琵琶湖の幸を提供。滋賀・近江八幡市『ひさご寿し』

琵琶湖は400万年もの歴史を持ち、魚や貝、プランクトンなど豊かな生態系を築いています。そんな琵琶湖の幸を堪能できるのが、近江八幡市にある『ひさご寿し』です。

琵琶湖の魚はなぜおいしい?

1960年に創業した『ひさご寿し』。店主の、近江八幡生まれ・近江八幡育ちの川西豪志さんは、有馬温泉の旅館で日本料理を学び、2003年に『ひさご寿し』の料理長に就任しました。「湖国ならではの豊かな食文化を未来に繋げていきたい」と、琵琶湖の代名詞・ビワマスや、岩床鯰(イワトコナマズ)といった固有種なども使った、多彩な魚料理を提供しています。

『ひさご寿し』ビワマスの棒寿司
椎茸やマグロのそぼろと、玉ネギの甘酢漬けを咬ませたビワマスの棒寿司3カン1386円。
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「淡水魚って嫌われるけど、ホンマにおいしくならんのかなっていう好奇心で、いろいろな論文に当たった」と、川西さん。そこでわかったのが、淡水魚は身体の表面から水を取り込むため、環境が味に直結するということ。環境汚染のあった時代と違い、現在の琵琶湖は水域によっては、とても綺麗なので大和鯉やマジカ(ニゴイ)、岩床鯰は、味がいいのだといいます。

淡水魚のイメージを覆す品々

あまり食べ慣れていないものの、なぜか泥臭いというイメージのある鯉。こちらで食べる大和鯉の握りは、白身のような食感でとても軽やか。「琵琶湖には小魚が多いので、それを食べる鯉も川にいるのと違っておいしいんです」と、川西さん。

『ひさご寿し』大和鯉のにぎり
大和鯉のにぎり330円は、粒マスタードが合う。奥は、甘辛く揚げた大和鯉のスペアリブ770円。
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煮物椀として出される岩床鯰は、出汁にじんわりと広がっていく脂が美味。岩床鯰は岩を寝床とするため、周辺が泥という環境で育つナマズと違い、泥臭さがありません。マジカは、プリンと弾力のある食感で、まるで鱧のような味です。

『ひさご寿し』煮物椀
岩床鯰の煮物椀2750円。
『ひさご寿し』マジカ
油通しして、スダチと塩でいただくマジカ。
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ビワマスを丸ごと炊き込みご飯にした郷土料理・アメノウオ飯もいただけます。“アメノウオ”とは、ビワマスが秋の雨の日、産卵のため川をのぼってくることが由来。こちらでは、骨などを丁寧に取り除き、身をほぐし混ぜて、ビワマスの卵の自家製醤油漬けを散らして提供しています。

『ひさご寿し』アメノウオ飯
ビワマスの甘みが米にしみていて、旨みたっぷり。
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研究熱心な川西さんが繰り出す料理は、淡水魚に対するイメージを覆すものばかり。ここでしか味わえない琵琶湖の幸を味わいに、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

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amakara.jp編集部

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