神戸三宮駅近の隠れ家で、ベテランシェフのビストロ料理を。『ビストロ・エ・ヴァン・シュマン』
ベテランシェフの新境地は掘りごたつ席のビストロ
驚くことに、ビストロだった!
一歩入ると目に入ってくるのは、エッフェル塔やセーヌ川が描かれたパリや食の都リヨン、花がいっぱいの南仏の風景などの、アーティスト・吉本義巳氏による明るい色彩の壁画。だが、席は掘りごたつ式というギャップ。座って足をのばせば、日本人だからなのか、一気に寛いだ気分になる。
ちょっと不思議感のあるユニークな造りは、和食の居抜き店舗だから。営むのは、ベテランの大町 誠シェフ。「店名のChemin(シュマン)は、フランス語で小径、畦道などの意味です。名シェフを目指して、地道に歩いていこうと思って」。2025年10月オープンしたこちらの店で、自身の原点といえるフランス料理を極めていくという。
大町シェフは、18歳から明石にあった『アンシャンテ』(現在、神戸・北野で営業)で、『アラン・シャペル』出身の友田誠樹シェフに師事。東京、神戸で修業を積み、26歳で独立して『フレンチレストランバール アンブラゼ』を開店、リニューアルして『フレンチバール・レストラン アンティーク』を営んだ。2017年からはハンター坂にあった名店『ペルージュ』(現閉店)を引き継ぎ、『キュイジーヌ・フィレール』で腕を振るってきた。神戸の街を、そしてフランス料理を愛するシェフの一人である。
記録より“記憶”に残る料理を
「美しいと撮影して記録に残すより、お客さんの“記憶”に残る料理を作りたい」と話す大町シェフ。「できることを常に練り上げて作り続けていると、迫力のある料理になるはず」。
その代表としてメニューに挙げているのが「ブイヤベース」だ。熱々が運ばれてきたストウブ鍋には、天然鯛、ホタルイカ、アサリなどがぎゅっと詰められている。湯気と共においしそうな磯の香りを放ち、食欲をそそられる。「魚介それぞれ別々にだしを取り、合わせるという驚くほど手間のかかる料理です」。ほんのりサフランが香るスープをひとくち飲めば、その奥行きの深い旨みに感動する。
このブイヤベースは、大町シェフが一番尊敬する『アンシャンテ』友田シェフ直伝。作る度に友田シェフへの感謝の気持ちを忘れないように、「さらにおいしく」との想いを込めたメニューである。
一番人気は、ほとんどの人がまずこれを注文するという「パテ・ド・カンパーニュ」。「試行錯誤を繰り返しながら、ずっと作り続けてきた。食べた瞬間に、旨い!と感じてほしくて」と大町シェフ。フォアグラ、鴨、豚を使っており、大きなサイズで出され、噛むほどに旨みが広がっていく。
「食材オタクです」と笑う大町シェフらしく、鴨やジビエも得意料理。名物の蝦夷鹿ロースのカツレツや山ウズラなど、ジビエの季節には待ちかねた客が訪れ、アラカルトで堪能する。「青森県産窒息鴨のロースト」は、ハチミツ、赤ワインビネガー、デュカスパイスのラケソースを塗りながら焼いた、日本人好みの照り焼き風の一品。プラムの赤ワイン煮との相性も抜群で、赤ワインを呼ぶ。
神戸のフレンチ料理界の番人
料理はアラカルト主体。味本位の料理を、気取らずに皆で取り分けて楽しむ。そのどれもが、食材を見極めて技を駆使したレストランレベル。正統派のフランス料理だが軽やかで、奇をてらうことなくシンプルで味わい深い。シェフが選んだワインとよく合って、グラスが進む。
ワンオペで、オープンキッチンのカウンターに立つ大町シェフ。「一人でできることを地道に続けていきます」。シェフの歩む道を、料理を楽しみながら共に歩いていこう。洋食文化が花開いた街・神戸のフランス料理店がいつまでも輝いているように――。
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- 店名
- Bistro et Vin Chemin
- 住所
- 兵庫県神戸市中央区北長狭通1-7-6 ホワイトローズビル4階
- 電話番号
- 078-945-8233
- 営業時間
- 12:00~13:30LO(要予約)、18:00~21:30LO
- 定休日
- 不定休
- 交通
- 各線三宮駅から徒歩5分
- 席数
- カウンター4席、テーブル10席
- メニュー
- 昼/シュマンランチコース5000円、ビストロランチコース3500円(前日までに要予約)、夜/リヨン風サラダ2人前2600円、播州牛のグリル 100g4800円~、プリフィックスコース6600円。グラスワイン1000円~、ボトルワイン7000円~。
- https://www.instagram.com/cheminoomachi/
- 備考
- ※昼は予約で営業、付き出し・パン代1人1000円。
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