白いふわとろベールに包まれた“山芋ラーメン”。大阪『梅田山芋研究所』
魅惑の「クリアドロドロ」「にごりドロドロ」
ラーメンは、「にごりドロドロ」と「クリアドロドロ」の2種類。どちらもふわっふわのとろろがたっぷりで麺が見えない。かき分けながら麺をすすると、とろろが絡みつき、“ドボドボッ”とラーメンではあまり聞き慣れない音が鳴る。
とろろのベースとなる山芋は、長野・信州産の「アルプス長芋」。まずはマシンでおろし、なめらかになったら手で空気を含ませながら混ぜる。仕上げに手で混ぜる回数は、なんと1人前あたり約1000回。「慣れれば3~4分でできます!」とオーナーで山芋料理家の八代進一さんはケロッとした様子。この地道なひと手間が、とろろの持ち味を最大限に引き出している。
麺は、オーストラリア産の硬質小麦「プライムハード」と北海道産の超強力粉「ゆめちから」を合わせた自家製中太麺。もっちりとした食感、ぷりんとした弾力があり、とろろに負けない存在感だ。一方で、麺の長さは約19㎝と短め。するすると啜ることができ、最後まで食べ進めやすい。
そんな麺ととろろを受け止めるのが、「クリア」と「にごり」の2種類のスープだ。「クリア」は、鶏、豚、イリコを煮込み、焦がしイリコオイルを利かせた醤油ベース。「板海苔よりも風味が良い」と、バラ海苔をトッピングする。「にごり」は、鶏とイリコを使った白湯ベースのスープ。仕上げに回しかける紀州備長炭の香りを移したオイルが、まろやかな味わいに香ばしさを添える。
八代さんは「山芋は香ばしい香りと相性が良いので、焦がしイリコオイル、紀州備長炭のオイルをそれぞれに加えました。とろろを使うと味わいがまったりしてしまうので、そこに刺激とキレをプラスするイメージです」と話す。
必食!シメのとろろご飯
麺を食べ終えれば、とろろが絡んだスープが残る。そこに合わせたいのが、“米”だ。
あっさりと軽やかな味わいの長野県産「風さやか」ともち米のような粘り気と甘みを持つ秋田県産「淡雪こまち」をブレンドしたとろろご飯専用の米を、丼にダイブさせてもよし、茶碗でスープをかけながら食べてもよし。
スープには、とろろが溶け込み、優しくまろやかな味わいに。6分づきにした米はほどよく食感が残り、スルスルとかき込める。ラーメンも軽やかな食べ心地のため、女性でもシメのとろろご飯まで無理なくたどり着くはずだ。
始まりは山芋料理専門店
『梅田山芋研究所』の源流は、兵庫・西宮にあった知る人ぞ知る専門店『鳴尾山芋研究所』だ。
2013年、八代さんがオープンさせた当初は、ラーメンの“ラ”の字もなく、山芋料理の専門店として営業していた。開業から2年後にはアラカルトからコース料理中心へとシフトし、女性客が8割を占めるなど、一定のファンを獲得した。
しかし、「“コース料理のお店”というイメージが定着し、気軽に足を運びにくくなってしまっていました。近くに大学もあったので、若い人をはじめ、もっと多くの方に知ってもらいたかったんです」と、ラーメンを始めたきっかけを振り返る。
まかないで提供していたこと、そして何より自身がラーメン好きだったことから、2017年には昼営業に加え、深夜24時から朝5時までのラーメン部門を始動。客層はガラリと変わり、学生を中心に評判を呼んだ。営業開始も23時、22時と徐々に早まり、気づけばラーメン専門店に。今年1月の閉店まで、連日完売が続いたという。
目指すは『吉野家』!?山芋ラーメンを全国へ
『梅田山芋研究所』は今年6月26日、兎我野町の焼き鳥屋『羽衣のあしあと』のランチタイムを間借りする形でオープンした。八代さんによると、こちらの店舗はFC(フランチャイズ)1号店だという。
「鳴尾の店舗では、『体調を崩しかけている時に来ると身体が整う』と言ってくれる方もいて、山芋ラーメンが少しでも人々の健康に役立っているのかな、と実感しました。もっと気軽に、もっとたくさんの人に山芋料理を届けるために、ラーメン業態でのFC展開を決めました」と話す。
今年9月には、大阪・八尾への出店も決定しているといい、「元々、海外進出を視野に入れてラーメンの提供をスタートしました。まずは国内で、『吉野家』さん、『松屋』さんのように、多くの方に親しまれる存在を目指したいです」と意気込む。
「長芋は、脂肪の吸収スピードを穏やかにしてくれるんです」と山芋料理家らしく、その魅力を語る八代さん。山芋料理専門店から始まり、形を変えながらも、一貫して追い求めてきたのは山芋の可能性だ。白いふわとろベールに包まれた一杯には、そんな12年以上にわたる研究の成果が詰まっている。「ラーメンは食べたい。でも少し身体のことも気になる。」そんなお昼に頼りたくなる一杯だ。
data
- 店名
- 梅田山芋研究所
- 住所
- 大阪府大阪市北区兎我野町10-6 平田第二レジャービル1階 110
- 電話番号
- なし
- 営業時間
- 11:30~14:00LO、17:00~22:00LO
- 定休日
- 日曜
- 交通
- 地下鉄東梅田駅から徒歩6分、各線梅田駅から徒歩8分
- 席数
- カウンター4席、テーブル12席
- メニュー
- にごりドロドロ1500円、クリアドロドロ1500円、ご飯 小200円・並300円、替え玉200円。
- https://www.instagram.com/umedayamaimo/

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amakara.jp編集部
amakara.jp
関西の食雑誌「あまから手帖」(1984年創刊)から生まれたwebメディア「amakara.jp」を運営。カジュアル系からハレの日仕様まで、素敵なお店ならジャンルを問わず。お腹がすくエンタメも大好物。次の食事が楽しみになるようなワクワクするネタを日々発信中。
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