噛むほどに甘み弾けるお赤飯。 京都『鳴海餅本店』の艶やかな一折を求めて
日常のご馳走を仕込む“町の餅屋”
風格漂う大きな木製看板が、訪れる人を温かく出迎えてくれる。
こちらの店が150年以上の長きにわたり大切にしてきたのは、京都の暮らしに寄り添う親しみやすさだ。格式高い和菓子店とは一線を画し、お散歩がてらに大福を一つ、あるいは今晩の食卓にとお赤飯を小箱で買い求める人々が絶えない。
旅人も地元客も等しく包み込むような飾らないおもてなしの姿勢こそが、長年愛され続ける理由だ。
冷めても、もっちり艶やか
折箱の蓋を開けた瞬間に目に飛び込んでくるのは、一粒一粒が美しく自立し、きらきらと輝く桜色の小宇宙だ。
特注の蒸籠を使い、高圧の蒸気で一気に仕上げるお赤飯は、口に含んだ瞬間の圧倒的なふっくら感に驚かされる。ベタつきが一切なく、噛み締めるほどにもち米本来の上品な甘みがじわりと広がっていく。
冷めても硬くならず、お米ならではの心地よい弾力と粘りが保たれるため、時間がたってもその質の高い食感を損なうことがない。
この比類なき味わいを支えるのが、厳選された一級の素材たち。
主役となるもち米には、抜群の粘りと豊かな香りを誇る滋賀県産の「ヒヨクモチ」を採用している。そこへ品格のある風味を添えるのが、大粒で皮が破れにくい最高級の丹波大納言小豆だ。
そしてすべての味をまとめ上げるのが、西陣の地下から汲み上げるまろやかな銘水。
これらの個性が熟練の職人技によって調和することで、力強くもどこか優しい、同店でしか出合えない唯一無二の味わいが完成する。
新感覚の口どけに弾む、愛らしい餅
ひときわ目を引くのが、淡い色彩をまとった「ぽち餅」だ。
伝統的な餅菓子のイメージを覆すその質感は、驚くほど柔らかく、かつ心地よい弾力を併せ持っている。
おめかしをした求肥に歯を沈めると、もっちりとした手応えのあとに、すっと消えていくような絶妙な口どけの良さに魅了される。
この独特の食感の楽しさが、若い世代や海外からの旅人の心をも掴み、同店の新たな名物として広く親しまれている。
四季の移ろいを表現したフレーバー展開も、専門店ならではの手仕事が光る要素だ。
春の訪れを告げる「いちご味」は、果実そのものの鮮やかな酸味と甘みを求肥に練り込んでおり、噛むたびにプチプチと弾ける種の食感が素晴らしいアクセントになっている。
一方、深い緑が美しい「抹茶味」は、口に入れた瞬間に宇治の茶葉を思わせる高貴な香りと心地よい苦みがふわりと広がる仕上がり。
人工的な着色に頼らず、素材本来の風味を極限まで引き出した贅沢な味わいだ。
技が光る、気品あふれる白と紅
人生の節目や慶事の席に欠かせないのが、凛とした美しさを湛える「上用万寿」である。
そのおいしさの核心を握るのが、中に包まれたなめらかな餡の存在だ。
こちらの餡は、一般的なお饅頭よりも水分を絶妙な塩梅で多く含ませて仕上げられており、驚くほどなめらかな舌触りが特徴。
上品でキレのある甘さに抑えられているため、後味が非常に軽やかで、思わずもう一つと手が伸びてしまう。
またきめ細かく蒸し上げられた外皮は、ふっくらと柔らかながらも絶妙なコシがあり、口の中で餡と見事に一体化していく。シンプルを極めた意匠だからこそ、ごまかしの利かない職人の熟練した手業がダイレクトに伝わってくる。
日本茶で一服する時間はもちろん、深煎りの珈琲の苦みや、香り高い紅茶の渋みとも不思議なほど美しく調和する、現代のライフスタイルに寄り添う銘菓だ。
一口で笑顔を運ぶ、西陣の宝物たち
名物のお赤飯からモダンな餅菓子、伝統的な上用万寿にいたるまで、どの一品をとっても素材への妥協なき眼差しと丁寧な職人技が息づいている。
「特別ではない日に食べても美味しい」と感じる親しみやすさと、ハレの日にふさわしい特別感が同居する、唯一無二の味わいに出合えるはずだ。
お赤飯が買える場所は
店頭ではお赤飯の量り売りが行われ、蒸したての香りをその場で楽しめるのも魅力。直接同店に足を運びたいが、公式のオンラインショップも用意されており、遠方に住む大切な人への贈り物や、自宅へのお取り寄せにも利用できる。
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- 店名
- 鳴海餅本店
- 住所
- 京都府京都市上京区下立売通堀川西入西橋詰町283番地
- 電話番号
- 075-841-3080
- 営業時間
- 8:30~17:00 ※その他祭事等により変更があります
- 定休日
- 不定休 ※1月1日〜6日は休み
- 交通
- 地下鉄東西線二条城前駅から徒歩5分
- メニュー
- お赤飯(5寸2分折)1,190円(税別)、ぽち餅(一袋)400円(税別)、上用万寿(1個)216円
- https://www.instagram.com/narumimochi/
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