まるで香港! 活気溢れる中華レストラン。大阪・心斎橋『中華旬彩 森本』

心斎橋の「大丸」すぐ横の通りからビルの地下へと延びる大行列。毎日見られる昼時の光景だ。地下には50席の大空間が広がる。満席の店内に渦巻く熱気は、香港の人気店の喧騒そのもの。多くの人のお目当ては、名物よだれ鶏セット。そのおいしさの秘密と、真価を発揮する夜のメニューをご紹介。

行列必至。よだれ鶏で大人気中華

店主は、香港や広州で3年間修業し、大阪のホテルでシェフを10年務めた森本裕仁さん。その手になるよだれ鶏は、感動的においしいと評判だ。
まずゴマだらけの見た目にビックリ。食べれば、ジューシーな鶏肉に絡む、黒酢ベースに13種以上の香辛料で作った特製ダレの複雑にして深みある味わいに瞠目。モモ肉のブリッとした食感、じゅんわりと柔らかいムネ肉、たれの味が鮮明に感じられるササミなど3種の部位が盛り込まれているのも楽しい。

「丸鶏のまま蒸してます。何度も試して見つけたベストの加熱温度を毎回狙って蒸してます」と森本さん。濃厚なのにさっぱりとした後味は計算されつくしたものだろう。これは確かに並ぶ価値アリ。

『森本』のよだれ鶏
夜の単品から。森本名物!四川式よだれ鶏(大)2500円。ソフト&ジューシーな鶏の食感と特製ダレの深みある味わいは感動レベル。パクチーはネギに変更可能。ランチはご飯、スープ、サラダなどが付くセットで1700円。
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『森本』の店内
キッチンに客席が配されているような一体感、ライブ感は、その熱気と活気と共に、香港の人気店の昼時の喧騒を思わせる。
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三国志の豪傑が振舞った牛肉料理

よだれ鶏が気に入ったなら、森本さんの実力が遺憾なく発揮される夜にぜひ。
たとえば、「張飛牛肉(チャンフェイニウロウ)」という名のスパイシーなローストビーフ。「三国志の豪傑・張飛は肉屋の息子で、戦の時に、辛い牛肉の煮込み料理を振舞ったという故事にちなんだ料理があるんです。そこにヒントを得て、僕はローストビーフに仕立ててみました」と森本さん。特製の張飛パウダー(豆板醤を乾燥させて粉末にしたもの)をたっぷり。唐辛子の粉と違って、辛みの中に甘みがあって、止められない旨さ。

『森本』の張飛牛肉
張飛牛肉 四川風スパイスローストビーフ2500円。
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『森本』の活け〆鮑の椒麻ソース
こちらもオススメ。活け〆鮑の椒麻(ジャオマー)ソース2000円。塩水で加熱した鮑のむっちりした食感。ショウガと山椒とネギのソースが爽やかな複雑系で美味。「これはネギの青い部分を2時間ひたすら庖丁でたたくのがポイント。ミキサーではこの口当たりが出ないんですよ。もう誰も日本ではやってないかも」。
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パワーが漲ってくるスープ

今年、登場した新作なら「龍鳳蒸しスープ」。亀は上位変換すると龍になることから、龍はスッポンで、鳳凰は烏骨鶏で見立てているとか。並べて見せてくれた材料は、希少なものばかり。
スッポンの甲羅、烏骨鶏、高麗人参より優しい味わいのアメリカ人参、白ネギ、福岡のどんこ、大和芋のような弗山(ワイサン)、当帰(トウキ)、党参(ドンサン)、棗、竜眼、白コショウ、キヌガサダケ、ショウガ、貝柱。 「これらを普通は水から炊くけど、僕は鶏の白湯(パイタン)に材料を入れて蒸します」。その滋味深さは、得も言われぬほど。お腹の中から力が湧いてくるよう。

『森本』の龍鳳蒸しスープ
滋養に富んだ、龍鳳蒸しスープ4000円。
『森本』の龍鳳蒸しスープの材料
スッポンの甲羅、烏骨鶏の骨、キヌガサダケなど見るからに身体によさそうなスープの食材。
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ネクストステージは専門店?

それにしても、森本さんの引き出しの多様さには目を見張る。
「21歳で香港へ修業に行って。昼夜はもちろん朝も飲茶があって大忙しの300席ある店に1年いました。ここで広東料理全般を学べた。その後、土鍋ご飯専門店とか小さい町場の店とか。ホテルの朝食100人分を一人で作ったり(笑)。もともと北九州出身で根性は入ってます」と笑う。
帰国後は「堂島ホテル」の『瑞兆』にて10年。その間も、「休みの日は、あちこちの店にヘルプに行ってて、中華の料理人なら知らない人がいないくらい。町場、ホテル、それぞれの料理人のやり方も学びました」。退屈が嫌いで、忙しいのを面白がる人らしい。

『森本』の森本裕仁さん
若いスタッフを指揮する森本さん。スタッフは20代を中心に8人ほど。みんな明るくて元気でヤル気に満ちている。
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心斎橋のこの店は8年目。「ここでは中華全般なんでもやってるから、次は20席くらいの何かの専門店をやりたいですねぇ」と語る、森本さんは45歳。これからも目が離せない料理人の一人だ。

『森本』の入り口
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