インド人アリムルくんが作る、本場モンのビリヤニ(チキン)を楽しむの巻【後編】

インド人アリムルくんが作る、本場モンのビリヤニ(チキン)を楽しむの巻【後編】

カワムラケンジの「スパイスな一皿」

2023.03.22

文・撮影:カワムラケンジ

僕のインド料理&農業の師匠の一人である、料理人のアリムルくんに教わる本場モンのビリヤニ(チキン)。【後編】ではレシピをご紹介します。「カレーより簡単」とアリムルくんは言うけれど、やっぱり日本人にはハードルが高い。上級編のレシピですが本当においしい本場のビリヤニが作れます。皆さんぜひトライしてみてください!

前編はこちら

目次

「アリムルくんのビリヤニ」レシピ ビリヤニのお供「ライタ」

ビリヤニはめちゃ難しいと思う方が多いと思いますが、実はアリムルくんがいうように、インド料理においてはシンプルなほうなんです。

作り方は大きく3通りあって、主には、タマネギ、トマト、スパイスなどを炒めたベース(グレイビー)と、半茹でしたライスを何度か重ねて蒸し上げる方法(今回もこれ)です。
ほか、スパイスやヨーグルトなどでマリネした肉に半茹でしたライスを載せて蒸し上げる方法、さらに水分多めのベースに生米を入れて炊き上げる方法があります。きちんとした料理店なら、蒸し上げの際に蓋と鍋をドウ(チャパティやナンの生地)で密閉することもあります。

なんややっぱり複雑やないか、と思われるかもしれません。
でも例えば、全インド人が愛してやまない家庭料理、ダルなんて、ゆうに15種類くらいがレギュラー格として存在するダル類(豆類)に、タマネギやジャガイモやニンジン、ホウレン草、他ご当地の野菜などを組み合わせます。フレッシュなトウガラシやカレーリーフなどのスパイスの使い方をアレンジすることも。
ほかにも野菜をメインとして豆類と組み合せることもありますし、豆と豆、野菜と野菜、という組み合せもあります。
豆も野菜も種類が多い。そこにさらにスパイスのいろいろな使い方も存在するので多種多様に――。

とまぁそういう永遠の多様インドにおいて、ビリヤニは確かにシンプルなんです(ただこれだけは言える。インド料理においてビリヤニは激しく高コストなのは間違いない)。

「アリムルくんのビリヤニ」レシピ

【材料】(8~10人前)

サラダ油…100~200㎖
タマネギ…1.5個(薄切り)
ニンニク…20~30g(すりおろす)
ショウガ…20~30g(すりおろす)
トマト…約200g(薄切り)
プレーンヨーグルト…200g
塩…適量
鶏モモ肉…1㎏※皮を含む(皮をとり10cmほどの大きさに切る)
※一般的に骨付き肉を使いますが今回は「万作」さんが仕入れているモモ肉を使用。
フラワーウォーター…適量
※ケウラ、ローズなどお好みで
ギー…大さじ5(とかしておく)
※バターでも可
サフラン…ひとつまみ(50㎖ほどの水につけておく)
※お好みで

サフランとフラワーウォーターアリムルくんがインドで買ってきたサフランとベンガル地域のビリヤニによく使われるフラワーウォーター。

ビリヤニ専用マサラ「スパイスはカスタムしてもいいけど結局これが一番」とアリムルくんはパキスタン・アフマド製のビリヤニ専用マサラ(スパイスを配合したもの)「ボンベイビリヤニマサラ」を推薦。

〈A〉ホールガラムマサラ
※2回に使い分ける
ベイリーフ…4枚
シナモンスティック…5cm×4個
クローブ…10個
グリーンカルダモン…6個(鞘を割っておく)
スターアニス…2個(半分に割っておく)
クミンシード…小さじ2
※本来はレッドペパーホール、ブラックペパーホール、ビッグカルダモンなども入れるが、今回はすでにそれらを含んだボンベイビリヤニマサラを使用するので入れません。

〈B〉フレッシュハーブ
※3回に使い分ける
コリアンダーリーフ…30g以上
ミントリーフ…30g以上

ボンベイビリヤニマサラ(アフマド製)…30~60g
※30g=なかなか辛い。60g=めちゃ辛い!60g入れる場合はガラムマサラは小さじ1
ガラムマサラ…小さじ3

●米
塩…大さじ3強
バスマティライス…1㎏(2回ほど水で洗い、洗い水に30分以上浸けておく)

●必要な調理道具
・ビリヤニを作るための大きな鍋と蓋(直径30cm×高さ15cm以上の半寸胴タイプが理想的)
・米をボイルするための大きめの鍋
・木べら

【作り方】

鍋にサラダ油と〈A〉半量を入れ、火にかける。
タマネギを炒める。こんがりときつね色になったらニンニク、ショウガを加える。

炒める

全体がなじんだらトマト、プレーンヨーグルト半量、ボンベイビリヤニマサラとガラムマサラ、塩を加える。

材料を加える

鶏モモ肉、〈B〉1/3量を加えて香りよく炒める。
プレーンヨーグルトの残りを加えて、鶏モモ肉に火が通るまで煮たら、火を切り、蓋をする。

鶏肉を煮る

米をボイルするための鍋にたっぷりの水と〈A〉の残りを入れて沸かし、塩、サラダ油ひとたらし、フラワーウォーター、〈B〉1/3量をいれ、バスマティライスを泳がせるようにできるだけ強火でボイルする。

米をボイルする

10分ほどボイル(70%ほど火が通った状態)したらザルにとり、水気を切っておく。

米をザルにとる

⑤の半量を取り出し、⑦の半量→〈B〉の残り→⑤の残り→⑦の残りの順に重ね、上からギー、サフラン水、お好みでフラワーウォーターをかける。
蓋をして弱火で10分ほど蒸らす。蓋が緩い場合はアルミホイルなどで密閉する。
火からおろし、あまり混ぜないようにして器によそう。

ビリヤニのお供「ライタ」

ビリヤニやライタ

ライタ(画像左上)とはヨーグルトと野菜、スパイスを加えたもので、特に辛い料理と一緒に食べます。
ビリヤニを2、3口食べてライタを一口。後半はライタをビリヤニにあえて食べるのもありです。ぜひお試しください。

「ライタ」レシピ

【材料】(4~5人分)
プレーンヨーグルト…400g
タマネギ…大さじ3~4(あらみじん切り)
トマト…大さじ3~4(あらみじん切り)
塩…少々
水、コリアンダーリーフ、ミントリーフ、チャートマサラ、クミンパウダーなど…適量
※お好みで

【作り方】
以上を混ぜて、小さな器によそったら出来上がり。

Writer ライター

カワムラケンジ

カワムラケンジ

Kenji Kawamura

ライター&スパイス料理研究家。『スパイスジャーナル』編集長。幼少の頃は近所の家々を食べ歩き、16歳から数々の飲食の現場で働き、ライターに。昨年からは夢だった畑も。「うまいものがあって、おもしろい人がおったらどこへでも!」。www.kawamurakenji.net

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