
オッサン2人で神戸の洒落たデリ&バル的フレンチ潜入の巻
覆面調査の現場より
「取材させていただく店には必ず事前に食べに行く」というのが、「あまから手帖」編集部のモットー。その覆面調査の裏話をお届けする本連載。第1回目は、オッサンコンビが太鼓判を押したフレンチ潜入の現場より。
「あまから手帖」の覆面調査とは!?
かの有名な世界的タイヤメーカーの某美食調査隊は二人一組と聞く。
料理の精度のみならず、食事中に、たとえば化粧室をチェックするだとか、何かを落としてスタッフの対応を窺うだとか、今までまことしやかに耳にしたそれらは、当然現場を目撃したわけもなく、すべて「知らんけど!?」な噂話。
でも、ふと思う。さぞかしスマートなお二人なんだろうなと。それに引き替え我々は…。
「あまから手帖」でも覆面調査は行っていて、毎回その結果をもとに掲載店を確定している。大抵、編集者とライターの2名。ライターがキャッチした店情報を精査し、実際に食べに行く。
その日は神戸・三ノ宮に、デリ+バル業態のフレンチ『cuisine PASSE PARTOUT(キュイジーヌ パス パートゥ)』という店がオープンしたばかりということで、その店前でライターと待ち合わせていた。
「いやぁどうも~」と現れたライターと編集担当の自分自身、40~50代のオッサン二人がそこで対になる…。もはや世間的にどう見えるかは考えないようにして店の中へ。
実際の覆面潜入はこんな感じ!?
入ってすぐの場所にピンクの大きなテーブルがあり、奥にショーケース、カウンターと続き、一番奥に位置する厨房はやたらと広い。そして、その前にもテーブルがあり、そこはさながら“シェフズテーブル”のよう。
応対してくれた女性スタッフにイートインしたい旨を告げ、ショーケースと黒板からメニューを2、3選び、入口のピンクのテーブルへ。
最初に、赤キャベツのシュクルートが運ばれ、食べた瞬間、ライターと目が合う。この人とはこれが決まりの合図だ。ベーシックな料理ほど分かりやすいし、初っ端で迷いがなければ後は何を食べても美味しい(ことが多い)。
もはや以心伝心、言葉不要のスマートさはあるものの、やはりオッサン二人の目配せは気持ち悪いに違いない。
理想の展開は“即決即アポ”!?
世にデリ+バルの店は多いが、美味しいと感じる店は案外少ない。そのカジュアルさゆえに味に妥協もしやすい。
でも、どんなジャンルであれ、本当に美味しい店は確実に存在するし、そんな店を発掘すべくの覆面調査。“即決即アポ”という本日の成果に、シャンパンを空けたくなった(もちろん覆面調査には予算があり好き勝手はできない…)。
平日の昼下がりにもかかわらず、いつの間にか奥のシェフズテーブルには女性客が2人、グラスを傾けている。それが日常とばかり、肩肘張らずワインを嗜む姿がいい感じで、「一緒に飲みませんか? マドモアゼル」。なんて、絶対無理な言葉を頭の中で並べて、すごすご退散するのだった。
■店名
『cuisine PASSE PARTOUT(キュイジーヌ パス パートゥ)』
【住所】神戸市中央区中山手通2-20-21
【電話番号】078-855-8139
【営業時間】9:00~19:00
【定休日】月曜
【お料理】和牛ラムシンのステーキ4000円、キッシュロレーヌ700円。

テイクアウト・取り寄せできる! 語りたい名品
関西の人気店の名品を厳選特集。こちらの覆面調査は、トピック&ニュースをお届けする巻頭連載「あまから視線」から。
Writer ライター

あまから手帖 編集部
amakara techo