お客の愛で埋め尽くされたアメ村食堂

お客の愛で埋め尽くされたアメ村食堂

覆面調査の現場より

2023.10.02

文:「あまから手帖」編集部
写真:エレファント・タカ

アメ村の一角に外観がポスターやステッカーで埋め尽くされた店があり、お腹を空かせた若者たちがひっきりなしに出入りする。そこは店とお客が長年にわたって育んできた、交流の場でもあった。

目次

店とお客の交流の証 店舗情報

店とお客の交流の証

大阪難波駅から北上し、大黒橋を渡ってすぐ。アメ村エリアでいうと南の角にあたる位置に、独特の雰囲気を放つ店「ニューライト」がある。外観はポスターやステッカーで埋め尽くされ、一見すると飲食店なのかどうかもわからない。

入店してからも、四方の壁にはびっしりとサインの色紙。また別のインパクトに見舞われる。芸人、音楽関係のアーティスト、テレビ取材…文字に囲まれ、視線がうろつく。すこし緊張しながら名物のセイロンライスをいただいたのが、取材前のことだった。

アメリカ村 ニューライト外観ところ狭しと貼られているポスター、ステッカー。中の様子はうかがえない。

ニューライト セイロンカツ一番人気のセイロンカツ750円。

「この他にも、まだ貼りきれないくらいあるんやけど、久しぶりに来た人が同じ場所に貼ってなかったら残念がるから」

サイン色紙を書いてくれたお客に対する心遣いを語ってくれたのは、この店の‟お母さん“こと、石村多津美さん。「私はレゲエが大好きで、昔はよくライブに行っていたよ」と、レゲエアーティストの色紙であふれる一角を指して話してくれる。

店内の撮影を進めていると、食事を終えた青年が立ち上がり、新発売のアルバムのポスターを出してきて「目立つところに貼っといてや」とはにかむ。娘のあさみさんが手慣れた様子で受け取った。

数分後、外観撮影で店の外に出ると、すでにポスターが貼られている。こうやって、お店の方の音楽に対する愛と、店を食堂的に利用するアメ村のお客との交流が絶えないから、内も外も、ポスターやサインでいっぱいなのか。

アメリカ村 ニューライト内観サインは天井にまで。

レゲエアーティストの名を冠した裏メニューがあると聞き、「チェホン」を注文してみる。バターライスの上に、カツ、目玉焼きをのせた一皿が出てくる。表のメニューに記載のない料理が、他にも10種ほどあるという。

レゲエ門外漢の私だが、馴染みの店に自分の名前が入ったメニューがあるなんて、アーティストにとって、そしてファンにとっても、どれだけ嬉しいことだろう、と想像しながら一口。あ、めっちゃ旨い。と思ってから、すぐに皿が空になった。

■店名
ニューライト
■詳細
【住所】大阪府大阪市中央区西心斎橋2 -16-13宝泉ビル1階
【TEL】06-6211-0720
【営業時間】11:00~19:30(土・日曜、祝日は~18:30)
【定休日】水曜休、臨時休あり

『2023年10月号 ナンバにミナミ。』

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