アートな器と酒。大阪・福島『くらむぽん お酒とそのおともだち』

酒好き店主による遊び心たっぷりのアテと、それに合う日本酒をいただける『くらむぽん お酒とそのおともだち』。芸術作品のような器使いと盛り付けも、お客の心をワクワクさせてくれます。

古民家を改装したくつろぎの空間

大阪・福島駅より西に延びる聖天通商店街を7分ほど歩いて、人もまばらになってきたあたり。ほのかな灯りで迎えてくれるのが『くらむぽん お酒とそのおともだち』です。

「『割烹は敷居が高くて、緊張してしまう』。そんな方でもゆったりくつろげるように、落ち着く空間作りを心がけています」と、店主の松本充生さん。店内は暖色照明が土壁を優しく照らし、テーブルや椅子は温もりを感じる木材。古民家を改装した建物なので、家にいるかのようにホッと安らげます。

『くらむぽん お酒とそのおともだち』内観
店名やメニュー名は、宮沢賢治の温かい世界観が好きで付けられたそう。
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3種類のコース料理

メニューは、「やまなし」「イーハトーブ」「銀河鉄道の夜」の3種のコースから。初めてこちらを訪れるなら、計14品の「イーハトーブ」9800円を。肉料理を含む2品、あて盛りが8~10種、デザートなどが付く、少し豪華なコースです。

「銀河鉄道の夜」13000円は、記念日やお祝いの席のためのコース。料理の内容は当日までのお楽しみで、特別な日をとっておきの料理で彩ってくれます。

選りすぐりの日本酒は約100種

日本酒は全国から取り揃えており、冷酒、燗酒は共に30種ほど。合計で約100種もあるというのだから驚きです。「酒に合うものしか作れない」という松本さんによるアテと、日本酒のマリアージュが楽しめます。

“酒×アテ×器”が楽しいコース

『くらむぽん お酒とそのおともだち』前菜
5つの前菜のうちの一つ。奥は「醤油要らずの造り盛合わせ」。
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前菜には、落ち葉に雪が積もっているかのような、芸術品のような器を。聞くと、落ち葉に見えるのは朴葉(ほおば)に漆を塗った器で、雪に見えるのはワサビオイルパウダーだそう。料理は、穴子の熟成昆布〆にかぶらとたくあん、塩漬け柚子を添えたもの。

器使いにもセンスが光ります。左右から織り込むように形づくられた、ユニークな徳利は伊賀若手作家・小島陽介さんのもの。松本さんセレクトの酒器が、酒をさらに味わい深いものしてくれます。

「あて盛り」には、納豆の麹漬けや干しいちじくバターなど、これまた日本酒に合うラインナップ。油揚げは、江戸の料理書から見つけた五斗味噌(ごとみそ)で炊いたのだとか。五斗味噌とは、大豆、糠、米麹、酒粕、塩を合わせて作ったもので、これを使うことで味に深みが出ます。

『くらむぽん お酒とそのおともだち』前菜
料理は全て9800円のコースから。春慶塗の二段籠にて、あて盛り8~10種。
『くらむぽん お酒とそのおともだち』小鍋
山口天然クエの小鍋。
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日本酒を飲ませる工夫を随所に散りばめている松本さん。訪れた際には、料理の味だけではなく、盛り付けや器など、一つひとつに目を配ってみてください。

『くらむぽん お酒とそのおともだち』店主の松本さん
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amakara.jp編集部

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関西の食雑誌「あまから手帖」(1984年創刊)から生まれたwebメディア「amakara.jp」を運営。カジュアル系からハレの日仕様まで、素敵なお店ならジャンルを問わず。お腹がすくエンタメも大好物。次の食事が楽しみになるようなワクワクするネタを日々発信中。