大阪人が愛してやまない「おだしのおうどん」。大阪『道頓堀 今井 本店』

大阪らしい「おだしのおうどん」と聞けば、真っ先にこの店を思い出す人も多いはず。現在は立体看板やネオンが立ち並ぶ道頓堀で、戦後から“だし”にこだわったうどんを提供し続けてきたのが、『道頓堀 今井 本店』です。

前身は江戸時代の芝居茶屋

観光客で賑わう道頓堀にあり、“宵待柳(よいまちやなぎ)”の愛称で親しまれている柳が枝垂れる品格ある佇まいが『道頓堀 今井 本店』です。今や“大阪うどん”の代名詞ともいえる店ですが、前身は1838年に創業した芝居茶屋『稲竹』。その後、ヴァイオリンなどを販売する『今井楽器店』を経て、戦後1946年に焼けた店跡に『御蕎麦処今井』を開業したのが始まりです。当初はまず食べることを第一に、配給の乾麺を使って麺類を提供。昆布が手に入るようになると、道南の天然昆布に鯖節、ウルメ節を合わせ、淡口醤油、みりん、砂糖、塩で味を調え、1949年に今のベースとなるきつねうどんのだしを完成させたそうです。

『道頓堀 今井 本店』のきつねうどん
ふっくらと炊き上げた「おあげさん」のきつねうどん930円。自慢のだしは、北海道産の天然真昆布と、九州産の鯖節、ウルメ節を使用(撮影:ハリー中西)。
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「だしは鮮度が命」

看板メニューの「きつねうどん」は、噛むほどにほんのり甘い煮汁が溢れる大きな揚げが鎮座していて、上品ながら旨みたっぷりのだし、モチモチのうどんとの三位一体のおいしさが堪能できます。特にだしは“鮮度が命”と、作り置きはせずに、30杯分ずつを一日に何度も作るこだわりよう。「なんぼでもイケる」「海外から戻って一番に味わいたい」と、大阪人がこのだしの利いたうどんを愛してやまないのも納得です。
うどんメニューは、定番だけでも温・冷25種類以上あり、どれもシンプルながら、長年磨かれた趣あるおいしさです。また、丼物も人気で、うどんだしより濃いめのだしでまとめた「親子丼」は、最後にのせた黄身をほぐしながら、玉子かけご飯風にズズズーッとかきこむのが今井流。そのほか、大ぶりのエビ天2本がのった「天丼」、蒲鉾と椎茸佃煮を玉子でとじた「木の葉丼」なども味わえます。

『道頓堀 今井 本店』のしっぽくうどん
長崎の卓袱料理が由来のしっぽくうどん1500円。蒲鉾、梅焼、車エビ、どんこ椎茸旨煮、青ネギを盛付けた彩り美しい一杯。
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『道頓堀 今井 本店』の親子丼
上質な若鶏のモモ肉と、卵2個で作る親子丼(吸物付)1500円。卵は2個分の白身と1個分の黄身でふんわりととじ、最後に残りの黄身をトッピング。
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家族や仲間との集まりにも

店内は、外の喧騒を忘れる落ち着いた空間。テーブル席の他に、掘りこたつ席の個室も備えられ、家族や気の置けない仲間との集まりにも適しています。ドリンクメニューも豊富に揃っているので、「うどん寄せ鍋コース」でゆったりと楽しむのもお薦めです。

『道頓堀 今井 本店』の外観
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amakara.jp編集部

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