その日一番のおいしさを届ける、京都『本家 月餅家直正』のわらび餅
「月餅」と並ぶ、店の顔となる一品
文化元年(1804)創業。店名にも掲げる「月餅」で知られるこちらだが、近年は「わらび餅」を目当てに訪れる客も少なくない。六代目の木村公一さんによると「わらび餅」自体は戦前から作られていたというが、近年SNSなどで話題となり、今では看板商品の一つになったという。
時代が移り変わっても大切にしてきたのは、素材の持ち味を生かすこと。流行を追いかけるのではなく、一つひとつの工程に手間を惜しまず、その日一番よい状態で味わえる菓子を届けることを何よりも優先している。
三つの素材が織りなす美味
わらび餅を構成するのは、本わらび粉、こし餡、きな粉というシンプルな素材だけ。それだけに、それぞれの存在感と調和が仕上がりを大きく左右する。
生地には国産の本わらび粉を使い、時間をかけて丁寧に練り上げる。中へ包むのは、やさしい甘さのこし餡。さらに、店で煎り直したきな粉をたっぷりまとわせ、香ばしさを引き出している。
一つひとつが主張しすぎることなく、口に含んだ瞬間に自然と重なり合うよう仕立てるのがこちらの考え方。素材を足し算するのではなく、それぞれの持ち味を引き立てながら、一つの味わいへとまとめ上げている。
大ぶりなのに軽やかな余韻
一般的な「わらび餅」よりも大ぶりながら、不思議と重たさを感じさせない。口に運ぶと、ぷるんと弾むようなやわらかさとともに、なめらかなこし餡が広がり、香ばしいきな粉がやさしく重なる。みずみずしい口当たりは、すっと溶けるように消え、上品な甘みだけが静かに余韻を残す。しっかりとした満足感がありながら後味は軽やかで、自然ともう一つ手が伸びる。
賞味期限はわずか当日限り。翌日にはあの瑞々しいぷるんとした弾力が失われ、本来のおいしさを保てなくなるためだ。だからこそ発送は行わず、店頭で最も良い状態で販売する。
「今日のうちに食べてほしい」という思いも、この「わらび餅」のおいしさを支える大切な要素になっている。
また食べたくなる理由
一口目は、そのやわらかさに驚き、二口目は餡ときな粉の調和に惹かれる。そして食べ終えた頃には、もう一つ食べたくなっている。それは、甘さや大きさだけでは語れない、全体のバランスが生み出す心地よさがあるからだ。
当日しか味わえないおいしさを守るため、手間を惜しまない。その実直な菓子づくりが、多くの人を引きつけ、わらび餅を店の看板商品へと押し上げた理由なのだろう。
確実に味わうなら予約がおすすめ
人気商品のため「わらび餅」は、早くに売り切れてしまう日も少なくない。目当てに訪れたものの、購入できずに帰る人もいるという。そのため、確実に手に入れたい場合は、事前の予約がおすすめだ。
「わらび餅」を目当てに訪れる人が増えたことは、店にとってうれしい変化だ。一方で、店主にはもう一つの思いもある。
店頭には、季節の生菓子や焼き菓子など、わらび餅と変わらない手間をかけて仕上げる菓子が並ぶ。それぞれ素材の持ち味を大切にし、一つずつ丁寧に作り続けてきたものばかりだ。しかし「わらび餅」が売り切れると、そのまま店を後にする人もいるという。
「他の商品も食べてもらえたら嬉しいですね」と木村さん。店を訪れたなら、一品だけで終わらせず、長年培ってきた菓子づくりにも目を向けてみたい。
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- 店名
- 本家 月餅家直正
- 住所
- 京都府京都市中京区上大阪町530-1
- 電話番号
- 075-231-0175
- 営業時間
- 10:30〜17:00 ※わらび餅の販売は12: 30〜、予約(10:30〜可)が望ましい
- 定休日
- 木曜、月1回第3水曜
- 交通
- 地下鉄東西線「京都市役所前駅」から徒歩4分
- メニュー
- わらび餅(3個)940円、月もち(1個)190円、十三里・やき栗(8個・紙包み)1,200円

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