【ミドコロ】2016年10月号~近鉄大特集!~

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近鉄沿線の皆さま、お待たせしました。「あまから手帖」10月号は、3年ぶりの近鉄沿線グルメの大特集です。近鉄電車、実は日本で一番長い距離を走っている電車ってご存知でしたか? 2府4県にまたがって運行しているので、沿線の表情も豊か。そんな沿線の美味しい店を大発掘し、エリアごとにお届けしております。

まずは、一番飲食店の多い近鉄奈良線。生駒〜近鉄奈良駅までの「奈良エリア」のテーマは「奈良の食材」。ここ最近、地元の食材をフルに使った地元愛溢れるお店が続々オープンしています。日本酒はもちろん、大和野菜や果物、鶏肉にジビエなど近郊でとれたものばかり。生産者の顔が見える食材は、食べ手にとっても嬉しいですよね。

続く布施~瓢箪山駅の「東大阪エリア」のテーマは「贔屓(ひいき)」。下町らしく、店の人とお客が作るあったかい雰囲気の店をご紹介しております。

ターミナル「上本町駅」は「大人」をキーワードにカジュアルに使いこなせる店を。「鶴橋駅」は地元に住む美術家・森村泰昌(やすまさ)さんが、鶴橋市場の行きつけを案内しています。

ほかに、「八尾」の街の魅力を詰めた込んだページに、大阪線、南大阪線、長野線の名店や、今年9月10日にデビューしたばかりの観光特急「青の交響曲(シンフォニー)」に乗って行く奈良・吉野周辺のグルメ旅も網羅しています。三重で揚がった海の幸をのせて大阪上本町まで走る行商専用の「鮮魚列車」があるといった、つい誰かに話したくなる沿線のトリビアに、近畿大学のアスリートご用達のグルメ案内と、盛りだくさんの内容です。

沿線にお住まいの方はもちろん、そうでない方も秋の行楽にも使える一冊。赤と白の近鉄カラーの表紙が目印、完全保存版の「あまから手帖」10月号。ぜひチェックしてください!

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最新10月号の目次はこちら

 

海辺の開放感もご馳走! 赤穂「御崎マルシェ」

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瀬戸内海国立公園内に位置する赤穂御崎にて、毎月第3日曜に小粋な朝市が開かれている。伊和都比売(いわつひめ)神社の境内から海岸まで続く遊歩道に、マルシェ限定の焼きたてパン、手作りスイーツ、クラフト作品が並ぶ。ナポリピッツァの『さくらぐみ』特製の限定パスタソースや地元産の旬の食材など、赤穂のお土産にピッタリの品も多数。海を望む開放的なロケーションで、ゆるりと買い物を楽しんで。
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赤穂「御崎マルシェ」

【日時】毎月第3日曜 9:00〜12:00頃(雨天中止)
【場所】 赤穂御崎きらきら坂
●問合せ/赤穂観光協会 10791-42-2602(9:00〜18:00)
※出店店舗など詳細はHPにて確認を。www.misakimarche.com

【ミドコロ】2016年9月号~編集者の想い~

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関西で「肉」と言えば、牛肉。

関東では肉じゃがやカレーに牛肉以外を使うようですが、関西では考えられませんよね。総務省統計局のデータによると、牛肉の購入金額・購入量、共に全国1位は京都市。購入金額ではベストテンに関西8つの都市がランクインしています。
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【レポート】夏は明石でタコを食べよう!

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旬(6月~8)を迎えた明石ダコ。梅雨が上がる頃に最盛期を迎え、“麦わらダコ”とも呼ばれています。前回のレポートでは、夏にタコを食べる風習「半夏生」についてご紹介しましたが、今回はその明石ダコの魅力を知るプレスツアーに参加してきました!

そもそも、明石ダコはなぜ旨い?

タコ(マダコ)の生産量日本一を誇る明石。味の良さの秘密はズバリ明石海峡の潮流と豊富なエサにあります。

明石海峡周辺の海底地形は起伏に富んでおり、タコが隠れたり産卵したりするのに適した岩場や砂場などがたくさん。この特殊な地形が速い潮流を生み、タコの身体をギュっと引き締めます。また、エビやカニ、貝類といった良質なエサがタコのすみかの近くに集まっているので、美味しいタコが育つ環境が整っているというわけなんですね。

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ツアーで訪れたのは、明石ダコが水揚げされる「明石浦漁協」。昨年はここで400tのタコが水揚げされました。6~8月の最盛期には、およそ半分の200tが水揚げされたそうです。100gから取引きされますが、大きいものは2kgを超えます。しっかり袋に入れておかないと、タコはこんなふうにカゴから脱出を図ります。速い潮流に揉まれて育った明石のタコは足が太くて短いのが特徴。その筋力は、立って歩くことができるほどなんですよ!

浜のかあちゃんの漁師飯

タコの漁師飯についてご説明していただいたのは、「明石浦漁協」の“浜のかあちゃん”こと高山淳子さん。漁師の家庭で育ち、夫・長男も漁師。明石の魚への愛に溢れた方です。

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普段、私たちが食べるのは足が中心ですが、「タコは全部食べられるんですよ」と高山さん。

王道のカルパッチョや霜降りはもちろん、衣にタコスミを練り込んだ天ぷら、湯がいた肝などアイデア満載です。タコスミはイカスミに比べてとれる量が少なく、取り出すのに手間もかかるため、一般的にはなかなか出回らないとか。

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タコの肝はサッと湯がいてレモン汁を搾って。独特のコクがあり、日本酒と合わせたくなる味わいです。真っ黒なのはタコスミを練り込んだ天ぷら。見た目にちょっとびっくりしますが、優しいスミの風味をまとった天ぷらは美味しいです。カルパッチョは、タコスミにコチュジャンなどを混ぜたソースで。

明石ダコの買い物なら「魚の棚商店街へ!」

明石ダコを買いに行くならもちろん、明石港近くの『魚の棚商店街』です。鮮魚や魚介類を使ったお惣菜、加工品の店など、約100店舗がずらりと並び、地元の素材の買い物をとことん楽しむことができます。

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商店街を歩いていると、台の上で飛び跳ねる活きのいい魚や、ここならではのタコづくしのお惣菜を扱う店など、とにかく見ていて飽きることがありません。財布のひもが緩んでしまうのも仕方がないこと…。

ツアーでは、商店街の西の入り口に位置する日本料理店『喜楽』さんにお邪魔しました。ここは60年以上続く老舗で、タコ、鯛、穴子といった、明石の海の幸が楽しめます。とことんタコを楽しみたいという方には、タコ尽くしの「たこ懐石」がいただけますよ。

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刺身に酢の物、煮つけ、天ぷら、タコ飯など、バラエティ豊かな「たこ懐石」。(しゃぶしゃぶは別料金)

菓子製造販売『永楽堂』の“明石ぺったん焼き”はお土産に。店の外からは焼いている様子を見学できます(今回は中で撮影)。

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“秘伝の粉”とチーズ、タコの足を乗せて、上下合わせて80kgの鉄板で挟みます。ジュージューギューギューという音とともに焼くこと数分。顔よりもずっと大きなタコせんべいが焼き上がりました!

焼き立てを持ってお店の前で記念撮影!

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地元が一丸となって明石ダコをPR

明石市内では現在、「明石半夏生たこまつり月間(~8月8日)」として、魚の棚商店街の店舗を中心に、明石ダコにちなんだ特別メニューを展開しています。刺身や定食、天ぷらに加え、ピザにタコ型のクッキーやケーキ、タコが描かれた九谷焼まで!

肥えて濃厚な味わいの旬のタコが味わえるのはこの時季だけ。ぜひ遊びに行ってみてくださいね。

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※「明石半夏生たこまつり月間」問合せ:明石半夏生たこまつり実行委員会事務局(明石観光協会 電078・918・5080)

【ミドコロ】2016年8月号~編集者の想い~

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うだるような暑さと引き換えに、夏の美味が出そろうようになりました。「あまから手帖」8月号では、旬に走りや名残を組み入れた、日本料理を特集しています。題して「この時季だけの日本料理」。

まず、日本で最初の板前割烹として京都に誕生した『京ぎをん 浜作』のコーナー「夏の名物がたり」。『浜作』の献立の中から、夏の代表的な料理を披露していただいています。素材は、ハモ、カレイ、アワビ、ナス、ウリ、それに夏野菜。それぞれの食材とその扱い、『浜作』ならではの味加減や食し方、日本料理の歴史や京の食文化などを紹介しています。

続く「いま食べ頃の12軒」では、若い店主による話題の新店から、中堅勢の新たな展開など、いま注目の日本料理店をご紹介。その舞台で、どのように夏の日本料理を楽しんでもらおうとしているのか、というご主人の創意を語っていただいています。料理の他、季節の設えや細部に渡る心配りなど、お店全体を調えて客人をもてなす心意気も感じていただければ、と思います。

その他、街中から1時間程度足を延ばして楽しむ「夏味を求めて 郊外へ」や、関西の夏には欠かせない「鱧のはなし」、料理に彩りを添え、季節感の演出に欠かせない名脇役「青かいしき」の紹介など、さまざまな角度から日本料理の紹介をしています。

第2特集では、大阪・堺を取り上げています。代々続く寿司店におでん店、鰻店。それから和菓子店に日本料理店など、町の歴史と共に歩み、町の人々から愛されているお店を紹介しています。また、世にはなかなか知られていない、堺の食にまつわる歴史を、コラムにて紹介。味わい深い堺を、今一度知っていただくための特集です。

あまからクッキングでは、日本料理の名店『祇園 にしかわ』による「夏のご飯のお品書き」です。どうしても食欲が落ちてしまいがちの夏。この時季にぴったりのご飯物レシピの紹介です。風味豊かな「とうもろこしの炊き込みご飯」や、小気味よい食感の「ぐじの混ぜご飯」、冷たい「スダチのお茶漬け」など。基本となる土鍋ご飯の炊き方もご指南いただいています。

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【レポート】「エコール辻 大阪」による洋菓子店

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コンセプトは“教科書が店舗に”

食のプロを育成する教育機関「辻調グループ」。その教員自ら製造から販売まで行う『P.L.T.(パティスリー・ラボ・ツジ)』が新校舎内にオープンした。並ぶのは、製菓の教科書に載っているような、フランスを中心としたヨーロッパの伝統菓子。生菓子、焼菓子のほか、パンを含め50種類近くをリーズナブルな値段で販売。製菓の先生に、直接作り方やコツなどを聞けるのも嬉しい。
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P.L.T.(パティスリー・ラボ・ツジ)

●大阪市阿倍野区松崎町3-16-3 エコール辻  大阪1F
TEL/06・6629・2120
営業時間/12:00~18:00
休み/月・火曜(学校行事により変更あり)
価格/生菓子200円〜、焼菓子120円〜、パン180円〜。
www.tsujicho.com/plt/

【レポート】「テイスト・オブ・オーストラリア」メニューコンテスト リーガロイヤルホテル大阪 レストラン「シャンボール」が最優秀賞を受賞!

「オーストラリアの大地の恵みと秋 仔羊の背肉ロースト セップのプラリネとアーモンド、バジルのミルクレープ、ぶどうの薫製」
力強い歯ごたえと滋味豊かな肉汁は、土壌の塩分を吸い上げた牧草で育ったソルトブッシュラムならでは
最優秀賞受賞のリーガロイヤルホテル『シャンボール』の村上智彦シェフ(中央)。アシスタント高橋賢明さん(左)、ソムエリエ池田大亮さん(右)とともに。
最優秀賞受賞のリーガロイヤルホテル『シャンボール』の村上智彦シェフ(中央)。アシスタント高橋賢明さん(左)、ソムエリエ池田大亮さん(右)とともに。

オーストラリア大使館・領事館が主催した「テイスト・オブ・オーストラリア」メニューコンテストにおいて、リーガロイヤルホテル大阪『シャンボール』チームが見事、最優秀賞を受賞。2016年5月26日、大阪で開催されたその特別試食会には、関西の食の第一線で働く次世代のプロたちが多数集った。

「オーストラリアの海の恵み グレートバリアリーフと桜 海水の泡とレモンマートルの香り」 桜葉を纏ったサーモン、スカンピ、鮑にレモンマートルを用いたエスプーマの芳香と淡い塩味の余韻を効かせて
「オーストラリアの海の恵み グレートバリアリーフと桜 海水の泡とレモンマートルの香り」
桜葉を纏ったサーモン、スカンピ、鮑にレモンマートルを用いたエスプーマの芳香と淡い塩味の余韻を効かせて
「オーストラリアの大地の恵みと秋 仔羊の背肉ロースト セップのプラリネとアーモンド、バジルのミルクレープ、ぶどうの薫製」 力強い歯ごたえと滋味豊かな肉汁は、土壌の塩分を吸い上げた牧草で育ったソルトブッシュラムならでは
「オーストラリアの大地の恵みと秋 仔羊の背肉ロースト セップのプラリネとアーモンド、バジルのミルクレープ、ぶどうの薫製」
力強い歯ごたえと滋味豊かな肉汁は、土壌の塩分を吸い上げた牧草で育ったソルトブッシュラムならでは
「再構築 パヴァロワ×ティラミス」 オーストラリア伝統のメレンゲ菓子・パヴァロワに、新たな魅力を加えた、多民族国家らしい一品
「再構築 パヴァロワ×ティラミス」
オーストラリア伝統のメレンゲ菓子・パヴァロワに、新たな魅力を加えた、多民族国家らしい一品

そのハイレベルなクオリティとコストパフォーマンスの高さから、日本のシェフの間でも注目を集めつつあるオーストラリア食材。広大な大陸を国土に持つオーストラリアには、まだまだ日本では馴染みの薄い食材も多く、まさに無限大の魅力を秘めている。大自然に抱かれ、厳格な衛生基準のもとで育ったピュアな食材は、近年、各国で重視される食の安全性とともに、極上の味覚を生み出すことを証明しはじめている。

タスマニアサーモンやスカンピ、黄・赤玉ネギ、マヌーカハニーなど、今回、使用された食材たち
タスマニアサーモンやスカンピ、黄・赤玉ネギ、マヌーカハニーなど、今回、使用された食材たち

そのきっかけとなったのが、2016年4月に開催された「テイスト・オブ・オーストラリア」メニューコンテストだ。オーストラリアのプレミアム食材を使用した料理2品とデセールにワインとのペアリングを提案するという課題のもと、全国41のホテル、レストランの新世代シェフとソムリエが参加。その中で見事、最優秀賞を受賞したのがリーガロイヤルホテル大阪のレストラン『シャンボール』チームだ。

駐大阪オーストラリア総領事のキャサリン・テイラー氏
駐大阪オーストラリア総領事のキャサリン・テイラー氏
「オーストラリアの食材の進化を感じる貴重な機会を通して、さらに関心を高めてもらえれば」と審査員を務めた『HAL Yamashita』エグゼクティブ・オーナーシェフ、山下春幸氏(演台)
「オーストラリアの食材の進化を感じる貴重な機会を通して、さらに関心を高めてもらえれば」と審査員を務めた『HAL Yamashita』エグゼクティブ・オーナーシェフ、山下春幸氏(演台)

受賞を記念した今回の特別試食会開催にあたり、「日本人シェフならではの独創的なアイデアと高い技術によって、オーストラリア食材の新しい魅力が引き出された」とは、駐大阪オーストラリア総領事のキャサリン・テイラー氏。若い感性とプロの技がプラスされてなお、清らかな滋味をたたえる山海の恵みの数々は、関西の食の未来を担う次世代の感性を深く刺激したようだ。

(文/田中慶一 写真/塩崎聰)

第三回 全日本 食サミット テーマ:色いろ レポート2

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シンポジウム2
色を出す ~地方色を出し特色を活かす~

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◆講師(写真右から)
滋賀・日本料理『徳山鮓』店主 徳山浩明 氏
札幌・フランス料理『モリエール』 オーナーシェフ 中道 博 氏
広島・フランス料理『ル・ジャルダン グルマン』オーナーシェフ 小山賢一 氏
◆コーディネーター/雑誌『自由人』 代表取締役 岩佐十良 氏

二つ目のシンポジウムでは、地方で活躍する3人の料理人が登場。コーディネーターには、活動拠点を東京から新潟へ移し、雑誌『自由人』の編集長を務めながら、農業を行なっている岩佐氏が担当した。

まずは、各地の今の風景を伝える自己紹介から話は始まる。滋賀県、琵琶湖の北にある余呉湖を望む場所で店を営む徳山氏は、もう1週間ほどで鮎が解禁になる時期で、今は鰻や手長海老がおいしい時期であり、春には山菜、冬には熊などを料理すると語った。
北海道の中道氏は冬の長い北国は、5月になると梅と桜が一斉に咲き誇り、夏野菜が採れ出して、今は活気づいてきた頃だとか。そして、北海道の良さは素材の新鮮さが一番だと言い切った。
自家菜園も営む広島の小山氏は、ラズベリーが最盛期を迎えており、さらにはズッキーニの受粉に忙しい時期で、畑にいる時間が長いそう。こんなに畑での時間を持てるのは、店が忙しくないからと自嘲しつつ、仕込みにも多くの時間を割いていると語った。
そして、岩佐氏の新潟は、今年は雪解けが早く、鳥の鳴き声がサラウンドで聞こえてきて、蛍も見えるいい時期なのだとか。

岩佐氏曰く、地方の魅力は「素材が近くにあることではないか」と質問を投げかける。それに対し、徳山氏は自分の店では、素材はある意味で自然任せ。だから、思うように手に入らないこともある。それは仕方ないことで、お客さまにもわかってもらうしかないという。また、小山氏も自分で作っていても思うように野菜は育ってくれない。無いときもあれば、採れ過ぎるときもある。採れ過ぎたときに「無駄にしない」技術も必要だと語る。それを受けて、徳山氏は冬に獲れた熊や猪を加工して、夏が旬の素材と合わせて食べるなど、今でも試行錯誤を続けているそうだ。

中道氏はフランスでは地産地消は当たり前。ただ、地産食材が良質だと言い切るのはおかしいと警鐘を鳴らす。なかには良質でないものもあるからだ。ただし、そういう素材も手を加えることでおいしく食べられるようにするのが料理人の仕事だとも。また、中道氏にとって、かつて『志摩観光ホテル』の総料理長・高橋忠之氏が残した言葉が胸に残っているとか。それは「火を通しても新鮮、形を変えても自然」という高橋氏の哲学。だからこそ、中道氏は北海道ならではの鮮度のいい海老を調理にするときも火を通し、ジビエも熟成させることで自然のおいしさを表現しているという。

『ル・ジャルダン・グルマン』小山賢一氏による一皿。ズッキーニのファルシ(右上)を中心に、自家菜園から季節の野菜を添えて。
『ル・ジャルダン・グルマン』小山賢一氏による一皿。ズッキーニのファルシ(右上)を中心に、自家菜園から季節の野菜を添えて。
鮒寿司
『徳山鮓』徳山浩明氏による「鮒寿司」。日本ミツバチのハチミツを添えて。

そして、地域の伝統技術に関して、徳山氏の鮒ずしについての話が展開された。鮒ずしは3~4月に獲れたニゴロフナを塩漬けし、本漬けは7月から、11月後半から食べられるようになるというが、その見極めが難しいと語る。作り方も様々で、今でも試行錯誤をくり返しながら、チーズと一緒に食べるような新しい提案も行なうことで、地域の伝統食品をより多くの人に楽しんでもらえるように取り組んでいる。

最後に受講者から、「これから地方で開業する若い料理人に向けてアドバイスしてほしい」という声に、3人ともが「やってみるしかない」と言い、中道氏は「自分のクオリティーを上げれば、お客は必ず来る」とエールを送った。

文/大掛達也

第三回 全日本 食サミット テーマ:色いろ レポート3

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シンポジウム3
クロージングトーク~

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◆講師(写真右から)
大阪・中国料理『Chi-fu』オーナーシェフ 東 浩司 氏
京都・日本料理『菊乃井』三代目主人 村田吉弘 氏
兵庫・スイーツ『パティシエ エス コヤマ』オーナーシェフ 小山 進 氏
東京・フランス料理『レフェルヴェソンス』オーナーシェフ 生江史伸 氏
◆コーディネーター/毎日放送『魔法のレストランR』プロデューサー 本郷義浩氏

クロージングトークとなる三つ目のシンポジウムでは、「色気づく時」がテーマ。料理人が色気づくのは、料理と真剣に向き合おうと思ったときではないか。各人の考え方や価値観を大きく変えるようなターニングポイントについて、4人の料理人が語り合った。コーディネーターは『魔法のレストランR』にて、数多くの料理人と接してきた本郷氏が務めた。

村田氏のターニングポイントは3つあったという。ひとつめは21歳の頃逃げるようにヨーロッパを放浪し、世界における日本と日本料理の小ささを実感して、日本料理を何とかしないといけないと感じたとき。ふたつめはフランス料理の鴨のオレンジソースを食べたとき。それまで日本料理では、鴨は治部煮か鍋にするのが一番だと思っていたが、その考え方に対して疑問を持ち始めたという。最後は日本青年会議所(JC)に入り、『京セラ株式会社』の創業者である稲盛和夫氏に学び始めたとき。「人間は何のために生きるのか?」を考え、世の中に良きことを行ないたいと考えるようになったときだと語った。

東氏は修業先から稼業を継ぐために戻り、『ビーフン東』(東京・新橋)の料理長になったときがターニングポイントだという。人手不足に悩み、経営者的視点から店の在り方を変え、また、その後、中国料理へのアプローチにも変化が現れた。それを契機にソムリエの資格を取り、大阪・西天満に開いた店では、3業態を展開するという展開へとつながっていった。今でも、知らないことを知ることが楽しくて仕方がないといい、自分が食べて、作って、聞いて学んだことを、自分というフィルターを通して、36歳の今、若いスタッフに伝えていきたいと考えている。

生江氏は逆に、自分にはターニングポイントがなかったと振り返る。自分自身は何も変わっていない。他人が自分を見て判断するのは、その背景があるからであり、そういう意味では、慶応義塾大学を出ていたり、ロンドンの『ファットダック』でスーシェフを務めたり、そうした経歴が目立つだけではないかという持論を展開する。しかし、本郷氏の「5年前と比べてどう?」という質問に対しては、レストランの内装が変わったというユーモアも交えつつ、一方で、日本人としてのアイデンティティーが強くなり、国産食材へのこだわりが増えたとも語る。

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『パティシエ エス コヤマ』小山 進氏によるショコラ、「金木犀」と「台湾の切り干し大根」。

小山氏もまた、子どもの頃から変わってないと発言。小学生の頃から学校であった楽しいことを母へ伝えていたように、今も自分が見つけた素材の魅力などをケーキやチョコレートで表現しているだけだという。ただ、『サロン・デュ・ショコラ・パリ』で5年連続最高位を獲得したことを受けて、自分では過大とも取れる評価を受けることから、その差を埋めるように努力してきた。そういう意味では、本気で反省するようにもなり、ターニングポイントともいえるかもしれないと語った。

本郷氏は、4氏とも子どもの頃からエネルギー値が高く、知的好奇心があふれていることは共通している。そして、それを表現したいという想いが強く、だからこそ多くの人を感動させるのだろうと分析。その一方で村田氏は、ここに揃ったのは、異常で変な奴ら(笑)。共通点は、この国の食を次世代に引き継いでいくために、どうやったらいいのかを常に考えていること。自分たちの経験や哲学を若い人たちへ伝えていかなくてはいけない人たちだと結んだ。

文/大掛達也

第三回 全日本 食サミット テーマ:色いろ レポート1

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第三回目を迎えた『全日本・食サミット』のテーマは「色いろ」。2016年6月26日、当日は3つのシンポジウムと5つの勉強会がプログラムされた。その中より、今回はこの3つのシンポジウムのレポートをお届けする。オープニングを飾るシンポジウムでは、「色を作る」をテーマに、フレンチと和食の料理人、色の専門家により、色の発想から料理を考えるという内容で話が進められた。

シンポジウム1
色を作る ~色の発想から料理を考える~

第三回 全日本 食サミット
◆講師(写真右から)
大阪 日本料理『柏屋 大阪北千里』 店主 松尾英明氏
神戸 フランス料理『神戸北野ホテル』総支配人・総料理長 山口 浩氏
京都・染色家『染司よしおか』五代目当主 吉岡幸雄氏
◆コーディネーター/ジオード代表・『あまから手帖』編集顧問 門上武司

冒頭、染色家の吉岡幸雄氏の基調講演から始まった。吉岡氏は化学染料を使わず、食物染により日本の鮮やかな伝統色を再現することに挑戦し続けている。そのことをふまえ、日本の季節の彩りと歳時の関係性を軸に、ときに源氏物語を紐解き、日本人は色をどのようにとらえ、表現してきたのかを穏やかな口調で、時にユーモアを交えながら解説していく。

江戸時代には、自然の色を模した菓子が数多く生み出され、それから料理にも四季の彩りが表現されていったという歴史を解説。そして、後のトークセッションでも話題になる内容として、日本には四季があるだけでなく、それを24節季に分け、さらに72候に細分化して捉えてきたことが大きく、ひとつの候はわずか5~6日にしかならないが、その短期間の自然の変化をも感じ取り、色として表現してきた日本人の感性の細やかさを伝えた。そして、女性の着物の重ねで表現する色の組合せの妙にも参考にするべき点が多いという。

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『柏屋 大阪北千里』松尾英明氏による和菓子、「天然氷」と「緑陰」。

門上氏のコーディネートにより、ふたりの料理人の色に対する考え方が浮き彫りになる。料理だけでなく、空間や器も通して季節感を表現することを重視する松尾氏は色を考える際、平安時代の着物の「重ねの色目」など、昔の日本人が自然の色を濃やかに表現していた部分より学ぶことが多いという。また、食材の見方や調理法も、四季ではなく72候で考えることにより変わる部分もあるとか。例えば、早摘みの青葉はさっと湯にくぐらせるだけで仕上げるなど。

一方、フランス料理の山口氏はかつてのフランスでは野菜をくたくたになるまで煮込むのが一般的であり、素材の色を生かした料理を作るというのは、いかにも日本的であると思うと。ビーツを使った赤の印象的な料理を引き合いに出しつつ、山口氏の料理にとっての色表現とは驚きを与えるものでもあると解説。しかし、四季を勉強するほど自然の摂理に生かされているという感覚があることも確かで、これからは日本人の感性を生かした新しいフランス料理を創造していくべきだと語った。

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『神戸北野ホテル』山口 浩氏によるゼラチン「トマト」「スイカ」「クリームソーダ」(左上から時計回り)。植物性ゼラチンで固め、炭酸水に浮かべている。

シンポジウムの中盤には、試食を挟むことに。松尾氏は「天然氷」と「緑陰」というふたつの和菓子を用意。「天然氷」は紫キャベツや大和芋を用い、淡い紫からグレーへとグラデーションさせた層状の和菓子で、自然に張った氷を表現。「緑陰」は、えんどう豆やよもぎなど色合いの異なる緑色を市松模様に組み立て、初夏の緑葉の陰影をイメージした。

対して、山口氏は「色は人によって感じ方が異なる」という考え方のもと、逆に、色や形を無くすように調理したものを、球状のゼラチンに閉じ込めて提供した。謎めいた透明のゼラチンは3種類あり、トマト、スイカ、クリームソーダの風味が。参加者は一様にその味と香りを味わいながら、風味から得られる色を思い浮かべていた。あえて色を抜いてしまうことで概念を変えるという山口氏の手法は、色を考える上では、大胆な発想として驚きを与えたことだろう。

試食を経て、吉岡氏は「わび、さび」というものは、派手な色があってこそ成り立つ世界。そのコントラストを忘れてはいけないということを指摘。また、世の中には、まだまだ様々な色を引き出せる素材が眠っているので、柔らかい考え方で取り組んでいけば、料理における色表現はもっともっと広がっていくはずだと締めくくった。

文/大掛達也