「関西ジンラリー」発。ジン×中華もアリ⁉ 知られざるジンと料理とのペアリング

今、自由な風が吹いている日本のクラフトジン界隈。ご当地のボタニカル(自然素材)を取り入れたジンは多種多様で、料理との相性も良いと聞く。その可能性を、110店舗が参加するジン飲み歩きイベント「関西ジンラリー」が実証している。連日、盛り上がりを見せる「関西ジンラリー」主催者・小林道明さんの案内で、大阪のディープな店で出会ったペアリングの魅力を紹介!

110店参加の「関西ジンラリー」。ジンは関西人の気質に合っている⁉

「関西ジンラリー」は、一杯のジンとの出会いをきっかけに、人が街を回遊し、共感を重ねていく参加型イベントだ。ジンブーム到来の兆しと、何でも自由に楽しもうという関西人の気風が追い風となり、今年は大阪のみならず、神戸、京都、和歌山から110店舗が参戦。そのうち70店が食事メインでも訪ねられる飲食店というのも、食の都ならではの広がりだ。

りくとそらの料理とジン
「関西ジンラリー」は、参加店でジンを飲み、Instagramに投稿するスタンプラリー的なイベント。詳しくは記事の最後へ!
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多彩なクラフトジンとバラエティ豊かな料理との出会いは、まさに無限の可能性を秘めている。小林さんは「スパイスカレー文化が根づく関西には、組み合わせを楽しむ土壌がある」と感じている。「組み合わせが正しいから飲むのではなく、面白いからやる。その感覚が、実験的なペアリングも自然に受け入れる空気を生み出しているんです」。ジンラリーには、バーはもちろん、フレンチ、イタリアン、和食、中華など魅力的な飲食店がラインナップ。中でも、まずは入り口におすすめの3店を紹介したい。

小林道明さん
毎日、参加店舗に出向いて、ジン愛とイベントへの思いを語る小林さん。
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『りくとそら』で料理とジンとのおいしい無限ループ

まずはジン初心者にピッタリな店舗をご紹介。2025年7月16日、料理人であり、バーテンダーでもある池田陸さんが「人が楽しく集まれる、自分が行きたいと思う店」をオープン。「日本の各都道府県のジンを置きたい」と集めるうちに自然に増えていったジンコレクションは100種以上!中でも一番の“推しジン”は、『GEEK STILL蒸留所』(山梨)の「AMRTA(アムリタ)」。クロモジやサンショウなど、120種に及ぶボタニカルのマニアックで希少なジンを数多く取り揃える。昼飲みできて、手間暇かけた料理や自家製カヌレとジンの組み合わせまで楽しめる。

りくとそらの陸さん
「ジンのペアリングや飲み方も気軽に聞いてもらえると嬉しい」と陸さん。自家製ジンジャーやトニック、お湯割りなど、常識にとらわれないジンの楽しみ方を教えてくれる。
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りくとそらの外観
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小林さんのおすすめポイント☞ 「ジンと料理、両方の間口がある。食中酒としてジンを体験する入り口としても理想的です」

小林道明さん
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りくとそらの料理とジン
とろとろ牛すじ肉のオムカレー1400円×「HINATA(ヒナタ)」ジントニック1000円(京屋酒造・宮崎県日南市)。赤ワイン煮込みの牛すじ肉とスパイス、カルダモンやコリアンダーシードなど多種のスパイスを使ったジンが互いの旨みを高め合う。
りくとそらの料理とジン
鴨肉入りパテドカンパーニュ780円×「AMRTA(アムリタ)リミテッド02」ジンソーダ1100円(GEEK STILL蒸留所・山梨県)。ブランデーの代わりにクラフトジンを使ったパテとカルダモンの香りのジンの取り合わせが秀逸。
りくとそらの料理とジン
季節メニューのイチゴと生ハムのオープンサンド880円×「六媛(ろくひめ)」ジンソーダ1600円(水口酒造・愛媛県松山市)。料理とジンに共通するイチゴを意識したペアリングは華やかな味と香りが広がる。

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【店名】りくとそら
【住所】大阪市北区中崎西1-9-17
【電話番号】070-4450-2836
【営業時間】14:00〜23:00
【定休日】不定休
【交通】地下鉄谷町線中崎町駅から徒歩6分
【席数】カウンター6席、テーブル12席
【Instagram】https://www.instagram.com/rikutosora.osaka/
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『嶺上開花』で中華×ジンのラフな立ち飲み

食欲をそそるスパイスの香りと、間近で中華鍋を振るライブな厨房を囲むカウンターが常に賑わっている。中華と韓国料理が味わえる『嶺上開花』(リンシャンカイホウ)は、昨年の大阪ジンラリーで1位となった強豪店だ。

所狭しと棚に並んでいるジンは、海外と日本の半々くらいの割合で、常時50種前後を取り揃え。770円、880円、990円、1100円と4つに色分けされたシールで価格も一目でわかる。店主のガッツさんは「初心者向けのジンの始まりのお店になりたい」と試行錯誤して、氷へのこだわりを捨て、サーバーのソーダにすることで、市場から2割ほど安く提供している。海外、日本のジンの区別なく、東南アジア料理とのペアリングのおもしろさを教えてくれる一軒だ。

嶺上開花の店内
嶺上開花のスタッフ
ガッツさんと相棒のMC TAKEさんのフランクな接客もふらっと立ち寄りたくなる
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小林さんのおすすめポイント☞ 「中華とジンを当たり前に並べることで、食中酒としてのジンの可能性を体感させてくれるお店です」

小林道明さん
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嶺上開花の料理とジン
爆香蝦(バオシャンシャー)660円×「深川ツブロ柚子batch2」1100円(深川蒸留所・東京都)。蒸したエビに特製醤油タレを絡め、テーブルでアツアツの香味油をジャッと掛ける。ネギやパクチーの香りと、柚子が香るスパイスボタニカルの味わいが引き立て合う。
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嶺上開花の料理とジン
麻婆豆腐880円×「MAUSIM Spices & Herbs(マウシム)」1100円(カンボジア・World Gin Awards 2023でダブル金賞受賞)。しびれるような麻婆豆腐の辛さに、マウシムのスパイス&ハーブスのソーダ割でまろやかな味わいに調和。
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嶺上開花の料理
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【店名】嶺上開花
【住所】大阪市北区池田町7-7 好きやねん天満ビル2階
【電話番号】090-1223-0413
【営業時間】18:00〜翌2:00
【定休日】無休
【交通】地下鉄谷町線天神橋筋六丁目駅から徒歩7分
【席数】立ち飲みカウンター10人程度、テーブル10席
【Instagram】https://www.instagram.com/rinsyankaihou_tenma/
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『はらいそSparkle』で個性派マスターとジン談義

雑居ビルの2階に佇む、ディープなカウンター酒場。“スパイスの魔術師”の異名を持つ、ジョルさんの手にかかれば、カレーをはじめ、多国籍料理がたちまち個性を放つ味わいに変身。ペアリングも決め打ちで出してもらえるのかと思いきや、食べたいものを食べて、飲みたいものをチョイスしてもらえばいいと言う。

国産ジンの主流は15〜20種くらい。「ボタニカルに地域性が出せて、ベースの日本酒や焼酎との組み合わせも味の幅もめちゃくちゃ広い。ジンを通して日本が知れる」とジョルさん。ちょっと変かも!? と思う組み合わせでも、常識にとらわれない“出会いもん”を楽しむくらいの自由なバイブスがよく似合う。

はらいそSparkleのジョルさん
自由で良いとは言いつつ、自分の好みが分からない時、「例えば牛丼とお新香の組み合わせが好きか聞いてみて、好きな方向に寄せています」と好みを言語化してくれるジョルさん。
はらいそSparkleのAKITAさん
タイミングが良ければ「KANSAI GIN」のボトルデザイナーAKITAさんに会えるかも⁉
はらいそSparkleの外観
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小林さんのおすすめポイント☞ 「ジョルさんは、なかなかイメージしにくい味や取り合わせを言語化してくれる、ペアリングの翻訳者のような存在です」

小林道明さん
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はらいそSparkleの料理とジン
鶏軟骨と金柑のアチャール770円×NAKATSU GIN GRAPEFRUITS BATCH 2」(岐阜県・中津川蒸留所)ジンソーダ900円。鶏軟骨にまとわせたスパイスと金柑の苦みに、濃厚なグレープフルーツのジンの余韻がよく合う。
はらいそSparkleの料理とジン
ハーブとスパイスを巻いて焼いたイタリア式チャーシュー1100円×「VIEN TIANE GIN CITRUS」(ラオス)ジンソーダ950円。イタリアのボルケッタ風のハーブと肉の脂身をさっぱりと流してくれる、ラム酒の柑橘とスパイス感を軸にした爽快な香味の取り合わせ。
はらいそSparkleの料理とジン
ホタルイカと新じゃがのガリシア風660円×「KANSAI GIN Smoked Spice」(SiCX京都蒸留所・京都市)ジンソーダ1000円。インドのマスタードシードオイル、パプリカの燻製、カイエンペッパー、フェンネルなどの香りに寄せて、燻製系のスパイスジンと組み合わせ。

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【店名】はらいそSparkle
【住所】大阪市西区江戸堀1−9−13 NEXAS HIGOBASHI 2階
【電話番号】06-6448-0234
【営業時間】月〜水曜 11:30〜15:00、18:00〜22:00LO
木・金曜 11:30〜15:00、18:00〜23:00LO
土曜 11:30〜15:00、夜不定
【定休日】日曜・祝日休、不定休あり
【交通】地下鉄肥後橋駅から徒歩2分
【席数】カウンター10席
【Instagram】https://www.instagram.com/paraiso.spice/
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3/31まで開催中!「関西ジンラリー2026」

“ジンが人を動かす。人が街をつなぐ”それが、「関西ジンラリー」。和洋中など、食中酒としてのジンの新たな楽しみ方にも出会えるイベントへ出かけよう!

ジンで人生変わりました⁉ クラフトジン沼にハマる理由

関西ジンラリー公式蒸留所コラボ企画も開催!
期間中は各店で造り手や愛好家と交流できるイベントを開催。予約不要のバータイムもあるので気軽に参加を。


「スパイスとジン、門出す。」師弟ふたたび|東京への挑戦を送る夜
虹の仏・リョウヤ氏と、同店で修業後に独立したアイランドフィールド・タイチ氏による“師弟コラボ”の一夜。当日のジンのペアリングは、関西ジンラリー主催の小林道明氏が選定・サーブを担当する。スパイス料理5品とジンのペアリングコース(要予約)
【日時】3月15日(日)ペアリングコース18:30〜、バータイム21:30〜
【予約】公式Instagram参照
【Instagram】https://www.instagram.com/p/DVDXmSlgQ0L/

SiCX京都蒸留所 × Osteria Ogu ジンとイタリアンのペアリングイベント
スタンディング形式で出入り自由、カウンター席は事前予約制(混雑時2時間制)。
【日時】3月22日(土)16:00〜22:00
【予約】公式Instagram参照
【Instagram】https://www.instagram.com/p/DU2hy4BgY31/

ジンラリーのフライヤー
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writer

中野弘子

Nakano Hiroko

京都コーディネーターⓇ&フリー編集者。京都の月刊情報誌「Leaf」編集長時代に「町家でごはん」を企画。京都の日常暮らしから全国の伝統文化、エンタメなどを多数取材。著書「よそさんが心地いい京都」(交通新聞社)、ペンネーム古瀬ヒロ著「京都謹製きもの和こもの」「京都いっぴん日用品」(淡交社)などがある。