柔らかな落雁に小豆の粒感が際立つ京都『有職菓子御調進所 老松』の「御所車」

牛車の車輪をかたどった端正な文様に、白い生地からほんのり透ける小豆色。京都・上七軒の『有職菓子御調進所 老松』を代表する「御所車」は、柔らかな落雁で粒あんを包んだ押紋菓子だ。口にすれば、外側のやさしい口当たりと、しっとりとした餡の存在感に驚かされる。美しい姿の裏には、職人の手加減が生む、見た目と味わいの絶妙なバランスがある。

三代目が生んだ御所ゆかりの意匠

京都・上七軒で明治41年(1908)に創業した『有職菓子御調進所 老松』。宮中の儀式や行事に関わる有職菓子の文化を受け継ぎ、茶席の菓子から贈答品まで手がけてきた。その代表銘菓こそ、三代目が改良を重ねて仕上げた「御所車」だ。

名の通り、意匠のモチーフは御所を行き交った牛車の車輪。
円を描く文様が整然と並ぶ姿は、どこか雅やかで、京都の菓子らしい趣を感じさせる。華やかな色を使わずとも、木型で押した細やかな模様だけで目を引く。手のひらに収まる小さな菓子に、都の風景を思わせる意匠が表現されている。

老松御所車1
木箱に収められた6個入。箱には御所車の絵柄をあしらい、京都土産らしい品のよさが感じられる。1箱972円。
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作り方は粒餡を柔らかな落雁で包み、三枚型の木型で文様を押して仕上げるというもの。
一見すると白い生地に模様を施した菓子だが、よく見ると内側の餡がうっすらと透けている。

「真っ白では駄目なんです。程よく餡が見えるようにしています」と取締役の片岡さん。
餡が出すぎると表面がべたつき、反対に落雁で厚く覆ってしまうと、持ち味である小豆色が見えなくなる。餡の大きさと落雁の量、そのぎりぎりの加減を見極めることが欠かせない。

しかもこの工程は手作業が中心。木型に収める餡の量や包み方によって、仕上がりの表情はわずかに変わる。均一に整えればよいわけではなく、餡を美しく透かせることが大切なのだ。職人の経験がものをいう、繊細な仕事である。

老松御所車2
「御所車」を並べると、餡の透け具合にも違いが。一つひとつの仕上がりに、手仕事ならではの表情がある。
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柔らかな口当たりと小豆の存在感

実際に食べてみると、まず印象的なのが外側の柔らかさ。落雁と聞いて想像する硬さや粉っぽさとは異なり、すっと歯が入る。その内側にはしっとりと炊き上げられた粒餡が詰まり、小豆の粒感もしっかりと感じられる。

餡は甘さが重たく残らず、落雁の穏やかな甘みとも好相性。
白い生地と粒あんが口の中で重なり、食べ進めるほどに小豆の味わいが広がる。見た目は繊細で控えめながら、餡を食べた満足感は十分だ。
緑茶や抹茶を合わせひと口ずつ味わいたい。美しい文様を眺めてから口に運ぶ時間も、この菓子ならではの楽しみだ。

老松御所車3
切り口から現れる、たっぷりの粒餡。薄い落雁との色の対比も美しく、断面まで楽しみたい一品だ。
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箱を開ける楽しみも贈り物に

「御所車」は気軽に購入できる6個入が人気で、12個入りも展開。
小ぶりな菓子が整然と並ぶ姿は、手土産にもふさわしい。包装紙には太田家に伝わる明治初期の京都の古地図、しおりには江戸時代の御所の公家屋敷の様子を描いた図が使われている。包みを開けるところから、京都の歴史に触れられる仕立てだ。

代々受け継いできた木型を大切に使い、廃業する菓子店から譲り受けることもあるという。そうして守られてきた道具と職人の技が「御所車」の美しい姿を支えている。白い落雁からほんのり透ける小豆色も、しっとりとした粒あんの味わいも、細やかな手仕事があってこそ。

ほかにも、白味噌と生姜を隠し味に使った焼き菓子「松風」や、夏の銘菓「夏柑糖」など、贈り物に選びたい菓子が揃う。季節や贈る相手に合わせて、京都らしい一品を選ぶ楽しみがある。

老松御所車箱入り
木箱の蓋を開けると、端正な文様を施した菓子が並ぶ。きちんとした贈り物にも選びやすい装い。
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老松内観
入口から奥へと続く売場。木のショーケースや石畳風の床が、昔ながらの菓子店の雰囲気を醸し出す。
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「御所車」を購入できる場所

「御所車」は、京都・上七軒の北野店や嵐山店をはじめ、大丸京都店、ジェイアール京都伊勢丹、さらに関東では伊勢丹新宿店の売場でも販売。
遠方からは公式オンラインショップでも購入できる。賞味期間も21日と長く、ゆっくりと楽しめるのも嬉しい。

老松陳列
ショーケースには小さな御所車の飾りも。菓子の箱とともに並ぶ愛らしい細工が、売場に彩りを添える。
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老松外観
年季の入った木製看板が目印。白い暖簾をくぐれば、京都の菓子文化に触れるひとときが待っている。
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編集部選☆間違いない関西手土産

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