琥珀色に透ける黒糖の深い甘みと涼やかな口当たり。 京都『京菓子司 亀廣永』の「したたり」
高倉通で京菓子を作り続けて90年
京都の中心部、高倉通に店を構える『亀廣永』。昭和11年(1936)、京菓子店で修業を積んだ初代が独立し、この地で商いを始めた。現在は二代目の西井新太郎さんと妻の祥子さん、三代目の息子・孝明さんとその妻が店を支え、昔からの客を迎えている。
店では、紅白の落雁で粒あんを包んだ「古都大内」など、初代から受け継がれる菓子も手がけている。木型を使った昔ながらの菓子がある一方、広く名を知られるようになったのは、二代目が考案した「したたり」だった。
祇園祭の時期に味わう菓子として親しまれてきたが、現在は一年を通して販売されている。京都の夏を代表する銘菓として、手土産にも選ばれる一品だ。
光にかざすと美しい琥珀色
「したたり」は、黒糖を使った棹状の寒天菓子。見た目は黒に近い濃褐色だが、切り分けて光にかざすと、透明感のある琥珀色が浮かび上がる。
黒糖の色を生かした深みのある見た目と、光を通したときの涼しげな表情。その対比がこの菓子ならではの美しさを生んでいる。
冷やして薄く切り分け、口に運べば、つるりとした舌触りとともに黒糖の香りが広がる。コクのある甘みを感じながらも、寒天ならではの軽やかな口当たり。濃い色合いから想像する味わいとは少し違う、上品な一切れだ。
黒糖を見極め、変わらぬ味に
「したたり」に使用するのは、沖縄産の黒糖と阿波産の和三盆糖、ざらめ、寒天、そして京都の地下水。材料はシンプルだが、同じ配合で作れば必ず同じ味になるわけではない。
なかでも仕上がりを左右するのが黒糖だ。同じ沖縄産でも、島によって風味や色合いが異なる。安定して同じ産地のものを仕入れられるとは限らず、原料が変われば、その都度調整が必要になるという。
「お客さんには、いつもと同じでおいしいと言っていただける。でも実は陰で努力して、変わらないようにしているんです」。
現在、製造を担う孝明さんはそう話す。黒糖の状態を見極め、配合や炊き方を調整する。食べ慣れた人が求める味を保つためには、毎回同じ作業を繰り返すだけでは足りないのだ。
炊き上げにも気が抜けない。仕込みが始まれば鍋のそばを離れられず、電話にも出られないほど。火の入り方や仕上がりの状態を確かめながら、タイミングを見極めていく。
新太郎さんから製法を受け継いだものの、道具や火力は時代とともに変わった。今の環境に合わせて工夫を重ねながら、黒糖の風味と寒天の口当たりを整えている。
コーヒーやウイスキーにも
「したたり」は、冷やしてそのまま味わうのがおすすめで、黒糖の香りとコクのある甘みを楽しめる。
茶席の菓子だけに抹茶との相性はもちろんだが、コーヒーと合わせてもいい。
ウイスキーのお供にしたり、細かく崩してアイスクリームに添えたりする食べ方もあるのだそう。黒糖の風味が乳製品のまろやかさと重なり、ひと味違ったデザートになる。
祇園祭の茶席のために考案された「したたり」は、今では季節を問わず楽しめる菓子となった。まずはひと切れ、そのままで。次に好みの飲み物やアイスクリームと合わせれば、黒糖のまた違った風味が楽しめる。京都らしい由来を持ち、見た目にも涼やかな一品は、手土産としても喜ばれることだろう。
「したたり」を購入できる場所
「したたり」は『亀廣永』で通年購入できる。現在は京都高島屋など、一部の百貨店でも販売されることもあるという。だが、やはり直接お店に足を運びたい。今も馴染み客が顔を見に訪れるという二代目夫妻との会話も、楽しみのひとつだ。
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- 店名
- 京菓子司 亀廣永
- 住所
- 京都府京都市中京区高倉通蛸薬師上ル和久屋町359
- 電話番号
- 075-221-5965
- 営業時間
- 9:00~18:00
- 定休日
- 日曜、祝日
- 交通
- 地下鉄四条駅から徒歩5分
- メニュー
- したたり1,500円、古都大内(木箱50個入)4,200円、古都大内(紙箱30個入)2,400円

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