近代建築の中の隠れ家レストラン、大阪・淀屋橋『イゾラータ』

イゾラータとは、「離れた」「独立した」というイタリア語。そう、こちらは、ビジネス街のただ中に残る近代建築・芝川ビルの中に隠れ潜む、文字通り「離れ」のようなレストラン。友人とのランチに、ハレの日のディナーに、こんな隠れ家を知っていたら、一目置かれること間違いナシ。

秘密の通路のその先にあるのは?

淀屋橋、北浜エリアには、大大阪時代の近代建築が幾つも遺っていて、その重厚で壮麗な姿を見て歩くレトロ散歩を楽しむ人も多い。昭和2年築造の芝川ビルもそのひとつ。南米マヤ・インカの装飾を纏ったビルは、建築の素養がなくとも、ふと立ち止まって眺めたくなるほど目を引く。オフィスビルやホテルが林立する中に、そんな建物が残っているだけでも奇跡的なのに、そのビルの中に木造2階建てが隠れ潜んでいるとは本当に驚きだ。しかもそれが一棟丸ごとしゃれたイタリアン・レストランとして生まれ変わっているなんて!

芝川ビルは、当時では珍しい鉄筋コンクリート造りの4階建て。カフェやベトナム料理店、ショコラティエやバーが入っていて、遠方から訪ねてくる人も多い人気スポットだ。そのビルの中を奥に進むと秘密めいた扉があり、通路の向こうにレストランが隠れている。

『イゾラータ』芝川ビルの外観
昭和2年築の芝川ビル。凝った意匠がカッコイイ。この石造りのビルの中に木造建築が潜んでいるとは驚きだ。
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フロアは元・花嫁学校の洋裁室

明治時代、貿易商・芝川又右衛門の邸宅があった場所で、大正時代に一家が引っ越し、昭和2年に事務所として建築されたのが芝川ビル。2年後、当主が教育に関心を持っていたため、ここはいわゆる花嫁学校「芝蘭社家政学園」となって、関西のお嬢様たちが学んでいたとか。そして、木造2階建ては洋裁室として利用されていて、当時はミシンがズラリと並んでいたのだそう。学校が閉校したのちは倉庫や事務所として使われていたが、2018年に台風の被害を受けて解体されようとしていたが、芝川邸の流れを汲む貴重な建物として保存が決定。2024年、『イゾラータ』として再生した。

『イゾラータ』のエントランス
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本場仕込みのスタイリッシュなイタリアン

そんな歴史ある舞台で腕を振るうのは、店主・斎藤章仁シェフ。大阪の一流ホテルを経てイタリアで3年間、研鑽を積んできた人だ。「イタリアで働いていた家族経営のレストランと似た雰囲気で、なんだか懐かしくて」と斎藤シェフは、古い柱や梁を再利用し、大津壁という土壁を再現した店内を愛おしそうに眺める。とはいえ、階段やアプローチはエッジの効いた鉄製で、スタイリッシュなイメージ。

『イゾラータ』の斎藤シェフ
古い太い梁や柱を生かした吹き抜けの2階は個室風。「いい感じでしょ」と斎藤シェフ。
『イゾラータ』の2階フロア
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『イゾラータ』の1階フロア
キッチンが見える1階ダイニング。席間が広く贅沢な空間。
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そんな中、供される料理は、イタリア各地の郷土料理と現代的な技術を融合させた、独創的なスタイル。
「ソレント半島というグルメなエリアや国境沿いの町を選んで働いてきました。ドイツ、オーストリア、フランスの国境に近い町では、それぞれ文化が混じっていて、面白い料理が学べましたよ」と話す斎藤シェフ。 例えば、お昼のコースの前菜は、軽くスモークをかけたブリと金柑のカルパッチョ。ブリは厚めに切ってあり、乳酸発酵させたオレンジ白菜のペーストやビネガーで炊いた金柑をドレッシング風に、「ちょいちょい一緒に食べて味変を楽しんでほしい」とシェフ。脂ののったブリと金柑の爽やかさがピッタリだ。

『イゾラータ』のブリと金柑のカルパッチョ
料理はすべて取材時のお昼のコース(アミューズ、前菜、スープ、パスタ、リゾット、メイン料理、デザート、コーヒー)5500円(サービス料4%別)から。前菜のブリと金柑のカルパッチョ。オレンジ白菜のクネルを添えて。
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コースにはパスタとリゾットの2種が登場。この日は、ボルロッティ(うずら豆)と赤ワインのパニッサ(リゾット)。「パニッサはロンバルディアのノバーラの町の名物料理です」。まろやかなリゾットの中、サイコロ型のイカのクニクニした食感が愉しい。赤ワインを煮詰めたソースの酸味がアクセントだ。

『イゾラータ』のリゾット
ボルロッティ(うずら豆)と赤ワインのパニッサ(リゾット)。マリネしたイカがたっぷり。
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パスタは手打ちのタリアテッレ。優しいコシのあるパスタに絡むブロッコリーと自家製ソーセージ・サルシッチャのソースが、ワインを呼ぶ。
斎藤シェフお得意の手打ちパスタはトマトを練りこんだタヤリンやイカ墨のパスタ、ラビオリなど多種多様。今日は何が出てくるのか、いつも楽しみだ。

『イゾラータ』の手打ちタリアテッレ
パスタは手打ちタリアテッレ、ブロッコリーと自家製サリシッチャのソースで。ブロッコリーはクタクタに煮てあり、まるで野菜のラグーソースのよう。
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さらにメインの肉料理、スープやデザートまで付いて5500円のお昼のコースは本当にお値打ち。夜も7700円からと意外にリーズナブル。隠し玉に取っておきたい隠れ家イタリアンだ。

『イゾラータ』の2階からみたフロア
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