昼コースが5000円以下!?大阪・南森町『épa』で味わう新世代のフレンチ
パリで培った技術を軽やかなフレンチに
昨年11月、大阪・南森町の一角に誕生した『épa』。店名はフランス語の「épanouir(人々を晴れやかにする、開花する)」に由来する。
厨房とサービスを一身に担うのは、オーナーシェフの角田健太朗(つのだ けんたろう)さんだ。
角田さんは高校卒業後に単身渡仏し、食べ歩いた中で「衝撃的に感動した」というパリの星付きレストラン『ステラマリス』で見習いからキャリアをスタート。
偉大なる日本人シェフ・吉野 建氏や当時、直属の上司だった渥美創太氏(現パリの人気店『メゾン』オーナーシェフ)に師事し、20代前半で肉やソースのポジションを任された実力派。帰国後は和歌山の『オテル・ド・ヨシノ』や東京『フロリレージュ』といった第一線で研鑽を重ねてきた。
名匠のもとで徹底的に叩き込まれたクラシックの骨格。そこに現代的な軽やかさを併せ持った料理が早くも食通たちの心を掴んでいる。
5000円以下が信じられない充実の内容
昼のおまかせコースは全7品。ワクワクする現代的なアミューズ、精緻な火入れの技術を感じる肉料理はもちろん、師のスペシャリテ「サーモンのミキュイ」を自分なりに解釈したマスの料理やアワビを使う品まであって4850円の衝撃。
「レストランとは富裕層の方だけの場所ではなく、どんな方にも喜んでいただく場所だと考えています。このランチコースを食べて、当店の魅力を知っていただけたら」。
コースの価格高騰が続くレストラン業界において、目を見張るお値打ち感だ。
素材の魅力を引き出す丁寧な仕事
幕開けの1品目は、カブの滑らかなムースに生のカラスミを重ね、ミョウガや穂紫蘇の香りを効かせたアミューズ。カブ×カラスミという日本的な組み合わせにして、ムースのコクや滑らかな口当たりが、レストランの一品に昇華されている。
続くスープは、フランスの秋の味覚とも呼ばれるフランス産シャテーニュ(西洋栗)を使った「栗 ポタージュ」。
凝縮感のある甘みやミネラルを持つシャテーニュをセロリやタイム、バターで炒め、鶏のスープを合わせた。栗の素朴な甘みを引き出したクラシックで温かみのある一杯だ。
前菜のハイライトは「鱒 燻製」と「鮑 もち麦」。
きめ細やかな身質に惹かれて使うという山梨県オリジナルのブランド魚「富士の介」を用いたマスの料理は、師の吉野イズムの真骨頂ともいえる緻密な火入れを施し、中心をレアに仕上げてから燻製する。
ここに、マスの骨からとったフュメ(だし)の白ワインソースとパセリのオイルを流し、白醤油に漬けたマスの卵を添え、美しい一品に。
「サーモンとクリームソース、ハーブの組み合わせは“ソーモン オゼイユ”と呼ばれるフランスの定番。そのクリームソースにマスの骨を利用し、付け合わせもマスの卵を使い、味わいを調和させました」。
さらに「鮑 もち麦」は、ベルモットや白ワインでマリネしてからふっくら蒸し上げたアワビに濃厚な肝のソースを流して。アワビのだしを吸わせたもち麦のリゾットが、旨みを増幅させる。
クラシックとモダンの融合
日替わりの魚または肉から選べるメインは、プラス700円でシカ肉もチョイス可能。
この日選んだ「鴨」は、オーブンで出し入れしてしっとり中心をロゼ色に焼き上げ、カモの骨を香ばしく焼いてフォン・ド・ヴォーと赤ワインを煮詰めた奥深いソースとともに。
どの料理にも言える特徴は、優しく軽やかな味わい。
「塩分や酸味で輪郭を際立たせるのではなく、素材からにじみ出るだしや旨みを大切にしています」と角田シェフ。
味わいはどこまでも穏やかで、フレンチ初心者でも食べ疲れせずスッと身体に馴染む。一方で、食べ慣れた人にとっては、巨匠のイズムを受け継ぐクラシックな技法も垣間見え、その融合がたまらなく楽しい。
日常のちょっとしたご褒美やハレの日に、足を運びたくなる一軒だ。
data
- 店名
- épa
- 住所
- 大阪府大阪市北区西天満3-7-20 伊藤ビル2F
- 電話番号
- 06-4400-4584
- 営業時間
- 11:30~13:00LO、17:30~20:00LO(完全予約制)
- 定休日
- 水曜
- 交通
- JR大阪天満宮駅・地下鉄南森町駅から徒歩5分
- 席数
- テーブル10席、カウンター4席
- メニュー
- ランチ/コース4850円、8250円、ディナー/コース13500円、15500円、20000円。
- https://www.instagram.com/epa.3720/
writer

佐藤 良子
satoryoko
料理取材に徹して20年の食ライター。歴史が好きなため、料理史の観点から見るレストラン取材がライフワーク。日々賑やかな小学生2児の母。
Instagram@ryocosugar
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