
親子が笑顔になる!台所育児のメリットと続けるコツ
台所育児は、親子で料理をして食への興味を育てる取り組みで、子ども用道具を使うなどの工夫をすれば小さな子どもでも料理の手伝いができます。
ここでは、台所育児のメリット、デメリット、年齢別にできることもお伝えします。
親子でキッチンに立ち、子どもが自ら料理を楽しむきっかけにしてみませんか。
台所育児の基本情報
台所育児とは、キッチンでの調理作業を通じて子どもの成長を促そうという取り組みです。
料理を一緒にするだけで本当に学びになるのかと思われるかもしれませんが、実は食材の手触りや香りを感じたり、鍋がグツグツ煮える様子を眺めたりする体験は、子どもの五感を大いに刺激してくれます。
特に1歳半頃からは大人の行動を真似したがる時期を迎えるため、包丁を使わずにちぎったり洗ったりするだけの簡単な工程からスタートするのがおすすめです。
【引用元:農林水産省「子どもの食育ガイドライン」
該当ページ:第2章「食に関わる体験の重要性」に「子どもが興味を示し始める年齢に応じて、無理なく体験を取り入れることが効果的」と記載】
■台所育児が注目される理由
台所育児が注目を集めている背景には、食育が大きく関わっています。近年、子どもの偏食や肥満などが社会的な問題となるなかで、「小さいうちから食に携わっていれば、苦手なものが減り、バランスの良い食生活を身につけやすい」という研究も報告されています。
また、親子一緒に料理をすることでコミュニケーションの機会が増え、子どもが「これはどうしてこうするの?」と質問したり、親が「ここを切るときは気をつけてね」と声をかけたりと、自然に会話が生まれるのも大きなメリットです。忙しい毎日のなかでも、このような時間を共有できるのは意外と貴重ではないでしょうか。
■ご飯の支度が親子の時間になる
忙しい親御さんにとっては、子どもと向き合う時間をどう確保するかが悩みのタネかもしれませんが、夕飯や朝ごはんの支度を一緒にするだけでも、親子の交流時間としては十分です。
子どもは目新しいことに触れるとき、いつも以上に興味津々になりやすいですし、料理の工程を楽しみながら身近な学びを吸収していきます。自宅で実践しやすい取り組みとして、台所育児はうってつけだと言えるでしょう。
台所育児のメリット
台所育児には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットが指摘されています。ただし、実際には「大きなトラブルに発展するケースは少ない」という声もあり、事前に対策を立てれば、親子ともに楽しく続けられるでしょう。
■子どもの成長につながる
台所育児の最大の特徴は、子ども自身の成長が多方面にわたる点です。例えば、食材を切る・ちぎるといった指先を使う作業は脳への刺激となり、巧緻性(器用さ)の発達に役立つと考えられています。
また、「自分で切った野菜を、最後までおいしく食べきった」という成功体験は、子どもの自己効力感を高める大切な要素です。
さらに、どんな食材を選ぶのか、どの順番で調理するのかを一緒に考えるなかで、意思決定力や問題解決能力も少しずつ育まれていくでしょう。
実際に、子どもの偏食傾向が改善されるケースも珍しくありません。自分が関わった料理に愛着が湧き、苦手だった野菜でも「どんな味がするのか試してみよう」と前向きに挑戦することがあるからです。「五感を使って食に向き合う」という経験は、将来の健康管理につながる大切な学習機会にもなるでしょう。
【引用元:文部科学省「幼児教育の推進に関する調査研究」
該当ページ:第2部「幼児期の総合的な学び」で「料理を通じた五感刺激は指先の発達と情緒面の安定に寄与する」という文言あり】
■家族の絆が深まる
子どもの成長を見守るだけでも十分な喜びがありますが、親自身にもメリットがあります。例えば、子どもが料理に慣れてくれば家事の分担がしやすくなり、少しでも手伝ってもらえるだけで精神的な余裕が生まれます。特に夕食前はバタバタしがちですが、簡単な下準備をお願いできると助かる場面は多いでしょう。
台所育児を通じて親自身の料理スキルやレシピの幅が広がることもあります。子どもが好むメニューや時短レシピを試行錯誤するうちに、「こんな切り方が食べやすいんだ」「火加減はもう少し弱めでいいかも」など、新しい発見があるかもしれません。
親と子が同じ空間で同じ作業をする時間は会話が自然に増え、日々の悩みや出来事を共有し合うことで家族のコミュニケーションが深まります。その結果、子どもの苦手克服や親の負担軽減にもつながっていくでしょう。
台所育児のデメリット
台所育児は、子どもにとって貴重な学びの場になる一方で、包丁や火を使う危険や親の負担というデメリットがあるのも事実です。事前に起こり得るリスクや、よくあるトラブルを把握し、それぞれの対策をしっかり整えておくことが重要になります。少し面倒に感じる準備かもしれませんが、スムーズに料理を進めるだけでなく、子どもが「やっぱり料理って楽しい」と思えるようにしてあげるためにも、大切なステップだといえます。
■子どもが途中で飽きてしまう
台所育児では、「子どもが途中で嫌がって放り出してしまう」といった声も寄せられています。途中で嫌がる場合は、作業が長すぎるか難易度が高すぎる可能性があります。そんなときは工程を短く区切って、集中力が途切れる前に小休止を挟むのも有効でしょう。
スタートする時間帯も重要です。夕飯時の忙しい時間に急に始めるとバタバタしやすいため、週末や午後の時間帯など、心に余裕があるときに取り入れると気持ちが楽です。子どもが「自分もやりたい!」と言い出したタイミングを逃さず、「じゃあ少し手伝ってくれる?」と軽めの作業を任せるのも良いでしょう。「お手伝いを楽しんでくれたらラッキー」という気持ちで臨めば、親子ともにストレスを感じにくくなります。
■火や包丁を使うため危険がある
台所育児では、包丁や火を扱うこともあるため危険なことがあります。例えば、包丁を握っていた子どもが急に興味を失い、走り回ろうとすると、足元にある調理器具を踏んで転倒する可能性があります。また、踏み台を使っている場合は、足がしっかり届かないぶんバランスを崩しやすく、最悪の場合は大きな怪我につながりかねません。
火を使うタイミングでも、好奇心旺盛な子どもほど「どんな火なの?」「もっと近くで見てみたい!」と無意識に手を伸ばすことがあるため、親がほんの少し目を離した瞬間に大きな事故が起きるケースもあるのです。
危険を避けて楽しく台所育児をするためには、対策と準備が大切です。包丁を初めて使うときは、刃先が丸い子ども用包丁を選び、親がしっかり手元を添えることで、想定外の動きを防げます。火を扱う際にも、子どもに「火に触れると危険」という点を穏やかに伝え、大人が片時も目を離さない姿勢をキープすることが欠かせません。
小さな準備や心配りが、台所育児をめぐるストレスを大きく減らすと同時に、子どもが「料理って楽しい」と思うきっかけになるはずです。
年齢別にみる台所育児の進め方
子どもの年齢や発達段階によって、台所育児で任せられる作業は大きく変わります。ここでは0~1歳、2~3歳、4~6歳、小学生以上の4つに分けて、それぞれの特徴や安全面での注意点を紹介します。あくまでも目安ですので、子どもの興味や成長具合を見ながら無理なく進めてみてください。
■0~1歳ができること
0~1歳の子どもは、まだ自分で立てない場合も多いため、抱っこをしながら鍋を覗かせたり、野菜や果物の香りを嗅がせたりするだけでも良いでしょう。たとえ触るだけでも、新しい質感や色合いに触れられるため、五感を育む貴重な機会となります。赤ちゃんはキッチンの賑やかな音や湯気など、いつもと違う刺激に驚きつつも楽しそうに反応してくれることが多いので、まずは親が調理している様子を見せるところから始めてみましょう。
■2~3歳ができること
2~3歳になると、手先が少しずつ器用になってきます。レタスをちぎる、しめじをほぐす、お米を研ぐといった包丁を使わない作業にチャレンジさせると、「自分もお手伝いしている」という実感が得られるでしょう。
特にお米研ぎは水遊びのような感覚があり、子どもが飽きにくい工程の一つです。2~3歳では集中力が続かないことも多いですが、短時間で終わる作業を任せることで「もっとやりたい」「またやりたい」という気持ちが自然と湧いてきます。
■4~6歳ができること
4~6歳くらいになると、子ども用包丁を使った簡単な包丁操作に挑戦できるようになります。手を添えながら大人がしっかりサポートし、柔らかい野菜や果物を切る練習をしてみてください。ただし、火元を扱う場合は常に目を離さず、ゆっくり取り組むことが鉄則です。
この時期はクッキーの型抜きや、生地のデコレーションなど「見た目に楽しい作業」を取り入れてみるのも良いですね。アルファベット型のクッキーを作ったり、フルーツを可愛らしく盛り付けたりすることで、子どもの創造力はさらに広がります。
■小学生以上にできること
小学生以上になると、ある程度の計量や包丁を使った野菜切り、簡単な炒め物などにもチャレンジできるようになります。火の扱いに関しても、大人が見守りながら少しずつ任せていくタイミングが増えるでしょう。さらに、献立を一緒に考えたり予算を決めて買い物に行ったりすることで、子どもが「食」の全体像を把握できるような体験も可能になります。
学年が上がるにつれて宿題や習い事で忙しくなることも多いかもしれませんが、週末や長期休暇など時間に余裕がある日には「今日は○○を作ってみない?」と声をかけてみてください。自分が立案した料理を最後まで仕上げた経験は、子どもに大きな達成感をもたらしてくれるはずです。
■この記事もおすすめ
【手作り体験】大人も全力!チキンラーメンファクトリー『カップヌードルミュージアム 大阪池田』
【手作り体験】『ミスドキッチン/ダスキンミュージアム』揚げたてドーナツはここだけ
【手作り体験】『グリコピア神戸』ハート型、リーフ型、丸型…ぜんぶビスコ
手作り体験全力レポ連載「タンケン! タイケン教室」
具体的な作業例とレシピアイデア
年齢別の視点を踏まえつつ、「実際にどんな作業をすればいいの?」と気になる方も多いでしょう。ここでは包丁なしで気軽に取り組める工程から、便利グッズを活用した応用メニューまでご紹介します。失敗しにくいレシピ例を知っておくと、親も余計なストレスを感じずに済むのではないでしょうか。
■包丁なしで気軽に取り組める作業
最初の一歩としては、レタスちぎりやお米研ぎ、ゆで卵の殻むき、バナナの皮むきなど、失敗が起きにくい作業がおすすめです。特にバナナの皮むきは力を入れなくても簡単にできるため、子どもにとって成功体験になりやすいでしょう。
ホットケーキの生地を混ぜる工程も人気で、泡立て器をぐるぐる回す感触に「おもしろい!」と夢中になる子が多いです。作業が終わったら「ここまでできたね」と一言声をかけると、さらに意欲を高めてくれます。
簡単レシピ ♪ こってり濃厚♥フライパンチーズケーキ
簡単レシピ ♪ オールスパイス香るチャイ風ドーナッツ
■子ども用キッチンツール・便利グッズ
子どものやる気を伸ばすうえで、道具選びはとても重要です。最近では子ども向けの包丁やピーラー、踏み台、キッズ用エプロンなど、多種多様な便利グッズが市販されています。
刃先が丸い包丁や、手元に怪我防止ガードが付いたピーラーを選べば、親としても安心して台所育児ができます。口コミを調べて、「握りやすさ」「安全性」「洗いやすさ」で高い評価を得たものを選ぶと良いでしょう。お気に入りのエプロンやミトンを揃えると、子どもは「わたし専用!」と張り切ってくれるはずです。
■チャレンジメニューや応用レシピ
包丁なしの作業や簡単な道具に慣れてきたら、少しステップアップしたメニューにも取り組んでみましょう。ピザづくりは、生地をこねる過程で手のひら全体を使うため、子どもが「粘土遊びみたい!」と盛り上がりやすいです。
サンドイッチづくりも失敗が少なく、具材を自由に組み合わせるだけなので、子どもが好む野菜やお肉を自然に取り入れられます。盛り付けを工夫すれば、「こんなふうに並べよう」「もっと可愛い形に切ってみたい」といった想像力を引き出しやすいでしょう。
例えば「今日は具材を全部○○の形にしてみよう」とテーマを決めたり、チーズやハムを型抜きして飾り付けをしたりするだけでも楽しさが倍増します。
アレンジの幅が広がれば、子どもが途中で飽きることも少なくなるはず。味付けの好みを確認しながら意見を交換しているうちに、料理全体の面白さを親子で一緒に見つけていけるのではないでしょうか。
体験談と継続のヒント
実際に台所育児を始めた家庭からは、「子どもが初めて卵を割ったときは殻が入って大変だったけれど、本人はすごく誇らしそうだった」「週1回だけでも一緒に料理をするようになってから、親子の会話が格段に増えた」といった声が多く聞かれます。
子どもが途中で飽きたり嫌がったりすることもありますが、成功も失敗も含めて良い思い出に変えられるのが台所育児の醍醐味でしょう。
■台所育児を楽しむための工夫
継続させるコツとしては、やはり「楽しさを仕掛ける」ことが大切です。誕生日やハロウィン、クリスマスなどのイベント時には、子どもと一緒に飾り付けを考えたり、SNSにアップする前提で盛り付けを工夫したりしてみてはいかがでしょうか。「次はこんなメニューを作りたいね」「今度はもっときれいに盛り付けたいね」といったアイデアが自然と湧いてくるかもしれません。
また、子どもが好きなレシピをリスト化して貼り出しておくのもおすすめです。そこから「今回はどれを作ってみようか?」と選んでもらうことで、主体的に参加する意識を育むことができます。日常のなかに台所育児を少しずつ取り入れていけば、子どもは自分なりのペースで着実に成長していくはずです。
まとめと次のステップ
台所育児は、子どもの年齢や興味に合わせて無理なくスタートできる点が最大の魅力です。
最初は「お米を研ぐところだけ手伝ってもらう」程度でも構いませんし、子どもが作業を嫌がったり飽きたりしたときは無理をせず、いったん休憩する柔軟さも大切です。
何より「楽しい」「やってみたい」という子どもの気持ちを引き出せるよう、台所育児をするための環境を整え、温かい声かけを心がけてみてください。
台所育児の延長として、親子でできる手作り体験に参加するのはどうでしょう?
体験を通して、様々な感覚を養うのと同時に、お家の中だけでなく、外でも親子のコミュニケーションの場を作ることができます。
recommend