
正和堂書店/自分を見つめ直したいときに読みたい5選
忙しくて、自分や身近な人に目が向けられていないかも? 考えがカチコチに固まっているかも? そんな時におすすめの5冊を、『正和堂書店』の書店員・小西敬子さんの優しい文章でご紹介する連載「ブックカバーの下はごちそう」より厳選しました。ぜひ、コラムと併せてお楽しみください。
今日を、明日を変える、朝ごはん。
■カフェどんぐりで幸せ朝ごはん/来栖ひよ子
・著
『カフェどんぐり』では、店主・あさひがお客様にぴったりの朝ごはんを提供。その人に合わせたメニューが、余裕のない心と身体に染みわたっていきます。
「店主あさひの穏やかな人柄ととびきりの朝ごはんで、この先に悪いことは絶対に起こらない!という安心感に包まれた物語の数々。刺激的な出来事が良い意味で起こらないので、新生活や新しい環境でちょっとお疲れの方にもおすすめです」と小西さん。未来を変えるのは、充実した朝ごはんかも?
自分をいたわるのは、あなた自身
■今宵も喫茶ドードーのキッチンで。/標野 凪・著
おひとりさま専用カフェ『喫茶ドードー』は、仕事やSNSなどで疲れていたり、頑張りすぎている人たちをそっと癒してくれる場所です。
小西さんが心を動かされた言葉として挙げたのは、「自分が自分をいたわってあげなくて、誰がいたわるんですか?」というドードーの店主の言葉。小西さんも、仕事や子育てを頑張る人の一人ですが、コラムの最後は「表紙を見たときから食べようと決意していたアップルパイを一人で食べる今、です」と、自分自身をいたわることに。
新しい価値観に出合えるかも!
■もぐ∞/最果タヒ・著
「ひとつの食べ物からこんなに広く思考を巡らせ、ポップな言葉で綴られたエッセイは、 これまで読んだことがあっただろうか?」コラムの書き出しからも伝わるその衝撃。
詩人・最果タヒさんの食べものへの情熱が、独特のアプローチで綴られています。「一つ一つのエピソードに新しい着眼点があり、新しい価値観をガツン!と体験できます」と、自分の価値観に新しい風が吹く感覚を得たという小西さん。
思考が停滞しているな、と感じるときもおすすめです。
人生の大切な思い出を辿る
■ライオンのおやつ/小川 糸・著
若くして余命を告げられた主人公・雫が、ホスピス「ライオンの家」で死と向き合う心情が丁寧に描かれます。入居者がリクエストできる「おやつの時間」に、雫は父との思い出のおやつを挙げました。
「自分だったら…」と振り返ると、なかなか絞り込むことはできないけれど「それぞれのおやつにある自分だけのストーリーを思い出し、じんわりあたたかい気持ちになるのでした」と小西さん。
あなたが人生で大切にしたいおやつは何ですか。
“正しいこと”に疲れたら
■眠れぬ夜のご褒美/標野 凪、冬森 灯、友井 羊、八木沢里志、大沼紀子、近藤史恵・著
6人の作家陣が“夜食”をテーマにした心を満たす6篇のアンソロジー。
「どれも何度も読み返したくなるほど心に残る」という中でも、特に小西さんが印象に残ったというのが大沼紀子さんの「夜の言い分」という物語です。「古い友人たちと定期的に開く、ファミレスでの夜食会。ちょっと不真面目で、ちょっと正しくなくて、どこか背徳感もある。でも、それこそが"必要なもの”だと、物語は語りかけてきます」と小西さん。
“正しいこと”に疲れたら、1日の終わりにご褒美を。

『正和堂書店』が選ぶおいしい本連載「ブックカバーの下はごちそう」
大阪市、今福鶴見駅からちょっと歩いたところにある『正和堂書店』は、小西さんご家族が経営する街の本屋さん。実は鞄からチラ見せしたくなるオリジナルブックカバーが大人気の書店さんでもあります。 本はココロのごちそうといいますが、ブックカバーに包んで大切に持ち歩きたい、おいしい本を書店員の小西敬子さんにご紹介していただく連載です。
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正和堂書店
seiwado book store
大阪・鶴見にある1970年創業の街の本屋さん。3代目の小西康裕さんが「読書時間がより楽しくなるように」とデザインしたオリジナルブックカバーが大人気。2代目の典子さん、3代目の康裕さん・敬子さんご夫妻(と4歳の長女)、康裕さんの弟・悠哉さんなど、一家で奮闘するSNSの総フォロワー数は20万人!
instagram@seiwado.book.store
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