しめると思います。

・自分は辛党、という方はトウガラシを入れてみてください。トウガラシホール1本がベストです。ヘタ部分を切って種を捨ててから③で投入してください。

・もっと複雑に、なんてこだわり派はクローブ、ナツメグ、クミン、グリーンカルダモン、ブラックペパーなどもOKです。今回はフレッシュでおいしいショウガを前提にしているので、複雑なパターンはまたの機会に。

消化酵素満点の上、悪酔いを防ぐ力もあると言われるショウガ。とことん元気をくれるスパイスですね。あぁ、早く自家栽培中のショウガを味わいたい!

おてんとさま、ご馳走様です。

Writer ライター

カワムラケンジ

カワムラケンジ

Kenji Kawamura

ライター&スパイス料理研究家。『スパイスジャーナル』編集長。幼少の頃は近所の家々を食べ歩き、16歳から数々の飲食の現場で働き、ライターに。昨年からは夢だった畑も。「うまいものがあって、おもしろい人がおったらどこへでも!」。www.kawamurakenji.net

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