柔らかな落雁に小豆の粒感が際立つ京都『有職菓子御調進所 老松』の「御所車」
三代目が生んだ御所ゆかりの意匠
京都・上七軒で明治41年(1908)に創業した『有職菓子御調進所 老松』。宮中の儀式や行事に関わる有職菓子の文化を受け継ぎ、茶席の菓子から贈答品まで手がけてきた。その代表銘菓こそ、三代目が改良を重ねて仕上げた「御所車」だ。
名の通り、意匠のモチーフは御所を行き交った牛車の車輪。
円を描く文様が整然と並ぶ姿は、どこか雅やかで、京都の菓子らしい趣を感じさせる。華やかな色を使わずとも、木型で押した細やかな模様だけで目を引く。手のひらに収まる小さな菓子に、都の風景を思わせる意匠が表現されている。
作り方は粒餡を柔らかな落雁で包み、三枚型の木型で文様を押して仕上げるというもの。
一見すると白い生地に模様を施した菓子だが、よく見ると内側の餡がうっすらと透けている。
「真っ白では駄目なんです。程よく餡が見えるようにしています」と取締役の片岡さん。
餡が出すぎると表面がべたつき、反対に落雁で厚く覆ってしまうと、持ち味である小豆色が見えなくなる。餡の大きさと落雁の量、そのぎりぎりの加減を見極めることが欠かせない。
しかもこの工程は手作業が中心。木型に収める餡の量や包み方によって、仕上がりの表情はわずかに変わる。均一に整えればよいわけではなく、餡を美しく透かせることが大切なのだ。職人の経験がものをいう、繊細な仕事である。
柔らかな口当たりと小豆の存在感
実際に食べてみると、まず印象的なのが外側の柔らかさ。落雁と聞いて想像する硬さや粉っぽさとは異なり、すっと歯が入る。その内側にはしっとりと炊き上げられた粒餡が詰まり、小豆の粒感もしっかりと感じられる。
餡は甘さが重たく残らず、落雁の穏やかな甘みとも好相性。
白い生地と粒あんが口の中で重なり、食べ進めるほどに小豆の味わいが広がる。見た目は繊細で控えめながら、餡を食べた満足感は十分だ。
緑茶や抹茶を合わせひと口ずつ味わいたい。美しい文様を眺めてから口に運ぶ時間も、この菓子ならではの楽しみだ。
箱を開ける楽しみも贈り物に
「御所車」は気軽に購入できる6個入が人気で、12個入りも展開。
小ぶりな菓子が整然と並ぶ姿は、手土産にもふさわしい。包装紙には太田家に伝わる明治初期の京都の古地図、しおりには江戸時代の御所の公家屋敷の様子を描いた図が使われている。包みを開けるところから、京都の歴史に触れられる仕立てだ。
代々受け継いできた木型を大切に使い、廃業する菓子店から譲り受けることもあるという。そうして守られてきた道具と職人の技が「御所車」の美しい姿を支えている。白い落雁からほんのり透ける小豆色も、しっとりとした粒あんの味わいも、細やかな手仕事があってこそ。
ほかにも、白味噌と生姜を隠し味に使った焼き菓子「松風」や、夏の銘菓「夏柑糖」など、贈り物に選びたい菓子が揃う。季節や贈る相手に合わせて、京都らしい一品を選ぶ楽しみがある。
「御所車」を購入できる場所
「御所車」は、京都・上七軒の北野店や嵐山店をはじめ、大丸京都店、ジェイアール京都伊勢丹、さらに関東では伊勢丹新宿店の売場でも販売。
遠方からは公式オンラインショップでも購入できる。賞味期間も21日と長く、ゆっくりと楽しめるのも嬉しい。
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- 店名
- 有職菓子御調進所 老松
- 住所
- 京都府京都市上京区社家長屋町675-2
- 電話番号
- 075-463-3050
- 営業時間
- 10:00~17:00
- 定休日
- 不定休
- 交通
- 京都市バス北野天満宮前バス停留所から徒歩8分
- メニュー
- 御所車(1箱6個入)972円、松風2,268円
- https://www.instagram.com/oimatsu_kyoto

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