土用の丑の日、気取らず味わう老舗のうな重。大阪・天満『うなぎじん田』
創業時から変わらない、手間をかけた職人技
立ち並ぶ飲食店はまだ営業前で薄暗く、昼とは思えない裏天満。路地を進むと、蒲焼きや弁当が並べられたショーケースの明かり、そして鰻を焼き上げる職人が見え、思わずほっとする。
『うなぎ じん田』は大正3年創業。「大切にしているのは、すべての工程を手作業で行い、誰よりも手間をかけること。初代から守り続けています」と四代目の甚田國晴さん。
鰻を焼く職人の奥には、活鰻を活かす立場(たてば)があり、さばきから串打ち、焼き上げまで一貫してここで行うという。
「毎朝4時から、この道40年以上の職人たちが各工程をこなします。焼き場は工程の中で最も難しいので、祖父の代からお願いしている職人歴63年・79歳の大ベテランが担当です」。
雑味のない多幸感溢れるうな重
階段で2階へ上がると土壁、櫛引きの設えが美しいモダンな食堂が広がる。1階の活気とは異なり、上品で落ち着いた雰囲気だ。
『じん田』のうな重は、100年以上継ぎ足した秘伝のタレが肝。最大の特徴は、白砂糖を使わず水飴と氷砂糖でクリアな甘みを出すこと。初代・巳之助さんが戦時中でもタレ壷だけは肌身離さなかったという、命をかけて守り続けた伝統の味だ。
鰻は、國晴さんが徹底的に吟味した愛知・三河一色産。これを関西流に腹開きにし、土佐備長炭で丁寧に焼き上げ、杓で皮目に1回、身に3回、手早くタレをかける。
噛みしめると皮目はカリッと香ばしく、分厚い身はジュンッと脂が弾ける。雑味や不自然な脂のギトギト感は一切ない。もっちりと粒立ちの良い滋賀の近江米と共に口に運ぶと、タレの上品なコクと甘みが押し寄せ、この上ない幸せを感じる。
どん底から再建へ、隅々まで妥協のないこだわり
『うなぎ じん田』の原点は、大正3年に看板をあげた川魚問屋『大巳(だいみ)』。鰻を中心とした加工卸を商うほか、かつては曽根崎や玉造で鰻屋を展開していた。しかし、2006年に経営が立ち行かなくなり、一度は倒産を経験した。
「元はビール会社でサラリーマンをやっていたのですが、家業を継ごうと戻った2年後に倒産してしまって。従業員は100人から4人に減ってしまいましたが、魚屋の一角を間借りさせてもらって、看板も出さずにひっそりと再出発しました」と、苦労をにじませずあっけらかんと語る國晴さん。
どん底から見事に事業を再建し、現在では北区内の魚屋や寿司屋、料亭など約400軒へ鰻や蒲焼きを卸すまでに。
「老舗として期待を裏切らないよう、品質・味は落とせません」と國晴さん。食堂の卓上に置く山椒は、自ら滋賀県まで足を運んで採取し、お茶は京都の老舗『一保堂茶舗』のほうじ茶を使うなど、細部まで妥協はない。
「老舗」と聞くと身構えてしまうが、店内に堅苦しい雰囲気はなく、國晴さんの人柄のように温かく安心感に満ちている。土用の丑の日はもちろん、「今日は鰻を食べる!」と心に決めた日に覚えておきたい一軒だ。
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- 店名
- うなぎ じん田
- 住所
- 大阪府大阪市北区池田町7-6
- 電話番号
- 06-6882-5115
- 営業時間
- 店頭販売9:00~17:00、食堂11:00~15:00、16:00~21:00(LO20:30)
- 定休日
- 日曜、祝日
※土用の丑の日(7月26日)は営業
- 交通
- JR天満駅から徒歩4分、地下鉄・阪急天神橋筋六丁目駅から徒歩8分
- 席数
- テーブル22席
- メニュー
- うな重並3000円~、うなぎ白焼半尾2600円~、う巻1280円、うなぎハリハリ小鍋2600円、うなぎ会席7000円~。瓶ビール700円。 ※メニューは昼夜共通。

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amakara.jp編集部
amakara.jp
関西の食雑誌「あまから手帖」(1984年創刊)から生まれたwebメディア「amakara.jp」を運営。カジュアル系からハレの日仕様まで、素敵なお店ならジャンルを問わず。お腹がすくエンタメも大好物。次の食事が楽しみになるようなワクワクするネタを日々発信中。
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