『御倉屋』の旅奴[京都]ほろりと口ほどけるサクサク黒糖ボーロ

ゆっくりと広がる沖縄・波照間産黒糖の優しい甘みと、かりんとうと卵ボーロの間ぐらいの絶妙なサクほろ感が魅力。名前通り旅のお供にもピッタリの焼き菓子は、歴史は浅いけれど世代を問わず深く愛されている。

初代の味を頑なに守る

京都・紫竹にある『御倉屋』の創業は、戦後間もない1947年。100年を優に超える老舗菓匠が居並ぶ京都においてはかなり歴史が浅いものの、この店に足繁く通う愛好家の数と熱意は、けして引けを取らない。
人気の秘密は、初代・後藤常三さんが重んじていた‟ここだけにしかない繊細な食感“。そして、その最たるものが、看板商品の「旅奴(たびやっこ)」だ。

「材料も製法も、祖父の代から何一つ変えていません。頑なに守ることで生まれる個性を大切にしています」と初代の孫にあたる3代目の嘉之さん。目指すは、品の良いおやつだという。

『御倉屋』外観
うっかり見落としてしまいそうなひっそりとした構え。
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『御倉屋』店内
数寄屋建築のスペシャリストとして有名な『中村外二工務店』が施工した店内。イタリア製テラコッタの床と聚楽壁を合わせたモダンな設えになっている。
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オーブンで焼く以外は、すべて手作業

旅奴の材料は、砂糖、小麦粉、卵、重曹だけ。練り合わせたボーロ生地を手でちぎっては天板に並べ、オーブンで焼いてから黒糖の蜜を絡めたら完成。材料も製法もシンプルなだけに、かえって作り手の技術が浮き彫りになる。「ちょっとした生地の硬さで、食感や膨らみ方が変わってきますから、指先の感覚が重要。生地を練るなど基本はすべて手作業です」と嘉之さん。厨房にある機械は、オーブンだけだという。

「その日の環境に合わせた配合も大切ですが、作業の段取りやタイミングも大切なんですよ」。そう語るのは、嘉之さんと共に厨房に入って20年以上という奥様の昌子さん。後藤家に嫁ぐまで和菓子の修業経験はなかったが、ある日常三さんから「やってみるか?」と声を掛けられて菓子作りに携わるように。今では旅奴の生地のほか、もうひとつの看板商品・夕ばえを成形して焼き上げるまでの工程も昌子さんの役割。84歳の大女将も現役で、息子の翔太さん、嘉之さんの妹さんも含めて厨房に立つのは計5名。家族ならではの息の合った連携で、優しい味の銘菓は日々作られている。

『御倉屋』の旅奴
旅奴1袋1080円。ゴツゴツした見た目と裏腹に、口どけはほろりと柔らかい。
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『御倉屋』の夕ばえ
黄身餡生地を丸め焼いた「夕ばえ」1個324円。写真は1箱(10個入り)3348円。あんがサラサラと舌の上で溶けていくこちらも、唯一無二の食感。
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『御倉屋』の包み紙
京都市内の古地図をアレンジした包み紙や京都の名刹・名所を水墨画風に描いた手提げ袋。これだけで京土産感が格段に違う。
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「旅奴」が買える場所は

先代までは購入できるのは店頭のみだったけれど、現在は遠方のファンからの熱い声に応えたいと、「旅奴」「夕ばえ」共に、オンラインショップでの全国発送に対応している。

「旅奴は元々“旅のお供に”となるよう願いを込めて作った焼き菓子。賞味期限が10日と長いので発送もしやすいです。
ですが、かなり崩れやすい夕ばえは無事に届くかが心配で。こちらはひとつずつ個包装にした形を主人と考えました」と昌子さん。
聞けば、発送用の夕ばえは容器にピッタリ合うようサイズを変えているそう。細やかな心配りに、深く愛される理由がよくわかる。

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