地産食材たっぷりのフレンチ。京都・京田辺『レストラン ルスティク』

京都府の南、一休さんで知られる一休寺や玉露の産地で知られるのどかな京田辺にある一軒家レストラン。地元の旬野菜や果物などをたっぷり使い、季節を映した優しいフレンチがいただけます。締めはシェフ自ら栽培したお米の土鍋ご飯でもてなしてくれるのにもほっこりします。

のどかな風景の中に佇む一軒家レストラン

店名の「ルスティク」は、フランス語で「ひなびた」とか「田舎の」という意味だそう。その名の通り、里山の風景が残る京田辺にポツンと佇む一軒家のレストラン。京都市内の有名店などで腕を磨いた樺井俊之シェフが「生まれ育った地元食材でもてなしたい」と13年前にオープン。

どのコースにも供されるオードブルは、京田辺の野菜や果物をふんだんに詰め込んだ一皿。この日は、安納芋のフランにギリシャ風マリネ、黒豆の枝豆を昆布だしで寄せた茶巾絞り。熟成豚のモルタデッラに添えられているのは、サラダ春菊やムカゴのタイ風オイルマリネ、城陽産のイチジクなど。京田辺野菜のゼリー寄せには、ナスや四角豆、冬瓜など15種以上もの地元産野菜がぎっしり。新鮮で力強い野菜たちからパワーをもらい、身体の中に元気がチャージされていくようです。

『レストラン ルスティク』のオードブル
京田辺産野菜のゼリー寄せは季節ごとに中身が変わるスペシャリテ。ポリポリと骨格のしっかりしたニンジンやシャキシャキのミョウガ、とろけるような甘い柿など、食感も味わいもいろいろでとにかく楽しい一皿。
『レストラン ルスティク』の店内
お店の扉を開けると、大きく取られた窓からのどかな緑の風景が! 緩やかな食事の時間が過ごせます。
『レストラン ルスティク』の外観
幹線道路からちょっと入ったところに佇む一軒家。設計デザインは、建築家の中村好文さん。
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シェフの想い溢れるコースにほっこり

旬の野菜で仕立てるスープに、大分や鳥羽磯辺などその時どきで良いものを選んで仕入れる魚のお料理。焼き立ての自家製のパンなど、どれも親しい友人をもてなすような温かな想いが込もっていて、ひと口ごとにしみじみと口福を感じます。この日の「めぐりコース」のメインは、熟成肉のステーキ。ほどよい脂の甘みと奥行きのある旨みが、丁寧な仕事でさらに際立ち、うっとり。シェフが選ぶこだわりのワインとのペアリングもおすすめです。

『レストラン ルスティク』の肉料理
本日のお肉料理は、京都の名店『京中』の熟成肉のステーキ。阿蘇で井 信行さんの育てるあか毛和牛「信行(のぶゆき)牛」や猟師が撃った鹿肉などジビエが登場することも。
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『レストラン ルスティク』の樺井シェフ
「3年ほど前から『辻農園』さんの手ほどきを受けて、米作りも頑張ってます」という樺井シェフ。
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つい食べ過ぎてしまう罪な!?土鍋ご飯

コースの締めは、シェフが自ら育てる有機栽培のお米と旬の素材で仕立てる炊き込みご飯。アツアツで運ばれてきた土鍋の蓋を取る瞬間のワクワクといったら。この日は、栗とシソの実。プチプチの食感とほこほこの甘い栗。粒感のしっかりしたお米ももっちりと甘く、ほのかなバターの香りも相まって、お腹いっぱいのはずなのに、ついおかわりをしたくなる。ああ、罪なご飯よ。「フレンチでごはん!?と驚かれることもあるんです」と笑うけれど、一度食べればこれを目当てに季節を変えて訪れたくなるほど。

『レストラン ルスティク』の土鍋ご飯
この日は、栗としその実の炊き込みご飯。蓋を取った瞬間、ブワっと立ち上るしその爽やかな香り。たまりません!
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そしていよいよお楽しみのデザート。この時季は、シェフが夜なべ仕事でせっせと鬼皮を剥いて渋皮煮にした大粒の栗と、ほぼ栗だけのペーストを搾ったモンブランパフェ。重たくなりすぎないようにと、下にはさっぱりとした青柚子のゼリーや京田辺の『山下新壽園』産玉露粉とヨーグルトのアイスが。小菓子の一休寺納豆を使ったマカロンとコーヒーまで、心ゆくまでゆっくり過ごせる10席だけの小さなお店は、まるで友人の家のような寛げるムード。シェフの人柄や窓外に広がるほのぼのした景色にも癒され、つい長居をしてしまう居心地良さなのです。

『レストラン ルスティク』のデザート
この日のデザートは、大粒の渋皮煮がトッピングされたモンブランパフェ。下は煎り玄米入りのメレンゲや青柚子のゼリー、一番下は玉露粉とヨーグルトのアイスクリーム。
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