小豆をすくって味わう京都『今西軒』の「あんてぃーく」

瓶の中を満たすのは、艶やかな小豆とゆるく炊き上げた餡。京都のおはぎ専門店『今西軒』の「あんてぃーく」は、スプーンですくってそのまま味わえる、あんこ好きにはうれしい一品だ。アイスやトーストにもよく合い、おはぎとはまた違う小豆の楽しみを広げてくれる。

身近な人のために炊いた小豆

『今西軒』と聞いてまず思い浮かぶのはおはぎだろう。つぶあん、こしあん、きなこの3種類を目当てに朝から客が訪れ、早々に売り切れる日も少なくない。

今西軒陳列
店頭のショーケースには3種のおはぎが整然と並ぶ。開店早々に売り切れる日も。
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そんな店に、もう一つの小豆の名物「あんてぃーく」がある。
始まりは商品として売るために考案したものではなかった。小豆を炊いた日に、先代が親戚や知人へ声を掛けて分けていたのが原型だという。汁気の中に小豆が浮かぶ一般的なゆで小豆とは違い、こちらは粒をたっぷり残した仕立て。身近な人に振る舞っていた味が、やがて瓶入りの商品になった。

ユニークなのはその名前だ。四代目の今西正蔵さんは、商品名は分かりやすい方がいいと考え、あんこだから「あんてぃーく」。少しひねりを利かせながら、覚えやすい名前に落ち着いた。手書きの文字を使ったラベルにも、気取りのない雰囲気が表れている。

今西軒あんてぃーく1
手書き文字のラベルが印象的な「あんてぃーく」1,100円。賞味期間は要冷蔵で約1週間。
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おはぎと同じ小豆、違う炊き上がり

使う小豆は「大粒」の選りすぐり。ただ、おはぎのあんを単にゆるくしただけではない。水にさらす加減などが異なり、途中から作り方そのものが変わる。豆の輪郭をしっかり残しながら、とろりとした部分も共存するのが「あんてぃーく」の持ち味だ。

そもそも、こちらのあんこ作りは小豆の扱いに時間を惜しまない。看板のおはぎでは、つぶあんに2日、こしあんには3日をかける。小豆を炊き、さらし、雑味を取り除きながら仕上げていく。長く続けてきたその仕事があるからこそ、粒を主役にする「あんてぃーく」でも、小豆そのものの存在感が際立つ。

おはぎなら餅米を包むためのあんこだが、こちらには受け止める生地が少ない。主役は最初から最後まで小豆。その潔さが、この商品の面白さでもある。

今西軒あんこ
ふっくらとした小豆に仕上げるため、炊き上げの見極めも大切な仕事。
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スプーンですくってまずはそのまま

蓋を開けたらまずはスプーンを入れたい。ゆるいあんの中から、ふっくらとした小豆がごろごろとすくい上がる。口に運べば柔らかな粒がほどけ、続いて甘みが広がる。なめらかに仕上げたこしあんとも、粒とあんが一体になったつぶあんとも違う。小豆を「食べる」感覚が前に出る。

今西軒あんてぃーく2
蓋を開けると、つやつやの小豆がぎっしり。スプーンですくうたび、粒の大きさや柔らかな炊き上がりが伝わる。
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楽しみ方はそれだけではない。おすすめはバタートースト。焼いたパンにバターを塗り「あんてぃーく」をたっぷりとのせる。小豆の甘みにバターの塩気とコクが重なり、パンにもなじむ。

今西軒バタートースト
トーストに小豆をたっぷり広げ、中央にバターをひとかけ。甘じょっぱい味わいがたまらない。
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冷たいアイスに添えるのもいい。乳味のあるアイスと小豆は相性がよく、ゆるい仕立てだからソースのようにも楽しめる。今日はスプーンでひと口、明日はパンに、次は冷たいデザートに。一瓶あれば、食べ方を決めずに遊べるのがいい。

今西軒アイス
バニラアイスに小豆をかければ、和洋折衷のデザートに。甘みの異なる二つを一緒にすくうのも楽しい。
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おはぎ屋だからこそのこだわり

もちろん『今西軒』の小豆を知るならおはぎも外せない。つぶあん、こしあん、きなこはいずれも1個240円。ひと目でもあんこの多さが分かる。それでいて、食後に甘さを重く残さないことまで考えて仕立てられている。

同じ小豆を使いながら、餅米と合わせればおはぎになり、粒を生かしてゆるく炊けば「あんてぃーく」になる。比べてみると、一軒の店が小豆をどう扱っているのかがより鮮明になる。おはぎを食べたことがある人にこそ、次に試してほしい一瓶だ。

今西軒店頭
店頭ではおはぎを一つずつ丁寧に扱いながら販売。ショーケースに並ぶ商品を手に取る姿から、日々の商いの様子が伝わる。
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一瓶の先にも続く、あんこの仕事

「あんてぃーく」は店頭に並ばないため事前に電話で予約を。現在は地方発送をほぼ行わないが、百貨店で購入できる機会もある。おはぎのように買ったその日に味わうだけでなく自宅へ持ち帰り、食べ方を変えながら楽しめるところにも、この商品ならではの魅力がある。

先代が身近な人のために炊いていた小豆から生まれた「あんてぃーく」。そのままでも、パンやアイスと合わせてもいい自由さは、次の世代が描く新しい楽しみ方にもつながっていきそうだ。おはぎとは違う一瓶から、『今西軒』のあんこの奥行きが見えてくる。

今西軒外観
おはぎと書かれた木の看板が目印。昔ながらの和菓子店の風情を残す。
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編集部選☆間違いない関西手土産

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