甘みの奥行き、洗練の味わい。140年超えて 愛される京都『御菓子司 塩芳軒』の聚楽
変わらぬ味の、その先へ
1882(明治15)年創業。京都・西陣の町で140年以上にわたり京菓子を作り続けてきた老舗だ。代表銘菓「聚楽」は古い大福帳にも記録が残るほど長く親しまれ、時代を超えて受け継がれてきた。
一方で、守っているのは単なる製法ではない。「いつ食べても変わらないおいしさ」を届けること。そのために原材料や道具、気候の変化に合わせて細かな調整を重ねている。
菓子の意匠や色合い、菓名にまで京都らしい美意識を宿しながら、受け取る人の想像を大切にする。そんな姿勢が、一つひとつの菓子に静かな存在感を与えている。
豪華な名に宿る侘び
店からほど近い豊臣秀吉の聚楽第跡にちなんで名付けられた「聚楽」。
絢爛豪華な城郭の名を冠しながら、その姿は驚くほど控えめだ。表面には天正の印をあしらい、華美な装飾を施さない素朴な意匠に仕上げている。
初代の頃から受け継がれてきたこちらの代表銘菓は、京都らしい引き算の美学を感じさせる一品。歴史を感じる名と、どこか侘びを漂わせる佇まい。その対比もまた、この菓子ならではの魅力といえるだろう。
香ばしさと甘みの調和
看板菓子「聚楽」を語る上で欠かせないのが、菓子専用に炊き上げる餡の存在だ。
こちらでは菓子ごとに餡の硬さや水分量を細かく調整しており「聚楽」に使う餡も専用仕立て。仕上げの美しさはもちろんだが、その前段階となる餡炊きや生地づくりを大切にしているという。
ひと口かじると、まず広がるのは焼き上げた皮の香ばしい風味。その後から、専用に炊き上げたなめらかなこし餡がゆっくりと顔を出す。
しっとりとした餡は口当たりがやさしく、生地との一体感も見事。焼き菓子でありながら重たさはなく、上品な甘みがすっと広がっていく。
さらに、生地に備わる独特の風味が全体に奥行きを与え、素朴でありながら印象に残る味わいに。派手さではなく、何度食べても飽きのこないおいしさ。その積み重ねこそが、長年愛され続ける理由なのだろう。
ふわりと消える口福
ころんと丸い姿が愛らしい「雪まろげ」は、口の中でほどけるように消えていく食感が魅力の干菓子だ。
使用するのは、砂糖きびのみを原料とした純和三盆。その上品な甘みと豊かな風味を生かしながら、軽やかな口溶けへと仕上げている。
「全部溶けて消えてなくなる、その儚さがお菓子のいいところ」。そんな考えも相まって、食べた瞬間のおいしさだけでなく消えゆく余韻までも楽しませてくれる。京都らしい繊細な美意識が表れた菓子といえるだろう。
可憐な見た目や持ち運びやすいサイズ感も相まって、若い世代や女性から支持を集めているのも頷ける。
小さな菓子に映る季節
小さな干菓子を一つ摘まむ。けれど、その魅力は一言では語りきれない。
季節ごとに姿を変える意匠は、花や木々、その時々の自然や風習を映したもの。いくつもの干菓子が重なることで、まるで一枚の絵を眺めるように季節の情景が浮かび上がる。
京都では古くから、移ろう季節を愛でる文化が暮らしの中に息づいてきた。同店の干菓子もまた、その感性を小さな菓子に託したもの。食べて終わりではなく、眺める時間もまた愉しみの一つなのである。
余白が語る菓子の美
「聚楽」のように長く愛される銘菓から、季節を映し出す干菓子まで。
一つひとつに共通しているのは、素材や技術だけでなく、京都ならではの美意識が息づいていることだ。
華やかさを競うのではなく、余白を残しながら受け手の想像を誘う。その繊細な表現は、菓子を味わうだけでなく、それぞれに備わっている物語に思いを巡らせる時間までも届けてくれる。
日々のお茶時間はもちろん、大切な人への手土産にも選びたくなる銘菓たちだ。
商品が買える場所は
商品は京都・西陣にある本店のほか、公式オンラインショップでも購入可能だが、
やはり、実際に本店に訪れてみてほしい。
歴史ある町並みに佇む店舗では、季節ごとに並ぶ干菓子や生菓子も楽しめる。足を運べば、菓子だけでなく、長く受け継がれてきた京菓子文化の魅力にも触れられる
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- 店名
- 御菓子司 塩芳軒
- 住所
- 京都府京都市上京区黒門通中立売上ル飛騨殿町180
- 電話番号
- 075-441-0803
- 営業時間
- 9:00~17:30
- 定休日
- 日曜・祝日・水曜(不定期)
- 交通
- 地下鉄今出川駅から徒歩約17分
- メニュー
- 聚楽(1個)220円、雪まろげ(1箱)900円、お干菓子(1個)380円
- 公式サイト
- https://www.kyogashi.com
- https://www.instagram.com/shioyoshiken

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